Japanese
空想委員会
Skream! マガジン 2017年09月号掲載
2017.07.23 @中野サンプラザ
Writer 沖 さやこ
『デフォルメの青写真』をリリースして以降の空想委員会は、音楽的な挑戦が目にとまる。4月に渋谷CLUB QUATTROで開催されたフル・アルバム『デフォルメの青写真』リリース・ワンマンの本編で演奏された曲はアルバム収録曲のみ。そのセットリストはフロントマンの三浦隆一(Vo/Gt)が考える『デフォルメの青写真』の曲順だった。本編のほとんどがライヴ初披露の楽曲。正直リスクは高い。だが、そのハードルを越える彼らの緊迫感と集中力、そして高揚は非常に心地よいものだった。
6月から開催されたワンマン・ツアーのファイナルは中野サンプラザ。昨年、日比谷野外大音楽堂でワンマン・ライヴを行ったとはいえ、大ホールでのワンマン・ライヴは彼らにとって初めての経験である。そこにはファイナルにして新しいスタートを切った3人の姿があった。
『デフォルメの青写真』に収録されているインスト曲「Sign -instrumental-」をSEにメンバーが登場すると、1曲目は「通行人「R」」。効果的に間を操り、浮足立つことなく冷静に音を鳴らしていく。ステージ後方から当てられる照明で影になった3人の姿もクールで頼もしい。「マフラー少女」は佐々木直也(Gt)のギターが冬の空気の美しさと等しい煌めきを放ち、「アイシテイルの破壊力」は三浦のファルセットもアクセントに。岡田典之(Ba)のベースも以前よりも堂々と響き、一丸となって一球入魂の演奏を繰り広げていく。明らかにメンバー全員の演奏スキルが上がっており、何よりその音や歌のひとつひとつに気合が感じられた。自然体で落ち着いた様子ながらも"ツアーで得た充実を見せてやる"と言わんばかりの威勢の良さだ。
「ロマンス・トランス」でセット・チェンジすると、間奏では佐々木が携帯電話を取り出してステージからメンバーや客席を撮るだけでなく、客席に降りて観客たちと記念撮影もしていく。ちなみにこの写真撮影はツアーの各会場でも行われており、この日の終演後のロビーにはすべての会場の写真が掲示されるという、まさしく"青写真の現像室"を実現。楽曲から派生して観客を巻き込むアイディアを生み出すのは空想委員会の得意技だ。
頭7曲で立て続けに7つの表情を見せたあと、この日初めてのMCへ。佐々木が"僕らは全力で演奏をするので、楽しかったらイェーイ! とかフォ~! とかガンガンやっちゃってください"と語り掛けると、客席からは大歓声が起きる。客席の盛り上がりは観客の自主性に委ねるという姿勢からも、音楽と演奏で勝負するという心意気が伝わってきた。このあとの中盤のブロックはまさにそれを体現したもの。粘り強いベースとギターのリフが印象的な「キラーチューンキラー」を入り口に「切illing Me Softly」、「二次元グラマラス」と、じわりじわりと演奏の集中力と緊迫感が増していく。どんどんディープになっていくサウンドスケープはスリリングで、なめらかに躍動する感情の起伏が心地いい。特に「ドッペルゲンガーだらけ」の導入部分は圧巻。深いリヴァーブがかかった荘厳なギターの音色にドラムが重なり、幻想的な空間を作り出す。時計の秒針のような淡々としたドラムのクロス・スティックに三浦のギターが重なるところまで、その様はまさしくアートだった。「罪と罰」は濃い闇から夜が明けるようなスケール感で魅了する。アウトロで一心不乱にギターをかき鳴らす三浦の姿も、ギターの音もさらにエモーショナルに。普段大きく感情を露わにしない彼の内面を垣間見る瞬間でもある。そのあとの音楽への想いが綴られた「ミュージック」も真摯に響き、最後に客席から自然とシンガロングが沸いた情景も美しかった。
「罪と罰」の演奏時に三浦の顔から落ちた眼鏡のブリッジが折れてしまうという予期せぬ展開が起こり、三浦はMC中にいったん楽屋へ戻りコンタクトを装着することに。まったりトークを繰り広げるとライヴはラストスパートへ突入する。ディープ・ゾーンとは対照的に開放的で優雅なサウンドを繰り広げ、「劇的夏革命」は晴れやかで爽やかな夏空が目の前に広がるようだった。三浦の"全員まとめてかかってらっしゃい!"という煽りで始まった「エンペラータイム」は、"このまま世界に向かって歌えれば 他には何も望むようなことはない/いつも僕は君のそばにいる ここから羽ばたく姿を見せてやろう"など、歌詞のすべてが彼の歌声によって強い想いとして客席にまで届いてきた。初の全国流通盤『恋愛下手の作り方』をリリースしたころから、彼らの根本にある想いは何も変わっていないのだろう。いつの時代も空想委員会は"始まり"を歌い続けている。「スタートシグナル」はまさにそのシンボルとしてこの日最大のポジティヴなパワーを放っていた。
