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Skream!×MUSE音楽院特別公開講座

2016年01月号掲載

Skream!×MUSE音楽院特別公開講座

メンバー:藤森 真一(Ba) 渡辺 拓郎(Dr) hozzy(Vo) 田中 ユウイチ(Gt)
インタビュアー:渡邉 徹也(Skream!編集部)

-結成15年経って、こんなにトピックが多いということはバンドとしては良い状態ですよね。

藤森:はい。最高ですね、今。

-さて、今回タイトルとなっている"藍坊主 2人の作曲者と2人のアレンジによるバンド・スタイルで完成した新作試聴会&公開インタビュー"ということで、まずは曲作りに関してうかがっていきます。藍坊主は独自の方法で曲作りをされていると聞いたのですが、どういう形で曲作りを?

藤森:独自かどうかわからないんですが、基本的には僕とhozzyが作詞作曲部隊、ドラムの拓郎とギターのユウイチがアレンジ部隊という形のスタイルがありまして、それぞれにパソコン上で音楽を作る環境があるんですよ。専門用語でDAWソフトってのがあって、音楽を作るソフトをPCにインストールしていて、作詞作曲のときもそれを使ってデモを作ります。で、そのデータを拓郎とユウイチに投げて、ふたりがアレンジして編集して全員に戻すと。そういうスタイルで曲作りすることが多いです。

-その間、対面で会わないこともあるってことですよね?

hozzy:ある程度固まってきたら1回スタジオ入って、レコーディングする前にプリプロっていう仮レコーディングみたいなことをやるんですけど、打ち込みじゃなくて実際にドラムだったらちゃんとマイクを立ててドラム叩いて。やっぱり人間が叩くのと打ち込みだと違うので、どういう感じになるかを確認して。

渡辺:アレンジ部隊のふたりが作るデータだと、僕がギターを弾いたり、ユウイチがベースを弾いたりするんで、それを実際にそれぞれのパートでやるとどうなるのかってチェックするためにプリプロをやってます。

hozzy:逆にちょっと面倒くさいっちゃ面倒くさいんだよね(笑)。

渡辺:まぁそうだよね(笑)。

hozzy:だけど、ある程度詰めていくと曲の全体像が見えてくるので、一度合わせて。そこでまた各自でやることを決めて、ブラッシュアップさせてスタジオに入って合わせて。

-そのやり方はいつごろから?

田中:気がついたらこのやり方でやっていたんですけど、よくミュージシャンのインタビューとかで"セッションで作ってみる"とか"ジャムって作る"とかってあるでしょ? あれね、藍坊主できないんですよ(笑)。

一同:(笑)

藤森:このやり方で作り始めたのは7~8年前ぐらいからですかね。

田中:アイディアが抽象的な段階で、あぁだこうだって言うよりは、ひとりの人が7合目ぐらいまで登って、全体像まではいかなくても、方向性をデモで提示する方が活発にやりとりができる。もともとの性格なのかわからないですけど。そういうのが効率良いなって思ってから、ひとりがある程度まで詰めてくるってスタイルになりましたね。

-なるほど。そして12月9日にニュー・シングル『魔法以上が宿ってゆく』をリリースされますね。おめでとうございます!

全員:ありがとうございます!

-早速ですが、告知していた通り、先行試聴を行いたい思います。

<試聴>

-改めていい曲ですね!

全員:ありがとうございます!

-ニュー・シングル表題曲「魔法以上が宿ってゆく」は、hozzy(Vo)さんと藤森(Ba)さんが4年ぶりに共作したということですが、なぜこのタイミングで共作を行うことになったのでしょうか?

藤森:今年の春ぐらいまでさかのぼるんですけど、個人的にhozzyの歌の1番いいところを探っていく作業をしたいなと思って、春ぐらいにhozzyと一度スタジオに入りました。ライヴでhozzyがいい音程でいい言葉がはまる、めちゃくちゃ無敵になれる瞬間があるんですけど、その可能性みたいなものを広げて、はまる確率をもっと上げるっていう目標があって。それで、春ぐらいから月に1~2回ぐらいのペースでhozzyとスタジオに入ってます。これ、面白いんですけど、同じ音程があったとして、その音程までの行き方とか、その後の下り方とか、そこに何の文字を持ってくるかで全然その響き方が変わることを発見しまして。それってすべての楽器の場合もそうで、固体ごとにすごく響く音程とかあるんですよ。だからヴォーカリストもひとつの楽器なんだなって思って。もちろん響きも大切だし音程も大切だけど、歌って1番大切なのはメッセージじゃないですか。その共存がなかなか難しくて、まだこの曲を作っていたときは未熟だったかなと。この状態で自分ひとりの中でデモを作っていくのは、まだタイミングが早いなって思ったのでhozzyと一緒にお願いしたってのが理由のひとつにありました。もうひとつは、まったく別の歌詞があったんですよ。もともと作ったときは"時を売る店"って仮タイトルがついてて。

-ドラマチックなタイトルですね。

藤森:主人公が歌うたいで、まだお母さんのお腹の中にいるんですけど、一生分80年ぐらいの時間を買うって話で80年の契約書みたいなものを書かされるんです。だけど生まれた瞬間にその契約書を破り捨てちゃって。その代わりに心をあげるよと。心というものがあったら時間が延びたり縮んだりすることを感じるから心で調整してくださいっていう完全にファンタジーな曲だったんです。それをシングルの1曲目として持ってくるにはちょっと抽象的すぎて、ガツンとしたメッセージ性という点で物足りなく感じたのがふたつ目の理由ですね。さっき言った"歌うたい"ということに関してはhozzyが1番理解しているはずだということと、ファンタジーの世界観プラス、もう一歩踏み込んだ強いメッセージが欲しいなってことで、hozzyにお願いして歌詞を書いてもらったんです。でき上がった歌詞を見て、最高だなと思いました。