オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第8回】
2012年07月号掲載
僕は、ちょっと久しぶりなくらい重度に漫画に夢中だ。いわゆる、お熱というやつだ。ツアーの最中ってことで、各地の古本屋を巡っているうちに次々と、あれよあれよと漫画魂に火をつけられてしまった。漫画が読みたい。この際、直線で紙が区切られてて、そこに絵やら字が書いてあれば何でも良いから!とにかく漫画をくれ…!ギギギ…これはただのビタミン剤じゃ…。と、はだしのゲンのムスビばりに漫画ジャンキー生活だ。そんな中で特に夢中なのが星野之宣という漫画家の『宗像教授伝奇考』だ。今日はこれを紹介したい。
これ、もともと「諸星大二郎とかが好きなら好きかもよ。」というのでオススメしてもらったのがきっかけだった。僕が敬愛する諸星大二郎先生本人も親交厚いということなので、ツアーの合間に読んでみた。そしたらこれがすこぶる面白い。一話完結の読み切りスタイルもすこぶる読みやすく、気づけば全部読み終わっていた。内容は、というと宗像教授という頭ツルツルのシブい中年が日本中の遺跡などをほっつき歩く漫画だ。「なにそれ?ちいさんぽのコミカライズ?」と思うかもしれないが、この宗像教授は民俗学の教授だ。俳優じゃない。彼は日本中の遺跡や伝承に隠された「真実の歴史」を求めて日本中を旅しているのだ。ジャンルは『伝奇ロマン』ものとでも言えばいいだろうか。
「えー、なんか堅苦しいー」とお嘆きのあなた!安心してください、そこはマンガです。子供の味方、マンガです。これは決して歴史について眉間にしわよせて堅苦しく議論を交わす漫画ではない。なぜならこの宗像教授が眉間にしわよせて展開する理論は、超トンデモ理論ばかり。神話から宇宙まで縦横無尽で、ちょっとひいてしまうほど。しかしそんな常識を超越した理論も、目が回りそうなほどの知識とストーリーによって強引に納得させられてしまう、宗像教授、ひいては星野之宣のテクニックにホレボレする漫画なのです!
いわゆる「たくさんの伏線が一気につながる快感」というのがあると思う。ぜんぜん関係なさそうないくつものシーンが、クライマックスでビシビシと合体して、ひとつの真実を描き出す。その瞬間の「つながったー!!!」というえもいわれぬ快感。そこまでの「焦らし」が入念で長いぶん、それが決壊したときの快感もデカい。たとえばミステリー映画や、身体は子ども頭脳は大人のマンガなんかで感じたことあるかもしれない。あれの壮大な歴史版がこの『宗像教授伝記考』だと思ってもらいたい。本当にこの星野之宣は、どうやってアイデアを考え形にしてるんだろうか?と思わずにいられない。たとえば「プレアデス星団」「白鳥」「鉄」なんていう、まったくわけのわからないパーツが、次第につながっていき、最後には巨大な歴史絵巻を描き出す感動。それは、他所ではちょっと味わえないものだ。圧倒的な知識と調査、それをつなげる奇想天外なアイデア、そして「ハッタリ」という最高のエンターテイメントの奇跡の融合が、この『宗像教授伝記考』だ!どうです、面白そうでしょ?
たとえばあなたが小学生の頃、歴史の教科書に隠された謎めいた部分にワクワクを感じたことはないだろうか。詳しいことはわかっていない、以降消息不明、詳細不明、用途不明、不明不明不明。解説の中のそんな一文に、何やら素敵な感情を受けた人たち。そんな人に、是非読んでほしい。これは、あの時感じた感情の正体、まさしく「ロマン」そのものの漫画だからだ。
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