Japanese
竹田昌和(ウソツキ) / 山内彰馬(Shout it Out) / 宍戸 翼(The Cheserasera) / 塩入冬湖(FINLANDS)
Skream! マガジン 2018年09月号掲載
2018.06.28 @下北沢LIVEHOLIC
Writer 沖 さやこ

LIVEHOLIC 3周年イベント唯一の弾き語り公演には、若手4バンドのフロントマンがそれぞれソロで登場。1番手の塩入冬湖(FINLANDS)は椅子に腰掛け「highland」を歌い始める。透き通ったアルペジオのリフレインは、切なく優しく丸みを帯びた音色で、まるで涙のようだ。彼女は歌う前に、自分の想いや信念、美学をひとつひとつ言葉にして観客へ伝える。「恋のままで」を歌う彼女の声は切実で悲しいが、瞳は凛として目の前をまっすぐ見つめていた。情熱的で感傷的なのにどこか冷めている、ミステリアスな空気感が心地いい。ラストは「オーバーナイト」。彼女の心の中に迷い込むような30分間だった。

"緊張しますね"と笑いながらステージに立ったのは宍戸 翼(The Cheserasera)。飄然とした様子だが、集中力は欠かさない。「Youth」、「賛美歌」とメロディを耽美に響かせ、声量とギターの音量の強弱で楽曲をドラマチックに描いてゆく。「Yellow」は原曲よりもキーを低くアレンジ。"友達にはすげぇバカだけど大好きな奴がたくさんいます。愛すべきバカたちにこの歌を"と前置きした「コーヒー」では、ハスキーなファルセットやメリハリのあるプレイで魅了した。バンドの最新作の表題曲「最後の恋」では激しくギターをかき鳴らす。その気迫に、彼のロック・バンドとしての真髄を目の当たりにした。
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山内彰馬(Shout it Out)は「青春のすべて」を1番だけ歌ったあと、おもむろにバンドのアコースティック曲「ギターと月と缶コーヒー」を歌い出した。彼は弾き語りではセットリストを事前に決めず、残り時間を考慮しながらそのときの空気感や感情が導くままに音を鳴らしていくという。千賀かほるの「真夜中のギター」のカバー、彼が初めて書いた東京の歌「さよならBABY BLUE」と自身のロマンチシズムを展開していく。特に17歳のころから好きでよく歌っていたという3markets[ ]の「セブンスター」のカバーは痛烈で秀逸だった。その緊張感を保ったまま最後に歌ったのは未発表曲「故郷」。Shout it Outでは見せていない彼を見た気がした。

竹田昌和(ウソツキ)はこの日唯一のルーパー使用者。"最近暑くないですか? だから夏の曲を執拗にやります"と言い、「夏の亡霊」、「恋はハードモード」、「名もなき感情」という今秋リリースのアルバム収録曲から新曲3曲を畳み掛ける。センチメンタルな楽曲、ファンク的でユーモラスな楽曲、美しいリフとメロディが映える楽曲と、アコースティックでも多彩な表現を成す彼に舌を巻いた。最後に「一生分のラブレター」を演奏するも、鳴り止まぬ拍手に急遽アンコール。"最後は銀河鉄道に乗って帰ります(笑)"と「新木場発、銀河鉄道」で煌びやかにこの日を締めくくった。
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