オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第11回】
まずは近況から。前回の段階ではまだタイトルも決まっていなかったソロアルバムも立派(?)な名前を付けられて、あとは世に出て行くのを静かに待っている状態です。その名も『ブルーたち』。おめでとう、ブルーたち。ありがとう、ブルーたち。ブルーときどきオレンジ、ムサシノ生まれムサシノ育ちの歌が9曲。「作った」というより「生まれた!」という感じで出来上がったので、なんか不思議な感慨を抱いている。とにかく、ずいぶん地味に時間がかかったのだけれど、やっとこさ完成にこぎつけて、ひと段落でダラけている。とはいっても、ダラけてばかりもいられないので(一般的な尺度で言うと頻繁にダラけすぎだとも思うので)、いろいろ動き出しております。3月からのオワリカラツアー&ソロツアーはすごいよ。3月は20本近くライブあるんだ。こんなんいつぶりだろうなぁ。もしかしたら人生における月間最多ライブかもしれない。1月も2月も、もっと言えば4月もライブは数本なのに、3月だけ「突然どーした!?血迷ったか!?」っていうくらいスシヅメになってる。久しぶりのこのカンジが今から楽しみです。
さて前回は、よりにもよって隔月連載なのに「つづく」で終わらせてしまったわけだけど、これはその前後編の後編だ。「2ヶ月前のことは覚えていません」という正直者かつ鳥っぽい頭の人のために説明させてもらうと、2013年最初の漫読家(マイクロソフトさん、これぜひ一発変変換できるようにしてください)テーマは「マンガ買いの作法」。マンガを手にするときのちょっとした、こだわりというとおこがましいが、心の片隅に置いておくような作法をつらつらと書いてみようと。前回はマンガの世界に足を踏み入れるための作法を紹介しましたが、今回はまったく別の視点からひとつ話をしようと思います。
さてさて皆さんには、「これ、自分は絶対好きだろうなぁー」と思いながら読んでないマンガってないだろうか。「この絵の感じ」とか「このタイトルのセンス」とか。マンガに限らずこういうものって、結構多くの人に少なからずあると思う。「気になる」を越えて、「なんか読んだらフィットしそうってわかる」物だ。時に友人たちに「絶対好きだと思うから読んでみなよ!」と薦められると、なおさら意固地になって読む気がなくなるとか、そういう天邪鬼な人もいるだろう。わりと僕はその性質の方だ。さてここから後編です、作法その2。「そういうマンガは無理して読むことはない!」、というのが作法の二つ目だ。もっと言えば、そういうマンガは無理に読まないでとっておいたほうが良いくらいだと思っている。というのも、ちょっと現実を超越したことを言うのを許して欲しいのだけど、そのマンガが本当にあなたにフィットしているなら、あなたにとってそのマンガが本当に必要な時にどこかで必ず出会って、ふと手に取るものだと思うからだ。そういう時、というのは、たいていやる気が出なかったり、ひっちゃかめっちゃかで何やらわからんときや、自分が何を求めているのか、何が楽しめるのかわからなくなっているときだったりすると思う。そういうときに、「読もう読もうと思って読んでなかったヤツ」を本屋で見かけて、なんか気になりふと手にとってみて、スッと入ってくるマンガというのがある。「あぁ、やっぱり自分ってこういうのが好きなんだよなー。」と思えるマンガ。そうだ、自分のことを教えてもらうのだ。マンガに。すると、狭くなっていた視野が広がって不思議と今の立ち位置や景色が急激に見えてくる。文化っていうのは、そういう目に見えない世界の羅針盤や地図のような役割も持っているんだ。人間の場合と同じで、出会いのタイミングというのはとても大事なのだろう。それはマンガと自分のコンディションがふっと重なり合っているタイミング。そういうときに出会えるというのは、とても幸運なことだ。だから無理にタイミングをつくることはないんだ。「これ自分は絶対好きだろうなぁ、と思うマンガとは、良い出会いのタイミングがやってくるから、無理に出会わなくて良い!」。これが僕の作法の二つ目です。なんだかちょっとわかりづらい話だけど、ニュアンスだけでも伝わると嬉しいなぁ。そういう出会いを気にするアンテナだけ立てていれば、きっと幸運な出会いはやってくる。これは特にマンガに当てはまる話だと思うんだ。
そんなわけで、掟破りの前後編で僕なりの「漫読家作法」を書いてきました。二ヶ月は長かったなぁ。長々とお付き合いありがとうございました。「そんなこと考えてんだー、ふーん」とか「わかるぞ!なんかわかるぞー!」とか、「ちょっとだけ暇つぶしになった」とか、何かしらあれば光栄です。あと本当はなんかの機会に(メールでもツイッターでも)皆さん自身のマンガに対するこだわりやら、ジンクスみたいな物も教えてほしいんだ。つまりみんなの「漫読家作法」。単純に他の人の「漫読家作法」が知りたいと思うからです。それはただのそれぞれのクセのようなものかもしれないけれど、磨いていくとおそらく「美学」とか呼ばれてるものに近づいていくんじゃないかなぁ、と思います。さて次回からは、また一冊のマンガについてダラけてお送りしようと思います。それでは、このページでお会いしましょう。
Related Column
- 2016.07.06 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【最終回】
- 2016.03.18 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第29回】
- 2016.01.11 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第28回】
