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INTERVIEW

Japanese

cinema staff

2016年01月号掲載

cinema staff

メンバー:辻 友貴(Gt) 飯田 瑞規(Vo/Gt) 三島 想平(Ba) 久野 洋平(Dr)

インタビュアー:吉羽 さおり

10月にリリースした『WAYPOINT E.P.』に続くニューEP『SOLUTION E.P.』を完成させたcinema staff。前作は「YOUR SONG」を筆頭に歌心のあるメロディや丁寧なアレンジを活かした作品だったが、今回はその反対となるアグレッシヴなバンドの躍動感やキャッチーさ、4人のユニークな発想とがせめぎ合う楽曲の面白さが表れた1枚となっている。強いコントラストを放つ飛距離のある作品同士でありながらも、両作品にはしっかりと刺さるメロディがあり情緒の琴線や感情を揺さぶるエモーションが通奏低音的に鳴っている。cinema staffならではと言える作品だ。

-今回の『SOLUTION E.P.』は前作『WAYPOINT E.P.』に続く作品で、2作それぞれ性格の違うEPになりました。対照的な2枚にというのは、もともとあったコンセプトだったんですか。

三島:最初は、どういうイメージでEPを出すかは決まっていなくて、まず前作の「YOUR SONG」と今回の「切り札」(Track.1)というリード・チューンが、タイアップということもあって早い段階であったんです。それを別々に出そうという案が出たときに、別ベクトルに振り切ったものとして形にした方が面白いんじゃないかと。今回の「切り札」はハイテンションなものだったので、カップリングはスピード感のあるTrack.2「deadman」とTrack.3「wildcard2」を選んで作った感じですね。

-カップリングの「deadman」と「wildcard2」はいつごろできた曲なんですか。

三島:「deadman」の大元は実は去年くらいにはできていたんです。そこからアレンジが、ガラッと変わったんです。「wildcard2」は、もともとうちの事務所の残響レコードのコンピレーション『残響record Compilation vol.4』(2014年リリース)に収録した「wildcard」という曲があって。これもリアレンジしたという感じですね。なので、もともとは2014年の時点であった2曲ですね。

-「切り札」はキャッチーさもありつつ、歌メロの裏でずっとギターがメロディを奏でているという面白い曲になっていますね。

辻:そうですね。この曲はずっと裏でギター鳴らしてて今までやったことなかった感じはありますね。プロデューサーの江口(亮)さんが入ったことによるアイディアが結構あって。僕の中からはなかなか出てこないフレーズもあったりするので影響はだいぶ受けています。

-この曲はどういうふうに生まれたものなんですか。

三島:この曲は、夏に「YOUR SONG」と同じくらいのタイミングで作曲したんです。「YOUR SONG」は僕の弾き語りで作ったデモに、江口さんがピアノをつけて返してくれたりというやりとりがあったんですけど、「切り札」はある程度バンドで作ってますね。最初のサビ後の"ダダダダ、ダダダダ"というリフや展開はある程度できていて。そのデモに新たにウワモノだったり、展開を切り貼りしたり、2~3回デモのやりとりをした感じでしたね。もともと最初にアニメの89秒サイズの提出があったので、まずはそれに向けて一度動いて。アニメ・サイズを作って、またバンドで解体して、フル尺の曲を作るというかなり特殊な作り方でした。

-cinema staffとしてはアニメのタイアップやテーマ曲は、これまでも手掛けていますが、タイアップならではの曲の作り方だったり、フックの作り方は意識するんですか。

三島:そこは、江口さんが1番意識していた感じでした(笑)。最初は、今回みたいな作り方をしようとは思っていなかったんです。江口さんが、"とりあえずアニメのサイズでベストなものを作って提出して、フルはあとでもいいんじゃない?"って提案をしてくれて。江口さんはこれまでいろいろ経験しているので、そこは一度任せてくれっていう意図もあったと思うんですよね。

-そういうふうに、自分たちの曲に第三者の手が加わる面白さも感じられた制作でしたか?

三島:面白いですね。これまでインディペンデントでやってきたので、逆にこの年になって面白いと感じられるようになったことが多かったです。「YOUR SONG」のときもそうですけど、まずピアノ・アレンジは頭になかったし、ガラッと変わる大胆な発想もあるし。今回だったら、ベースはあまり変わっていないんですけど、ギターとドラムのアレンジでは結構ありましたね。あとは展開もそうですし、最後のサビを畳みかけるところとかも、自分がアレンジで意識するところとは違いますね。Aメロ以外、全部裏メロでギターを鳴らすっていうアプローチも、自分だったら絶対やらないですからね(笑)。

-プロデューサーが入った作品でいながらも、リスナーとしてはcinema staffらしさを感じる曲でもあるんです。cinema staffを自分たちでも再発見する感覚はあったのかなと思いますが。

三島:それはありましたね。人の手という言い方はおかしいですけど、一度、人の手に渡って返ってくることで、こういうやり方もあるんだっていう発想を発見できたり、そのことを通して自分たちを確認できるというか。メロについて指摘されないということは、いいメロディを作れているんだなっていうことでもあるし。でも考え方の幅は広がりましたね。それが結果的に、カップリングのアレンジに活きてきたと思います。

-久野さんは新たな発想ということではいかがですか。

久野:ずっと自分たちだけで作っていると凝り固まってしまうところがあって。自分の好きなようにということになると、自分の中にあるフレーズや展開に持っていきがちになるんですよ。でもそこに人の手が入ることで、"こういうやり方もあるんだ"っていうことにも気づけるし。毎回同じテイストになってしまうのは、それはそれで面白くないですからね。また新しい方法論を音で提示してもらったことで、視界が広がった実感もあるんです。今後に活きそうだなと思いますね。人に考えてもらったドラムは、大変な展開もあるから疲れるんですけど(笑)。でも演奏していて楽しいです。