Japanese
オワリカラ
2014.02.27 @渋谷GARRET udagawa
Writer 沖 さやこ
『サイハテ・ソングス』をリリースしたオワリカラによるリリース記念イベントが、リリース日の翌日に開催された。開催場所は、2013年9月にオープンしたeggman傘下のGARRET。ここはもともと渋谷屋根裏というライヴハウスで、オワリカラが2013年4月に開催した自主企画サーキット・イベント"渋谷モンパルナス"の会場のひとつであったため、メンバーにとって思い出深い場所でもある。
時刻になるとまず、ラジオ・パーソナリティでよく知られる藤田琢己が司会としてステージに現れる。彼がイベントの趣旨を説明したあと、David Bowieの「Rebel, Rebel」をSEにメンバーが登場した。筆者がオワリカラのライヴを見るのは4ヶ月ぶりくらいだったのだが、メンバーの立ち位置が変わっていたことにまず驚く。センターで上手の舞台袖を向いてキーボードを弾いていたカメダタクは下手へ。キーボードもだいぶフロア側を向いている。そしてセンターにはジミヘンのように右利き用ギターを左にひっくり返して使うタカハシヒョウリがまっすぐ観客と向かい合う。軽いセッションをしたあと、ツダフミヒコの奏でる低音が導き1曲目は「踊るロールシャッハ」。"ロールシャッハッハッハッハッハッハ!"の掛け声に合わせてカメダがコーラスをし、フロアを見回して拳を突き上げる。こんなアプローチをするようになったのかと驚いたが、『サイハテ・ソングス』で芽生えた"ついてきてほしい"という感情がこのような変化をもたらすのは必然なのかもしれない。「サイハテソング」を演奏し終えると、藤田琢己がステージに登場しトーク・タイムに突入。"「踊るロールシャッハ」は西新宿の松屋の前を通りかかったときに思い付いた曲"というエピソードや、カワノケンタが"「サイハテソング」は今までのオワリカラになかった8ビートで難しかった"と語ったり、"「マーキュリー」は何度もアレンジし直した曲"などの収録曲に関する裏話や、ファンの質問に答えるなど、タカハシ以外のメンバーもトークすることでそれぞれのキャラクターも垣間見れ、オワリカラをまた違った視点で楽しめる機会になった。
とはいえフロアにそこはかとなく漂う"もうライヴはないのかなぁ"と言いたげな空気。いやいや、オワリカラはライヴ・バンド。これで終わるわけはない。トーク・タイムが終了し再びメンバーがライヴ・セットにつくと「はなとゆめ」へ。優雅な鍵盤にひたむきなドラム、シンプルなベース・フレーズ。4人の音とタカハシの歌が合わさると、シンプルな音色も壮大に響く。終盤のギター・アレンジも美しく、まさしくタイトル通りのサウンドスケープを生んだ。「マーキュリー」はダイナミックなリズムが際立ち、ライヴでは踊れるロックンロールに昇華されていることは嬉しい誤算だった。アンコールでタカハシヒョウリは"このアルバムは始めの一歩"と言い、観客に向かって"ここにいるような、いちばん僕らに近い人たちと一緒にオワリカラを盛り上げていきたい""力を貸してほしい"と語り掛けた。そして次の曲「黒歴史にOK!」の"OK"の部分を、観客に"(手を挙げながら)OKって言ってみよう?"と控えめに、照れ笑いしながらお願いをした。まさか彼がそんなことを言うなんて、とまたもや驚いたが、OK!と叫ぶタカハシも、演奏しているメンバーも、フロアもすっきりした顔をしていたし、実際この曲とその後の「マッチメイカー」はこの日いちばんのグルーヴを放っていた。間違いなく新しい一歩を踏み出したオワリカラ。現在開催中の全国ツアー、そのファイナルである5月22日の渋谷WWW公演ではきっと、より逞しくなって帰ってくるだろう。
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