Japanese
androp
2014年03月号掲載
Member:内澤 崇仁 (Vo/Gt)
Interviewer:山口 智男
-この曲をレコーディングする時は、確かもうスケジュール的に切羽詰っていたんですよね?
デモを作っている段階で、スタジオでメンバーがスタンバってる状況だったんですよ。もう、そのタイミングを逃すと発売日に間に合わないって日だったんですけど、まだ曲がちゃんとでき上がってなかったので、とりあえずメンバーには朝から楽器をセッティングして、いつでもレコーディングできる準備をしてもらってて。それで夕方ぐらいにやっと曲ができたんですけど、みんなのイメージではロックな曲だと思ってたみたいで、ロックなセッティングをしてたんですよ。でも、僕、ウッド・ベースとジャズのドラムのセットで曲を作ってたので、"ウッド・ベースないぞ"って話になって(笑)。ドラムはそういう音に近づけることができるけど、ウッド・ベースがないからどうしようってことになって、"エレキ・ベースでもウッド・ベースの音を出せるんじゃないか"ってそこから研究しはじめて、ウッド・ベースの音をエレキで出すっていう荒業をやりました。振り返ってみると、ウッド・ベースを取りにいったほうが早かったんじゃないかって思うんですけどね(笑)。ギターも本当はグレッチか何かのフルアコがよかったんですけど、なかったのでテレキャスのセミアコでなんとかそれっぽい音に近づけました。で、最後にエンジニアさんが、元々、フリッパーズ・ギターをやっていた方なんですけど、20年ぐらい前、フリッパーズ・ギターに使ってた機材を使って、渋谷系に使うようなリバーヴをかけたので、ジャズだ、ブルーグラスだ、渋谷系だっていろいろな要素が交じり合って、逆に、おもしろい曲になりました。切羽詰った状況だからこそ、そういう曲になったわけですけど、それはそれでいいなって思えた。これまでは納得できる形に作り上げたものをレコーディングしてたんですけど、出たとこ勝負と言うか、その時の勢いを反映させるこういうやり方もいいなって。
-他にも演奏とかサウンド面とかでいろいろな挑戦があったんじゃないですか?
「RDM」って曲は音色的に結構おもしろいことをたくさんしてますね。イントロのシンセっぽい音はギターなんですよ。
-あれ、ギターなんですか!? ドラムは打ち込みですか?
いや、打ち込みっぽい音だけど、生音を加工してるんです。「Sensei」のベースもシンセ・ベースっぽい音を使ってるけど、生のベースでやってるし。
-ビートは?
「Sensei」は打ち込みですね。パーカッションだけ、ドラムの伊藤君が入れました。シェイカーとかトライアングルとか。
-個人的には、Track.7「Six」がいいなって。7曲目なのにタイトルが「Six」という(笑)。「RDM」とか「Sensei」とか「Neko」とかに比べると、そんなにサウンドはひねっているわけではないけど......。
そうですね。バンドの演奏がガーッと鳴ってるところにストリングスを加えただけではあるんですけど、ただ、バンドの演奏だけで成立してるんで、以前だったらそこにストリングスを加えようとは思わなかったですね。
-目の前に景色が広がるというか、目の前の景色がこの曲をきっかけにがらっと変わるような印象がありますよね。
うんうん。勢いのあるバンドに音価の長いストリングスが乗ることでそういう状況が生まれるんだと思います。
-そこが新しい。
なんで「Six」かというと、六次の隔たりという自分の知り合い、その人の知り合いというふうに6人を介せば、人は世界中の人と間接的に知り合いになることができるという仮説があるそうで、それを知ったとき、なんだか壮大な感じがしたんです。6人を介せば、いろいろな人と繋がれるんだ。すげえって(笑)。たった6人で世界中と繋がれるってすごいじゃないですか。スモール・ワールド現象って知ってます? 知り合いを辿っていけば、割と簡単に世界中の誰にでも行き着くという仮説で、六次の隔たりはそのひとつらしいんですけど、世界がそんなに狭いなら、ライヴひとつやるにしても、ひとりひとり大事にしたいというか、ひとりひとりと繋がりたいと思ったんですよ。そう思うきっかけになった言葉でもあったので、「Six」は壮大な音にしたいと思って、ストリングスを入れてみました。
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