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INTERVIEW

Japanese

ストレイテナー × SHE'S

2018年08月号掲載

ストレイテナー × SHE'S

ストレイテナー:ホリエアツシ(Vo/Gt/Pf)
SHE'S:井上竜馬(Key/Gt/Vo)
インタビュアー:TAISHI IWAMI Photo by 上溝恭香

-なんでしょうね。そのUKとUSに分かれる感覚って。

ホリエ:一概には括れないんですけど、イメージとしてコードとかメロディの雰囲気が違うんですよね。USって"泣き"のイメージで、UKはあまりそこにはいかない。RADIOHEADは、どっちかというと"泣き"にいくので、中間みたいな感じ。BLURはそういう"泣き"の視点から見ると変だから、10代でポップ・パンクにハマった人がいきなり聴いてもピンとこないと思うんですよね。

井上:まさにBLURはそうですね。ほんとピンとこなくて、大人になってから"なるほど"って。

ホリエ:僕は小学生のころに日本のバンド・ブームにハマって、邦楽や洋楽のヒット・チャートを追ったりラジオを聴いたりしてたから、Michael JacksonやSTING、JAMIROQUAI、親が聴いてたBEE GEESとかTHE BEATLESも好きだったし、結構ごちゃまぜ。わりと抵抗なくいろいろ聴けたタイプなんで、USでもGREEN DAYはがっつりルーツにあるんだけど、それは存在への憧れというか。曲に対する憧れはBLURとかRADIOHEADとか、ひと筋縄ではいかないところにあって、気がついたらUKのほうに寄っていってたの。

井上:なるほど。

ホリエ:で、そこからUSのインディーも聴くようになったきっかけはJIMMY EAT WORLDなんだよね。転機になったバンドという意味では竜馬君と同じ。

-JIMMY EAT WORLDって、UKとUSとか、ラウドとインディーとか、対立構造的に語られることもある部分の橋渡し的なところがありますよね。

ホリエ:これも大きいイメージの話になっちゃうんですけど、USって、マッチョイズムみたいなのあるじゃないですか。BLINK-182とかも、音楽的には繊細でもフィジカルというか、言ってしまえばアホな感じ。ディスってるんじゃなくて、そこがいいんです。

井上:めっちゃわかります。音自体に肉がついてる感じはしますよね。

ホリエ:うんうん。そこで、JIMMY EAT WORLDやWEEZERは、普通の兄ちゃんたちがやってる感じで入りやすいっていうのはあるよね。で、UKモノにハマってた自分が、この先バンドでやるべきことのヒントもそこにあるような気がして。日本人が好む音楽って、泣きだったりするし、自分もなんやかんやそのテイストは好きだし。あと、ギターのコード進行とベースのルートが違うとか、そういうことって今こそできるけど、当時はできなかった。そこでいいリファレンスになったのが、USの泣きのテンション・コードだったりしたんだよね。

-そのJIMMY EAT WORLDやCOPELANDが持つニュートラルな側面が、ストレイテナーとSHE'Sの接点にもなっていると思うんです。

ホリエ:音的にシンクロするところはあると思います。ストレイテナーの中でも、ピアノが入った曲になると特に。で、今回は"アンゴルモア元寇合戦記"のオープニング・テーマを我々が、エンディングをSHE'Sが担当していることで実施された対談ですけど、そこを抜きにしても親和性はあるなぁと。

井上:そんななかでも、特に今回はびっくりしました。お互いに冒頭でストンプとクラップが入ってる。ちょっと"やってもうた!"って思いました(笑)。

ホリエ:ほんとに(笑)。あとSHE'Sもオリエンタルな感じを取り入れてて、大陸の音がしてた。"考えてること被った!"って思ったよね。

-事前に擦り合わせとか......しないですよね。

井上:オープニングをストレイテナーがやるってことは知ってたんですけど、ただ名前が並ぶことにテンションが上がってたんです。で、どんな曲が来るんだろうって思ってたら、予想外でした。"戦い"がテーマなんですけど、そう考えると想像以上にメロウな感じで。でも、めっちゃストレイテナーで。

ホリエ:考えてたことが被ってて、嬉しくもありショックでもあったなぁ(笑)。

井上:なんでですか(笑)! 僕はめっちゃ嬉しかったですよ。

ホリエ:僕が竜馬君の年齢のときは、こういう曲は絶対できなかっただろうなって。"自分たちの色を全開にしてそれが勝手に使われた"くらいのものにしたいってなってたと思う。いろんな出来事を経て、書き下ろしを依頼されたからこそのインスピレーションを楽しめるようになって。でもSHE'Sはそれを今の段階でもうやってるから、大人だね。

井上:ストレイテナーは、テレビとかもぜんぜん出てなかったですよね。

ホリエ:そこは出られなかっただけじゃないかな(笑)

井上:ACIDMANとかは出てたじゃないですか。

ホリエ:ACIDMANも大々的に出るようになったのは遅かったし、ASIAN KUNG-FU GENERATIONも出ないスタンスを貫いてたし。インディー思考というか、オーバー(グラウンド)に対するアンチみたいなのはあったのかも。

-今はそういうオーバーとアンダーとかって垣根はあまりないですけど、当時はたしかにあったような気がします。ACIDMANって、チャートには上がってるのに、茶の間レベルだとちょっと謎めいた存在だったような覚えが。

ホリエ:ちょっと上の人たちが作ったロックとかパンクの精神性の影響かも。自分たちが作ったシーンで、自分たちが作った媒体で、っていう意識。DJもそうで、癖の強いパーティーやってめっちゃ人集めてましたよね。

井上:僕はそういうカルチャーを知らないし、実際今ってその当時と比べるとそういうものが減ってると思うんです。だから、曲作りしかり、露出しかり、特にこだわりがないんですよね。僕自身の性格的なこともあるかもしれないですけど、"SHE'Sはこうあるべき"みたいなのがないんです。とか言うと怒られそうですけど。"バンドのこと考えてない"みたいに。

-それはまた別の話だと思います。バンドとしてどこにでもいけることが魅力、ということだと思いますし。

井上:もともとゲームに影響を受けて書いた曲とか、好きな映画のエンディングで流れてそうな曲とか、そういうものが多いんです。クラシック・ピアノをずっとやってて、サントラを聴くのも好きだったし、今回のテーマ曲は、それが公式でできたことの喜びが大きかったです。

ホリエ:竜馬君はもともと作家気質があるんだよね。僕はバンドであることにこだわってた。でも今は作家志望(笑)。