"僕らの演奏によってみなさんが素敵な未来を描いてくれたらと思っていたけれど、描かせてもらったのはこちらでした"と語る三浦。自分たちがステージに立つことも、観客が時間を作ってライヴに来てくれることも当たり前ではないと痛感したことにより、自信がついたと話す。"今回のワンマン・ツアー、僕史上最高に幸せなツアーでした"という言葉に、客席からは大きな拍手が。"みなさんが死ぬ前に、私は私の人生を生ききったと誇れるようにと願いながらこの曲を歌いたいと思います"と本編ラストに「何者」を届けた。
居残り(アンコール)では中野サンプラザでワンマン・ライヴができたことへの喜びや、今後の活動についてメンバー全員で嬉々として話す。"今回のツアー、手応えがあったので次どうしようか正直悩んでいます。でも、次のツアーは絶対に今回を超えるんで。会場でお待ちしております"と三浦が凛々しい表情で告げると、ツアーを「単独飛行少年史」で締めくくった。「空想ディスコ」や「波動砲ガールフレンド」などのライヴの定番曲をあえて演奏しないというチャレンジも実を結んだ充実のワンマン・ツアー。新しい始まりを迎えた彼らは、今後さらに自分たちの音楽の濃度を高めていくのではないだろうか。
[Setlist]
1. 通行人「R」
2. マフラー少女
3. アイシテイルの破壊力
4. 解の恋式
5. ロマンス・トランス
6. 純愛、故に性悪説
7. 見返り美人
8. キラーチューンキラー
9. 切illing Me Softly
10. 二次元グラマラス
11. ドッペルゲンガーだらけ
12. 罪と罰
13. ミュージック
14. 恋とは贅沢品
15. 色恋狂詩曲
16. 八方塞がり美人
17. 劇的夏革命
18. エンペラータイム
19. スタートシグナル
20. 何者
~居残り~
単独飛行少年史
- 1
LIVE INFO
- 2025.12.08
-
ザ・クロマニヨンズ
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
RAY × きのホ。
ドラマチックアラスカ
PACIFICA
シベリアンハスキー
雨のパレード
never young beach
- 2025.12.09
-
キュウソネコカミ
天女神樂
ザ・クロマニヨンズ
FRANZ FERDINAND
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
ドラマチックアラスカ
TENDRE
PACIFICA
Galileo Galilei
Dios
ザ・シスターズハイ
ストレイテナー
PEDRO
モーモールルギャバン
- 2025.12.10
-
PACIFICA
Galileo Galilei
山本彩
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
くるり
豆柴の大群
森 翼
Wez Atlas
すなお
ストレイテナー
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
- 2025.12.11
-
MONOEYES
あいみょん
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
山本彩
オレンジスパイニクラブ
BIGMAMA
ポルカドットスティングレイ
そこに鳴る
The Ravens
FRANZ FERDINAND
- 2025.12.12
-
Hump Back
VII DAYS REASON
Chimothy→
崎山蒼志
LiSA
Another Diary
凛として時雨
TOMOO
Nikoん
BIGMAMA
PENGUIN RESEARCH
moon drop
ねぐせ。
私立恵比寿中学
くるり
PEDRO
サカナクション / Creepy Nuts / 羊文学 / ちゃんみな ほか
flumpool
the shes gone
VOI SQUARE CAT
SAKANAMON / Broken my toybox / SPRINGMAN / KEPURA
BRADIO
ザ・クロマニヨンズ
僕には通じない
LONGMAN
- 2025.12.13
-
MONOEYES
"DUKE×GREENS presents わちゃごなどぅ -whatcha gonna do-"
ぜんぶ君のせいだ。
VII DAYS REASON
Vaundy / THE ORAL CIGARETTES / sumika / マカロニえんぴつ ほか
UVERworld
eill
フラワーカンパニーズ
LITE
DURAN
SHERBETS
清 竜人
ポルカドットスティングレイ
moon drop
Nikoん
石崎ひゅーい
吉井和哉
9mm Parabellum Bullet
Cody・Lee(李)
flumpool
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
[Alexandros]
Appare!
