Japanese
Shout it Out
2016年07月号掲載
Member:山内 彰馬(Vo/Gt) 細川 千弘(Dr)
Interviewer:沖 さやこ
"未確認フェスティバル2015"のグランプリを獲得して以降、12月にミニ・アルバム『Teenage』のリリース、ドラマー 細川千弘の正式加入、2016年3月にはEP『僕たちが歌う明日のこと』のリリースと、ものすごいスピードで制作とライヴを続けてきたShout it Outが早くもメジャー・デビュー。1stシングル『青春のすべて』を完成させた。フロントマンである山内彰馬の尊敬するSUPER BEAVERの柳沢亮太をプロデューサーに招いて制作された今作のテーマは"生きる"。二十歳を目前にする彼らが、なぜ"青春のすべて"でもってそこに向き合ったのか? バンドを代表して山内と細川がじっくりと語ってくれた。
-今年3月にEP『僕たちが歌う明日のこと』をリリースなさってから、全国各地を飛び回ってかなりたくさんのライヴをやっていらっしゃいましたが、だいぶ鍛えられたのでは?
山内:3月に11日連続を含めた計16本、各所でライヴをして......ひと息つく暇もなかったです(笑)。でも、毎日毎日掴まなきゃいけないものに近づいていっている感覚があって、1日1日で自分たちが成長していけてるのがわかって。その11日連続の最後の日、BIGMAMAのイベント(※3月24日に新代田FEVERにて開催された"Welcome to BIGMAMA University")でしっかりボコボコにされたんです。それがShout it Outにとってはすごく身になったかなと思ってます。自分たちが手応えを感じるだけではなく、ちゃんと現実と向き合うことができた。やっぱり先輩はかっこいいんだなと。
細川:季節的にも体調が心配だったんですけど、そんなこと気にする暇もないくらいのスケジュールで、本当に密度が高い11日間でした。前日のライヴの欠点を翌日に改善して、またそこで新しい問題が出てきたら次の日に......という感じだったので、どんどんいろんな問題を解決していって。最終的に一番印象に残ったのは、"ライヴはすごく楽しい"、"俺たちはライヴしてお客さんに直接伝えるために活動してるんだな"という原点回帰でした。
山内:うん。それを改めて自分たちで確認できたのはでかかったですね。
-そうですね、Shout it Outはどんどんたくましく成長していると思います。そして"未確認フェスティバル2015"グランプリ獲得から1年弱、山内さんの二十歳の誕生日の4日前に1stシングル『青春のすべて』でメジャー・デビューが決定。今作に収録されているボーナス・トラックを含めた4曲は、このシングル用に作った曲ですか?
山内:ボーナス・トラックの「ギターと月と缶コーヒー」は去年の暮れに作った曲なんですけど、それ以外はこのシングルのために書きました。「ギターと月と缶コーヒー」を作ったときには、曲調的にも"この曲はバンドでやる曲ではないかな。いつか弾き語りで活動するようになったらそのときに使おう"と思ってたんです。でも周りが"「ギターと月と缶コーヒー」は、この10代最後のタイミングで(CDに)入れるべきでしょう"と言ってくれて。......その時々にしかできないことをリアルタイムで発信していきたい、というのは僕がこのバンドですごく大事にしていることなんですけど、それが(Shout it Outチームの)共通認識になっているんだな、とわかってすごく嬉しかったんですよね。
-「ギターと月と缶コーヒー」はアコースティック・アレンジも手伝って、山内さんのパーソナルな部分が反映されている曲だと思いました。
山内:僕の母は音楽活動にすごく協力的な人で。でも去年一度だけ、覚悟の甘さを理由に進路を反対されたことがあって。反対されたことなんて今までなかったから――それで歌詞のとおり真夜中にギターを持って逃げ出すように家を出て公園で作った曲なんです。そのとき反対されたことによって、ちゃんと"あぁ、本当に俺は音楽に人生を賭けないといけないんだな"と自分がやっていることの重さがわかった。そういうことを知れたときに作った、すごく思い入れが深い曲なんです。
細川:歌詞も全部実話やからな。リアルが染み出てる。だから音は、キャンプファイヤーを囲んでメンバー全員がセッションしてるような雰囲気で録りたくて、スタジオの照明も全部落として、完全一発録りで雰囲気を大事にしました。編集もほとんどしてなくて。ギター・ソロとか、すごく哀愁が漂っていていいなと思います。
-そうだったんですね。そういう山内さんの新たな覚悟を経てできあがったのがメインの3曲。このシングルは4曲とも"青春"と"生きること"がテーマになっています。既発曲の「若者たち」(2015年リリースの『Teenage』収録曲)など、このふたつのテーマはもともとShout it Outが大事にしてきたことでもありますよね。
山内:僕は曲を作るという作業が、自分が伝えたいことの核心を探っていく作業なんですけど......結局のところ、本当に伝えたいことはそんなにたくさんあるわけじゃなくて。10代最後ということで"青春"を表現したかったんです。けど、僕が思う青春ってなんだろう? と考えたときに、部活をみんなで頑張るような友情や、放課後ふたりで帰るような恋がまず最初に思い浮かぶんですけど、もっと深くまでいくと"死生観"に辿り着いて。僕らの世代は誰でもSNSをやってるじゃないですか。みんなそういうところにすぐ"死にたい"と書くんですよね。僕らの世代は"死"というもが悪い意味で身近になってしまって、軽々しく言えるものになってしまっているな......と。だからSNSに蔓延した"死"を上回る数の"生きる"を口にしてやろうと思って。
-おふたりはSNSに"死にたい"と書いてしまう子たちの気持ちはわかりますか?
山内:僕は"死にたい"と書いたことはないけど......そういう単語をよく目にしますし、そう思っちゃうこともあるんですよね。だからこそ"死"というものが身近になっているなと思って、"生きる"をテーマに歌おうと思ったんです。
細川:僕も全然思っちゃいますね......。普通なら思うだけで終わるんだけど、(山内)彰馬はすごくピュアで熱い奴だから、SNSでそういうものを見たり、自分がそういう気持ちになると"死にたいってなんだよそれ"みたいに思うタイプなんです。だから全曲、歌詞に"生きる"という言葉が入ったんだと思います。
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