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LIVE REPORT

Japanese

藍坊主

Skream! マガジン 2015年10月号掲載

2015.08.27 @下北沢 LIVEHOLIC

Writer 岡本 貴之

結成15周年を迎え自主レーベル"Luno Records"を立ち上げるなど、より攻めの姿勢で音楽シーンに立ち向かうロック・バンド、藍坊主。この日は下北沢LIVEHOLICでの初めてのライヴ。キャパシティが180というだけあって、開場時間には道路上にお客さんが大行列を作り、周囲からも"なんだなんだ!?"と注目を浴びるほど。下北沢の街がただごとではない雰囲気になっていた。


開演時間が過ぎると、SEにファニーな「イエロー・マジック・カーニバル」が流れ、なんと会場入口から手拍子にのりメンバーが登場! 驚きの声の中、ステージに上がったメンバーたち。hozzy(Vo)が"下北沢LIVEHOLIC降車ボタンのかき鳴らしかた、始めます! よろしく! じゃあ1曲目は「Esto」!"と叫ぶと、ドッと歓声が上がり、観客は一気にステージ前に詰めかけた。田中ユウイチ(Gt)が髪を振り乱し、リズム隊の藤森真一(Ba)、渡辺拓郎(Dr)はシンプルで力強くビートを刻む。サポート・キーボーディストのツタナオヒコがその男臭さに色彩を添えている。一斉に腕を振り上げてサビを合唱する観客たち。キーボードのイントロに郷愁感を感じさせる「伝言」。ライヴハウス後方まで拳を突き上げて盛り上がっている。
「ブルース」では間奏のブルース・ハープに歓声があがる。距離も近いが声や演奏もほぼ生音と言ってもいいくらいの感覚で、バンドの個性がそのまま伝わる生々しいライヴだ。hozzyがギターを置き、パンキッシュな「ハニービースマイル」が始まるとグッと前に乗り出す観客たち。一転、じっくりと言葉を届けるようにストレートな、「名前の無い色」には立ち尽くして聴き入る者も。


"ありがとうございます! 初めてなんですけどこんなにお集まりいただき感激です。お互いの距離が近いね。近すぎるよね(笑)"と田中がメンバーとの距離が近いことについて語り笑わせる。藤森は、"正式には下だけど、ここは(下北沢)屋根裏の跡地なのでほぼ同じなんですよ。だから今日デジャヴを感じてる(笑)"と、ライヴ・バンドらしいコメント。"今日はゆっくりしていってください"とシンフォニックな鍵盤のイントロからバラード「夜はひらめく」が始まると"おぉっ!"と歓声が。続いて8月5日に発売された最新シングルにライヴ音源として収録されている「エチカ」を披露。途中、ピアノとベースの絡みを中心にしたジャムをユーモアたっぷりに指揮者のようなアクションで仕切るhozzyを観る観客たちも楽しそうだ。「柔らかいローウィン」では和やかで懐かしさを感じさせるメロディにほっこりした雰囲気が充満した。


そして、今日のライヴのテーマ的な新曲「降車ボタンを押さなかったら」を披露。ディレイがかかったギターのイントロが印象的だ。スケールの大きな「花火計画」から、幻想的な鍵盤の音で始まった「オレンジテトラポット」は、まるで夏の終わりを惜しむかのような選曲だった。「ホタル」ではイントロが鳴った瞬間にバンドを盛り立てるように一斉に手拍子を送る観客たち。疾走感のある演奏の中を"なんで大人になっちまったんだろう"と歌うhozzyはまるで夏の少年に帰ったかのようだ。


"ラスト・スパートついてきてくれますか!?"と観客を前のめりなリズムとギター・リフで煽り、大合唱で盛り上がった「冒険風」から、"もう夏が終わってしまいそうだけど、季節があるのはいいと思いませんか? 最後に夏の歌を聴いてください"と「いわし雲」へ。スライド・ギターとピアノの艶のある音色が情緒たっぷりで、観客は演奏に合わせて左右に手を振っている。いったんステージをあとにしてから"藍坊主コール"に呼び込まれ再びフロアを通ってステージへ。アンコールはライヴ前半のMCでエピソードとして語った"昔ここにあった下北沢のスタジオで作った"という「夏草」。両手を広げて手を叩きフロアに向かって歌うhozzy。ラストは昨年リリースしたアルバム『ココーノ』から「バタフライ」を演奏。"オイ!オイ!"と拳を突き上げて最後の瞬間を燃焼させるような観客たちに激しくも軽やかな演奏で応えるメンバーたち。満員のフロアに一体感が生まれる中、エンディングを迎えた。夏の終わりに相応しい、忘れられない思い出になりそうな熱くも爽やかなライヴだった。

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