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INTERVIEW

Japanese

ぜんぶ君のせいだ。

2024年08月号掲載

ぜんぶ君のせいだ。

Member:如月愛海 メイユイメイ 寝こもち むく 煌乃光

Interviewer:吉羽 さおり

-そして5月からのツアーを前にして、己涙々らてさんが契約解除となって5人でのスタートにもなりました。

如月愛海:そうですね。チッタ(CLUB CITTA')での公演が終わって、"天惹鬼ツアー"([コドモメンタル presents split tour "天惹鬼"])っていうコドモメンタルのレーベル・ツアーの途中でらてが抜けたのかな? そもそもチッタが終わってからの練習のタイミングで、うまくいかないときもあったんですよ。続けていくのは難しいかもって、らて自身が感じていたのもあって、序盤で契約解除という形になっちゃったんですけど、そのときもみんなで話したよね? らてから連絡が来たときに引き止めるほうがいいのかとかも話して。これまで脱退をいっぱい経験した身としては、ここから先ツアーを続けていくなかで誰かが抜けるほうがたぶん大変なんですよね。だからもしらての心が折れてしまっているのであれば、また一生懸命やったとしても、もう一度折れてしまう可能性が高いんですよ。光とかも最初よく言ってたじゃない?"今日事務所に行かなかったらもう行けないかもしれないと思った"って。

煌乃光:うん、そういうことあったなぁ。

如月愛海:自分ができないことに向き合うことが多くなってしまうっていうか。それってすごく大変なことで。

-楽しいことばかりではないですもんね。ツアーではパフォーマンス面で磨かれていくことはもちろん、それぞれの個性が磨かれていく場なのかなと思いますが。むくさんは、ツアーをやっていくなかで、ぜん君。の中での自分の役割や、むくというキャラクターができあがっていく感触っていうのはありますか。

むく:いや、正直あんまりよく分かってなくて。自分的にはすごくちゃんとやってるなって思ってても、変だよって言われたりするので、不思議な感じです。でもそれでいいよって言ってくれるから、このままでいちゃおうかなって気持ちでいます。

如月愛海:むくはそのままでいてほしい。

-喋りや動作がなんかかわいいんですよね(笑)。

煌乃光:これはもともと持ってないとできない力。

寝こもち:インタビューも、言葉の後に全部絵文字とか付けてほしいくらい(笑)。

メイユイメイ:本当にすごいよ、天然モノは。

-そして8月14日には新体制で初のシングル『蓮華粧』がリリースとなります。タイトル曲「蓮華粧」は、一発目にしてかなり攻めのぜん君。節がある、強い曲ですね。

如月愛海:武道館終わってのこの布陣での一発目ということで、制作陣も相当悩んだと思います。今回の「蓮華粧」は作曲&アレンジが有感覚さんで、スーパーヴァイズでみきとPさんが入ってくれているんですが、今のぜん君。を表現する曲としてすごくこだわって作ってくれて。曲を聴いてイメージ的に思い浮かび上がってくるのは、たぶん「ねおめろ(ねおじぇらす✡めろかおす)」とか「Heavenlyheaven」(2021年リリースの13thシングル)、曲の展開的なところでは「独白園」(2017年リリースの3rdフル・アルバム『Egoistic Eat Issues』収録曲)とかも近いかもしれないですけど。全時代のぜん君。が大事にしてた、1曲の中で目まぐるしく変わる感じ──1人の人間の感情なのに1つに決められないじゃないけど、そういう感情がこもった楽曲になってるので、初期を彷彿とさせつつ今までやってきたことも加わりつつ、今の5人の個性も乗せられた感じですかね。

メイユイメイ:今回は、"病みかわいい"と言うには軽すぎちゃうっていうか、めちゃくちゃ重い、重たい病みかわいいが来たね。

むく:なんかドスドス! って感じがする。

如月愛海:ドスドス刺してく系ね(笑)。これまでも好きな人と楽しくワイワイしているような曲もあれば、好きすぎてしんどいって曲とか、ちょっと大人になっちゃったなという曲とかもあって。1人の人生を物語っているとしては相当激しい楽曲たちだったけど、この曲が加わってさらにこじらせましたねっていうか。

寝こもち:そっちに成長しちゃったかーっていうね。

如月愛海:たしかにそう考えると最初の君の"斜め右後ろ30m"(2015年リリースの『キミ君シンドロームX / 患いハレルヤ』収録曲「キミ君シンドロームX」)を追いかけてた頃は、学生時代とかなのかな?