- 2015.11.20 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第27回】
- 2015.09.19 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第26回】
- 2015.07.11 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第25回】
- 2015.05.01 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第24回】
- 2015.03.09 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第23回】
- 2015.01.06 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第22回】
- 2014.11.12 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第21回】
- 2014.08.31 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第20回】
- 2014.07.04 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第19回】
- 2014.05.02 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第18回】
- 2014.03.05 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第17回】
- 2014.01.16 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第16回】
- 2013.11.02 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第15回】
- 2013.09.07 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第14回】
- 2013.07.11 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第13回】
- 2013.05.03 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第12回】
- 2013.03.26 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第11回】
- 2013.01.22 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第10回】
- 2012.09.13 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第9回】
- 2012.07.18 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第8回】
- 2012.05.13 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第7回】
- 2012.03.13 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第6回】
- 2012.01.01 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第5回】
- 2011.11.01 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第4回】
- 2011.09.01 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第3回】
- 2011.07.01 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第2回】
- 2011.05.01 Updated
- オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第1回】
LIVE INFO
- 2025.07.16
-
有村竜太朗
YOASOBI
BLUE ENCOUNT
The Gentle Flower.
桃色ドロシー
GLIM SPANKY
BIGMAMA × Dannie May
坂本慎太郎
Base Ball Bear × PEDRO
SHE'S × ヨイズ
TenTwenty
Saucy Dog
- 2025.07.18
-
斉藤和義
YOASOBI
フレンズ
[Alexandros]
SVEN(fox capture plan)
板歯目
東京スカパラダイスオーケストラ
ExWHYZ
GLIM SPANKY
the paddles
キュウソネコカミ
NEK! × komsume
KiSS KiSS
Organic Call
SIRUP
ぜんぶ君のせいだ。
SAKANAMON
ヤングスキニー
ACIDMAN
Laughing Hick
TENDOUJI
cinema staff × eastern youth
- 2025.07.19
-
豆柴の大群
浅井健一
フレンズ
"NUMBER SHOT2025"
コレサワ
YOASOBI
