オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第18回】
2014年05月号掲載
学生諸君は新学期、いかがお過しですか。新入生諸君も、そろそろ新しい学校にも慣れて新入生気分も抜けてきた頃じゃないだろうか。
新学期の問題といえば「勉強」で、なかなかレベルアップした授業についていけない、なんて人もいるだろう。学生でなくとも「人生いつまでも勉強」というのは本当にそのとおりだと思うんだけども、これがなかなか怠惰に過ごしてしまうのも世の常だね。そこで今回はそんな大人にならないように、そして新学期の授業にもついていけるように日本が誇る「勉強マンガ」の極北である『とどろけ!一番』(のむらしんぼ作)を紹介したいと思う。学生のみんなにはこれを読んで、「勉強」とは何なのかを知り、ますます勉学にはげんでもらいたいよ。
僕の世代にとっては勉強マンガというと95年に別冊コロコロコミックに連載していた『カンニンGOOD!』というマンガがあって、「究極カンニングマンガ」ととんでもないキャッチコピーがついたマンガだった。要するに様々なカンニングを武器にテストを勝ち抜いていくPTA悶絶のマンガで、子供心にかなりワクワクしたけど、今思うとよく問題にならずに9巻も続いたなぁと思う。そもそも勉強してないし。しかし後に、同じコロコロコミックに70年代に連載していた『とどろけ!一番』を読んだときには、カンニンGOOD!はだいぶマシなマンガだったんだーと悟った。それくらい伝説の勉強マンガ『一番』はヤバいマンガだ。
たとえば第一話の轟一番(主人公)と常仁勝(ライバル)のバトル。戦いの方法は、どちらかが100点をとれなくなるまで永久に試験がつづく「主要五科目デスマッチ」だ!この時点で「とんでもないマンガがはじまった」という感でいっぱいだが、試験がはじまっていきなりのセリフが「見よ!四菱ハイユニの威力を!」「負けるか!バーカーシャープペンシルローリングサンダーだ!」である。どちらも使ってる文房具の名前なのだが、完全に必殺武器扱いである。要するに往年のバトルマンガになぜか「試験」という頭脳派な題材を本気でミックスしてしまった異色の「試験バトルマンガ」なのだ。
ノリは肉体派バトルマンガなので、試験勉強も異常だ。とてつもなく重い鉛筆を使って腕を鍛えるのなんか試験勉強(らしきこと)をしてるだけまだ良いほうで、利き腕の右手を負傷したときには「うおおおお!」と左手の指で懸垂して限界まで鍛え抜いて試験に臨んだり、高速で回転するイスに座って猛烈なGを受けながら解答するNASAの秘密特訓でパワーアップしたりする。完全に勉強を放棄した壮絶なアホ特訓ばかり出てくるのだ。この特訓で生み出されるのは、一度に2枚の答案を一気に解答する「秘技・答案二枚返し」を筆頭とする異常なテスト必殺技の数々だ。これを武器にテストバトルを勝ち抜いていくのだ。
忘れちゃならない、そもそも試験方法自体の方もヤバすぎて、「主要五科目デスマッチ」などもはや常識的とすら言えて、第二話にして吹雪の中でのテスト(凍えて解答できない)、ワイキキビーチでは十字架に縛りつけられ潮が満ちれば溺れ死ぬ命がけのテスト、無重力の中を飛んでくるボールに書かれた問題に解答するテスト、そしてなぜか頻繁に出てくる武道館に満員の客を入れてのテストなど、書いてて本当に脳みそがとろけ出しそうなテストのオンパレードだ。もちろん対戦相手も個性的を越えてバカそのものな連中を取り揃えており、そいつらがこぞって試験バトルをしかけてくる。最初の方こそカンニングを武器にした敵などまぁまぁ理解できるヤツがいたが、次第に占い師、NASAからの刺客、アフリカ人、ついには正体がロボットという勉強とは何の関わりもない強敵が次々と登場する。しかもこいつらが余裕でバンバン殺しにかかってくるので、試験なのに常に命がけだ。
このように「勉強を放棄した勉強マンガ」が『とどろけ!一番』なのだが、さらにこのマンガのすごいところは、後半を迎えると本当に勉強を放棄して「バトルボクシングマンガ」になってしまうことだ。「実は今までの試験バトルはボクシングのための特訓だった!」というあまりにもひどい展開で、本当に肉体派バトルマンガに変わってしまうのである。最終的には勉強のベの字も出てこなくなるが、この超展開は大不評でマンガは終わってしまう。
さて、学生諸君。わかってもらえただろうか。世の中にはこんなバカなマンガを頑張って描く人と、こんなバカなマンガを面白がる人が結構いるのである。そしてそんな人たちも生きている。そんなに勉強だけに必死にならなくても良い、そんな世の中なのだ。
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