煌乃光:かわいらしいよね。

-今思うと、最初の頃の君を追いかけていた感じっていうのはすごくかわいらしいものでしたよね。恋愛の曲としては、そこからいろんな成長をしたり、いろんな感情を知っていったりするわけですが、今回の「蓮華粧」はなかなかにヘヴィ級な想いを歌ってますね。

メイユイメイ:でも一生葛藤してる感じがぜん君。っぽいなぁと思う。

如月愛海:"好きな人にこうしたいし、これもされたいしあれもされたいし、もうどうしたらいいんですか?"みたいなね。いろんな感情への救済、それも重い究極的な救済の意味を込めているので、歌っている分にはポップですごく楽しい曲だけど、歌詞で言ってることはまぁ......普通にお縄というか。

寝こもち:うん、実際にこれをやってしまったらギリアウトだね。

むく:いや結構アウト。

如月愛海:まぁ、それを楽しくポップに歌ってるのがぜん君。である理由というかね。

メイユイメイ:でも分かんないよ? 共依存的に"君"もこういう支配を望んでるかもしんないじゃん。

寝こもち:たしかに(笑)。

-むくさんはこの曲をどういう気持ちで、どんなふうに表現しようと思いましたか?

むく:見たときに"ふー......"っていう感じの重たい、強めの歌詞だったので、やってることは子供っぽいところがあるけど、それを大人っぽい感じで表現できたらいいなと思って、レコーディングでもやってみました。考えてた"これ"ではなかったかもしれないけど、今までの自分の中では結構かっこいい感じ、大人の感じでいけたのではないかと思ってます。

メイユイメイ:むくは、ふわふわ系な感じで宇宙感あるのに歌声は低音が効いてて、そのギャップが感じられるっていうか。

如月愛海:しかも、みんなで恋バナをしてるとむくはラヴにまっすぐなタイプっていう感じがあるから、実は誰よりも、この曲の内容に近い可能性はある(笑)。

-煌乃光さんは、レコーディングはどうでしたか?

煌乃光:私、感情を出すのがそんなに上手じゃないんです。レコーディングでも最初、"思い切り癖入れてもたぶんみんなよりピュアでまっすぐな歌になると思うから、思い切り癖を入れていいよ"って言われて。音源や歌詞を貰ってからはずーっと聴いて、この人になりきるっていう気持ちで頑張りました。

メイユイメイ:ポエトリーのパートは悩んでたよね。

煌乃光:すごく悩んだ。ポエトリーのパートが2ヶ所あったんですけど、どちらも5種類ずつぐらい用意していていって。レコーディングでは全部のパターンを試してみて、今の形になりました。

-"この人"になりきった、"この人"はどんな人だと感じましたか?

煌乃光:私、激重感情みたいなのがあんまりよく分からないタイプでございまして。なので本とか読みました。そういう本をめっちゃ探して──あ、なんて本だったっけ? すいません、話ができるようにちゃんと覚えておくべきだったのに。

如月愛海:真面目か!

煌乃光:とにかく暗めの恋愛の本を読んで、主人公の女の子が葛藤するシーンを何回も読み返して、こう表現するのがいいのかな、これで合ってるのかなっていう感じでした。

如月愛海:でも、加入をしてからここまで光自身がよーく葛藤してたから。事務所でも移動の車の中でもそうだし、自分がどうしていったらいいのかをずっと悩んでは、泣くみたいなことも多かったじゃない? うちらはそういうのをもう5、6周ぐらいしているけど、たぶんそれも一緒なんだと思うよ。