PIGGS
鶴
東京スカパラダイスオーケストラ
"KESEN ROCK FESTIVAL'25"
ASP
Novelbright
"JOIN ALIVE 2025"
shallm
Eve
"OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2025"
キノコホテル
UNCHAIN
竹内アンナ
め組
"焼來肉ロックフェス2025"
SPECIAL OTHERS
ExWHYZ
LOCAL CONNECT
寺口宣明(Ivy to Fraudulent Game)
ぜんぶ君のせいだ。
いきものがかり
新しい学校のリーダーズ
"DAIENKAI 2025"
チリヌルヲワカ
片平里菜
PENGUIN RESEARCH
荒谷翔大
Nothing's Carved In Stone
マオ(シド)
- 2025.07.20
-
神はサイコロを振らない
"NUMBER SHOT2025"
斉藤和義
[Alexandros]
ビッケブランカ
"KESEN ROCK FESTIVAL'25"
ASP
"JOIN ALIVE 2025"
松永天馬(アーバンギャルド)
さめざめ
キノコホテル
HY
Eve
"OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2025"
崎山蒼志 / NakamuraEmi / ズーカラデル / TENDRE ほか
GRAPEVINE
"焼來肉ロックフェス2025"
清 竜人25
PK shampoo
"DAIENKAI 2025"
LOCAL CONNECT
ROF-MAO
いきものがかり
GARNiDELiA
ブランデー戦記
- 2025.07.21
-
"NUMBER SHOT2025"
斉藤和義
PK shampoo
LOCAL CONNECT
東京スカパラダイスオーケストラ
ASP
鶴
TENDOUJI
jizue
め組
HY
PIGGS
終活クラブ
小山田壮平 / 奇妙礼太郎 / 安部勇磨(Band set) ほか
ぜんぶ君のせいだ。
アーバンギャルド
僕には通じない
LACCO TOWER
GOOD ON THE REEL
いゔどっと
ビレッジマンズストア
GRAPEVINE
Homecomings
SpecialThanks / レイラ / GOOD4NOTHING / THE FOREVER YOUNG ほか
アカシック
PENGUIN RESEARCH
- 2025.07.22
-
Hump Back
終活クラブ
the telephones
- 2025.07.23
-
東京スカパラダイスオーケストラ
板歯目
フラワーカンパニーズ×アイボリーズ
9mm Parabellum Bullet
女王蜂
- 2025.07.24
-
水平線
板歯目
bokula.
ビレッジマンズストア
竹内アンナ
the paddles
- 2025.07.25
-
四星球
マカロニえんぴつ
セックスマシーン!!
東京スカパラダイスオーケストラ
"FUJI ROCK FESTIVAL'25"
キュウソネコカミ
FIVE NEW OLD
有村竜太朗
Ivy to Fraudulent Game
のうじょうりえ
輪廻
RAY
らそんぶる
UNCHAIN
ゴキゲン帝国
miida
bokula.
感覚ピエロ
- 2025.07.26
-
あれくん
[Alexandros]
Eve
"OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL vol.14"
GANG PARADE
須田景凪
コレサワ
LOCAL CONNECT
アーバンギャルド
reGretGirl
"FUJI ROCK FESTIVAL'25"
ASP
Creepy Nuts
FIVE NEW OLD
PENGUIN RESEARCH
マオ(シド)
さめざめ
Academic BANANA
"MURO FESTIVAL 2025"
WtB
有村竜太朗
Czecho No Republic
Mrs. GREEN APPLE
- 2025.07.27
-
Eve
東京スカパラダイスオーケストラ
MAPA
神はサイコロを振らない
"OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL vol.14"
LOCAL CONNECT
"FUJI ROCK FESTIVAL'25"
ASP
コレサワ
DURDN
"MURO FESTIVAL 2025"
Mrs. GREEN APPLE
- 2025.07.28
-
THE YELLOW MONKEY
パピプペポは難しい
のうじょうりえ
Hump Back
- 2025.07.29
-
大森靖子×銀杏BOYZ
斉藤和義
- 2025.07.31
-
TENDOUJI
フラワーカンパニーズ
GIFTMEN
なきごと
The Gentle Flower.
のうじょうりえ
ZAZEN BOYS
板歯目
RELEASE INFO
- 2025.07.16
- 2025.07.18
- 2025.07.19
- 2025.07.20
- 2025.07.23
- 2025.07.25
- 2025.07.29
- 2025.07.30
- 2025.07.31
- 2025.08.01
- 2025.08.06
- 2025.08.08
- 2025.08.13
- 2025.08.15
- 2025.08.20
- 2025.08.22
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
Organic Call
Skream! 2025年07月号