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DISC REVIEW

Japanese

ドアたち

オワリカラ

『ドアたち』

Release Date : 2010-08-04
Label : SPACE SHOWER MUSIC

気が付けば、ノストラダムスの予言から11年が経過した訳で、私たちは変わりない毎日を生きている。けれど、恐怖に包まれた1999年以降、あけすけに幸せが充満した音楽に紛れ、シニカルな音楽が着実に育まれてきたように思う。そんな2010年に産み落とされたオワリカラの1stアルバム『ドアたち』。暴力的なまで引きずり込む熱気と、浮遊感あるノスタルジックな余韻が全身を圧倒する。中でも、「団地」は衝撃であった。人々の生活空間を“ハコ”という完結かつ閉鎖された空間となみす客観視の鋭さと、そこに存在する生活をいとおしいと感じる主観的な温もり。そして、最終的には逃れることの出来ない結末を受容する微妙な矛盾。衝動や焦燥感を伴った不安定な感覚は、限界まで掘り下げられ、吟味・咀嚼され、再構築された上で吐き出される。そこには、日常性を剥き出しにするタカハシヒョウリその人の人間性が、色濃く凝縮されているように思う。そして、練り上げた感情を実体として解放できるのは、強烈にストイックな4 つの音が存在しているからだ。誰もが全力で一点を目指す。“全員が4番”というサウンドが互いに音を磨ぎ合うからこそ、言葉が突き刺さるように弾けるのだろう。彼らをサイケデリック・ロックと言うジャンルで括ってしまうのは、どうも解せない。おそらくは、音楽性のカテゴライズというよりも、もっと深いそれ以上の世界を彼らは捉えているのだ。“オワリカラ”始まる“コレカラ”。まばたきする一瞬さえも惜しい。(山田 美央)