秋山黄色
藤沢アユミ
キタニタツヤ
THE SPELLBOUND
- 2025.12.14
-
downy / toe / unripe / aieum
(sic)boy
VII DAYS REASON
LiSA
ねぐせ。
10-FEET / クリープハイプ / go!go!vanillas / Saucy Dog ほか
UVERworld
ぜんぶ君のせいだ。
Devil ANTHEM.
フラワーカンパニーズ
TOMOO
NEE
"DUKE×GREENS presents わちゃごなどぅ -whatcha gonna do-"
OAU
PEDRO
Nikoん
石崎ひゅーい
kobore / Suspended 4th / ザ・シスターズハイ / ザ・シスターズハイ ほか
鶴
SHERBETS
RADWIMPS
9mm Parabellum Bullet
PENGUIN RESEARCH
MOSHIMO
スカート
PHALUX
Bimi
ASP
22/7
古墳シスターズ
クジラ夜の街
[Alexandros]
キタニタツヤ
- 2025.12.15
-
MONOEYES
Kroi
GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR
anewhite
山田将司(THE BACK HORN)/ 大木伸夫(ACIDMAN)/ 内澤崇仁(androp)/ 村松 拓(Nothing's Carved In Stone) ほか
TOOBOE
Mrs. GREEN APPLE
Hump Back
- 2025.12.16
-
くるり
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
優里
YOURNESS
GANG PARADE
ザ・クロマニヨンズ
GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR
Mrs. GREEN APPLE
- 2025.12.18
-
桃色ドロシー
あいみょん
くるり
Nikoん
東京初期衝動
The Ravens
リーガルリリー
ザ・クロマニヨンズ
渡會将士
高岩 遼
カメレオン・ライム・ウーピーパイ
Homecomings
PompadollS
- 2025.12.19
-
(sic)boy
Helsinki Lambda Club
桃色ドロシー
ガラスの靴は落とさない
Nikoん
flumpool
吉井和哉
東京初期衝動
LiSA
BIGMAMA / THE BOYS&GIRLS / KALMA / オレンジスパイニクラブ / ハク。
SHERBETS
VII DAYS REASON
キノコホテル
羊文学
僕には通じない
Mrs. GREEN APPLE
BLUE ENCOUNT
- 2025.12.20
-
NANIMONO
PENGUIN RESEARCH
LACCO TOWER
RADWIMPS
ポルカドットスティングレイ
ぜんぶ君のせいだ。
The Cheserasera
flumpool
ハシリコミーズ
ZOCX
クジラ夜の街
ExWHYZ
浪漫革命
mudy on the 昨晩
"MERRY ROCK PARADE 2025"
ザ・クロマニヨンズ
Awesome City Club
LUCY
アイナ・ジ・エンド
め組
ACIDMAN
UVERworld
パピプペポは難しい
eastern youth
Mrs. GREEN APPLE
優里
- 2025.12.21
-
NANIMONO
The Biscats
桃色ドロシー
クジラ夜の街
RADWIMPS
LACCO TOWER
NEE
東京スカパラダイスオーケストラ
GLIM SPANKY
フラワーカンパニーズ
MOSHIMO
DURAN
(sic)boy
"MERRY ROCK PARADE 2025"
VII DAYS REASON
ザ・クロマニヨンズ
LiSA
齋藤知輝(Academic BANANA)
Keishi Tanaka
鶴
清 竜人25
MONOEYES
暴動クラブ
UVERworld
OKAMOTO'S
優里
- 2025.12.22
-
DOES
東京スカパラダイスオーケストラ
フラワーカンパニーズ
Kroi
FINLANDS
アーバンギャルド × 氣志團
あいみょん
RELEASE INFO
- 2025.12.09
- 2025.12.10
- 2025.12.12
- 2025.12.17
- 2025.12.19
- 2025.12.20
- 2025.12.21
- 2025.12.24
- 2025.12.26
- 2026.01.01
- 2026.01.07
- 2026.01.09
- 2026.01.11
- 2026.01.14
- 2026.01.16
- 2026.01.21
FREE MAGAZINE

-
Cover Artists
ザ・クロマニヨンズ
Skream! 2025年11月号



























