Japanese
空想委員会
2015年07月号掲載
Member:三浦 隆一(Vo/Gt/委員長) 佐々木 直也(Gt) 岡田 典之(Ba)
Interviewer:沖 さやこ
空想委員会に劇的革命到来!"自分"と"好きな人"の間に生まれる、恋愛における心のもやもやをを歌い続けていた委員長ことフロントマンの三浦隆一に訪れた、"自分"とリスナーである"あなた"のことを歌いたいという心境の変化。今年2月のZepp DiverCityでのワンマン・ライヴでも、彼のステージでの立ち振る舞いからその片鱗が見えていたが、この『GPS』はその革命が嘘偽りなく、そして高らかに鳴り響く作品となっている。そしてそこに至るまでには様々な背景があった。"過去最高に制作がきつかった"という今作。間違いなく空想委員会の最高傑作だ。
-『GPS』、空想委員会の新しい扉を感じられる作品でした。それは紙資料に載っていた三浦さんのコメントにもあった"今まで「自分」と「君」の歌にしか興味がありませんでしたが、今回のCDは初めて「自分」と「あなた」のことを歌いたくて曲を書きました"ということも大きな理由だと思います。こういう心境の変化があったのはなぜでしょう?
三浦:えーっと、まず、今までみたいな恋愛の曲が書けなくなっちゃって......絶望しました(笑)。所詮ひとりよがりだったなということに気づきまして......。"あ、もうこういう恋愛の歌は歌えないわ"となりまして(笑)。
-え! そうだったんですか......!? それはなぜ?
三浦:友達からとある本を教えてもらったんです。AV監督が作者さんで、"なぜ恋愛で苦しむのか"みたいなことが書かれている本で。友達からも"もしかしたらこれを読んだら、曲が書けなくなっちゃうかもしれない。それでもいい?"と言われたんですけど......Zepp DiverCityでのワンマン(※2015年2月1日開催"大歌の改新 外伝")を終えたくらいの時期だったので、僕も自分自身に対して"このままでいいのか?"と思っていた時期だったんです。だからその本を恐る恐る読んで。結果"あ、俺間違ってた! 歌うことねえわ!"ってなっちゃって......。
-それで今までのような恋愛のもやもやを歌うような曲が書けなくなってしまったと。
三浦:でもリリースすることは決まっていたので、とりあえず"いいメロディの曲ばかりにしよう!"というテーマを決めて制作を始めたんです。なので歌詞は本当に最後の最後まで悩んで。だからぎりぎりでした。過去最高にきつかったです。
佐々木:三浦君が"つらすぎたから、完成したら泣くんじゃないか"みたいなことを言ってて。......もう何回三浦君が歌詞を書いている背中を見たことか(笑)。
岡田:楽屋で"あー!! ちくしょー!!"って叫んでたもんね(笑)。
三浦:マジで!? それ覚えてないわ......(笑)。でもこういう(『GPS』のテーマにもなっている)ことを歌いたいと思っていたし、これから先どうなるかわかんないですけど、僕と相手のことを書いた恋愛の歌も歌えるし、僕とリスナーの方の歌も歌えるようになったので、広がったという意味では結果的に良かったなと。きつかったですけど(笑)。
-先ほど三浦さんは"自分自身に対してこのままでいいのか?と思っていた"とおっしゃっていましたが、"ご自分とリスナーの歌を歌いたい"というところに行きつけた理由は、なんだったのでしょう。
三浦:フェスに出ても知ってくれてる人が増えて、バンドの名前も広まってきていることを感じていて。でもそこで自分が個人的なことしか歌っていないことを引け目にも感じていたんです。個人的なことを歌いたくて音楽を始めたから、それはそれでいいんですけど、ただ聴いてくれている方に100%で向き合ってない感じがずーっとあって。曲はかっこいいのに、いまいち突き抜けない感じがあるのは俺の歌詞のせいだとずっと思ってて......だからずっと"変われるなら変わりたい"と思ってたんです。でもそんなときフェスでASIAN KUNG-FU GENERATIONを袖から観て、そのときのゴッチさんを見ていて"あ、自分はこういうふうに書けばいいのかな"というのがなんとなく見えて。そこからは自分の立ち位置が見えた感じがして、やりやすかったです。歌ってる僕がもやもやしているというのは今も変わらないし、そういう人間だからこそ歌える曲があると思うし。だから着地点が変わったという感じですね。
佐々木:よりひとりひとりに向けて書いている感じがしますね。今までは三浦君の歌に共感した人は"わかる!"という感じだったと思うんですけど、今回は聴いた人に宛てて書いてるので、聴いた人は全員何かしら当てはまる曲があると思うんです。
岡田:(今回の制作に入る前は)三浦さんの恋愛においての新たな面というか、別の部分が見えてくるのかなー......と思っていたので、違った方向での新たな面が見えるとは思ってなくて。三浦さんの新たな可能性を感じて、"まだまだ三浦さん面白いな!"と思いました。なのでこの方向性は、僕にとっては意外っちゃ意外かもしれないです。
-そうですね。三浦さんがこういうことを歌うのは意外でしたし驚きましたけど、バンドのこれまでの活動はこれまでずっと心からリスナーさんを慮っているので、ここに行き着くのも当然かなとも思いますし。そういう想いが、ようやくソングライティングにも出てきたというか。
三浦:そうですよね。逆にこれまでやってこなかったってことなので。こういうことを歌うのは普通っちゃ普通なんだろうけど、僕はずっとそれができなかった。なのでやっとこれでリスナーさんと100%向き合って曲を書けたので、ライヴも変わるだろうし。真正面からぶつかれる感じになれました。
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