オワリカラ : タカハシヒョウリの「火星から来た漫読家」【第2回】
2011年07月号掲載
第一回も好評で(推測)、早くも単行本化を求める声も届き(希望)「火星から来た漫読家」、多くの人が待ちわびていた(予想)第二回目です!
前回の原稿を書き上げて送ったら早速スタッフから「すげーおもしっろかった。わらったーよ。」となぜかものすごい片言のメールが届いて以来、特に直接の反応はないですが、たとえ国家が敵になっても書き続けます。
さて皆さんは永井豪先生をご存知でしょうか?たとえ名前を知らなくても、豪先生(以降尊敬の意を込めて豪ちゃんと呼ばせていただきます!)の作品は必ずひとつは知っていると思います。豪ちゃんはそれくらい名作を書きまくってる人間国宝級の大御所マンガ家なのです。悪魔と神の戦いを描いた、悪魔三部作『デビルマン』『魔王ダンテ』『バイオレンス・ジャック』、人類史上初めて人間がロボットに乗り込んだ巨大ロボットマンガの元祖『マジンガーZ』、お色気マンガのさきがけ『キューティー・ハニー』『ハレンチ学園』。どうですか。すごいでしょう。ひざまずけ!と、自分のことのように誇ってしまいましたが、これほどあらゆるジャンルにわたって革命的な作品を残し、なおかつヒットさせているマンガ家はなかなかいません。ロックで言うところのデビッド・ボウイみたいな存在ですかね。カルトとスターを両立させたすごい偉人です。今回はそんな豪ちゃんの珠玉の作品群からひとつ選んで紹介しましょう。数ある名作の中から悩みぬいて今回選んだのは...『へんちん!ポコイダー』です!
↓ ↓
ん?なんか妙な気配がするタイトルだぞ...という声がしますね。さすがです、なかなか勘が鋭いですね。でもまあ落ち着いてください。まずは話を聞いてください。実はこの『へんちんポコイダー』は、主人公の小学生男子が、おちんちんを回転させるとヒーローに変身するというマンガなのです!
あ!帰らないで!閉じないで、スクリーム!閉じないで、ブラウザ!
お察しのとおり、このマンガは豪ちゃんの歴史の中でも脱力度がかなり高い、超しょうもないマンガのひとつなんです。何のとりえも無い落ちこぼれ小学生の変珍太(うわー、しょーもない)が「へんちん!」と叫ぶとおちんちんがグルグルと回転しだし、ポコイダーという正義のヒーローになり学園の悪者と戦うという、いわゆる変身物ヒーローマンガです!ゴクリ...。どうですか...この低能っぷり。書いていて一瞬めまいがしました。また学園で悪事をはたらくポコイダーの敵役たちも、器の小さいどうしようもないヤツぞろいな上に、全員が著作権をバリバリ侵害しそうな危険なやつらばかりです。せんだみつおに似ているせんみつ先生あたりはまだともかく、どう見てもスパイダーマンに触覚が生えただけのデビル・スパイダー先生は危険です。それどころか、倉久健人(くらくけんと→クラーク・ケント)が変身するスーパー魔人は、明らかにスーパーマンがモデルなのに、日頃のストレス解消のために変身しては生徒をいじめるという屈折っぷり。
ポコイダーも変身すると『人造人間キカイダー』の主題歌を限界まで脳みそとろけさせた替え歌が流れるのです。人造人間の悲哀を歌ったキカイダーの歌も、完全にバカ丸出しの仲間入りして著作権の服を脱ぎ捨て裸踊りです。しかも豪ちゃんのすごいところは、これに飽き足らず『へんき〜んタマイダー』という続編まで描いちゃっているのです。豪ちゃん本当にすごい!本当にすごいバカ!『タマイダー』はまだ未読なのですが、タマイダーとポコイダーの夢の共演もあるらしいです。本当に誰一人が望まなかった競演でしょう。
豪ちゃんの暴走っぷりは本人が一番面白がってるんだろーなー、というのが伝わってくるところに魅力があります。豪ちゃんは自称トランスマンガ家で、理屈で考えずにマンガを描くから勝手にキャラが死んで困るという発言まであるのです。こういうマンガのときも、なんというか本当に子供の気持ちになって描いているのでしょう。
豪ちゃんは、『デビルマン』や『マジンガーZ』など、歴史に残る大作を書く一方で、こんな歴史に絶対残らないマンガをせっせと書きまくりました。なんたってポコイダーは、豪ちゃん史上でも屈指のシリアスな大黙示録『バイオレンスジャック』と同じ時期に発表されているのです。片方で大作を作りながら、もう片方でバカをやる。それも全力で。そのユーモアを忘れない姿勢に憧れます!
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