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INTERVIEW

Japanese

Shout it Out

2016年12月号掲載

Shout it Out

Member:山内 彰馬(Vo/Gt) 細川 千弘(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

9月から山内彰馬と細川千弘の2人体制で活動しているShout it Outが、メジャー・デビュー・シングル『青春のすべて』から5ヶ月というインターバルで2ndシングルとなるEP『これからと夢』をリリースする。新体制初作品は、彼らが信頼していてプレイヤーとしても一目置いている同世代のバンドマンや細川の実兄をサポート・ミュージシャンに迎え、前回に続きSUPER BEAVERの柳沢亮太がプロデューサーとして参加している。「青春のすべて」を更新する楽曲が生まれたのは、彼らの現況ゆえだった。

-Shout it Outは9月から新体制での活動をスタートさせて(※ギターの露口仁也、ベースのたいたいが脱退)、全国各地で数多くライヴをなさっています。私はそのうち2週間で3回拝見し、短期間でありながら回を重ねるごとにバンドの結束が強まっていることを感じました。以前以上に音楽が身体に染みついているようにも見えます。

細川:4人体制からふたりになってすぐに、"前にいたメンバーがこんなところまでやってくれてたんだ"と気づくことがいろいろあって、まずそれをどうふたりで回していくかを考えました。最近は"俺がこれをやるからお前はこれをやってくれ"というのがスムーズに回るようになってきて。自分たちから率先して音楽のことを考えて、"こうしたい、ああしたい"というのがより明確に見えてきて――四六時中音楽に取り憑かれているので、自覚はないけれど"音楽が身体に染みついてる"と言っていただけるのは嬉しいです。本当に音楽だけを楽しくやっていると思いますね。

山内:僕はいい意味で原点に立ち返れている気がしていて。(脱退したメンバーとは)付き合いが長いのもあって、"言葉で言わなくてもわかるだろう"と空気感に甘えちゃって、流していた部分もあったんです。でもライヴのサポート・メンバーとは出会って間もないから、彼らと活動していくとなるとちゃんと言葉にしないと伝わらないし、置いてけぼりにしちゃう。僕ら自身も思っていることを言葉にしてこなかったぶん、自分の思っていることがはっきりしてなかったと思うんですよね。だからサポート・メンバーに対して"自分たちがどうしたいか"を言葉にすることで、同時に自分たちのことをちゃんと見つめ直すことができて。すごくいい機会になったと思います。

-ライヴのサポート・メンバーも、ただプレイするだけではなく、Shout it Outをちゃんとバンドにしていこうという意志のもとステージに立っていることが伝わります。

山内&細川:いやぁ、本当にそうなんです。

山内:メジャー・デビューして2ヶ月でメンバーがふたり抜けて、お客さんも"えっ!?"と思った時期やと思うし、別の場所で音楽をやっていたサポート・メンバーにとってはShout it Outとお客さんのもともとの関係性もわからなかったと思うし。このタイミングでサポートをするのは、本当にすごいプレッシャーやし......怖いことやったと思うんです。それにもかかわらず僕らに力を貸してくれているので、新体制で動き出すときに"僕らもしゃんとせな"とすごく勇気をもらいました。感謝してます。

細川:僕も去年の10月からサポート・メンバーとして入った身なので、本当に(サポート・メンバーの)気持ちがわかるんです。最初にステージに立ったときは"どう見られてるんやろ"と思ったし、どうしても(前のメンバーと)比べられてしまうし。特に今の僕らの状況で引き受けてくれて......サポート・メンバーがいなければ俺らは今こうしてライヴはできていないから、本当に助けられていて。しかもサポート・メンバーは全員ずっと音楽が大好きで必死に音楽をやってきた人たちで、初めてのことにも全力で取り組んでくれる。僕たちの曲の中にすごく入り込んで音を鳴らしてくれるんです。

山内:練習2日で新体制初ライヴだったのに、それでもしっかり仕上げてきてくれて。

細川:......最初のライヴ、10曲以上あったのにね。

山内:ね。今は彼らの個性も見られる空気感がライヴで作れているんじゃないかなと思います。僕らも最初スタジオに入ったときはだいぶ気を遣っていたけど、今は身を委ねられる音を後ろで鳴らしてくれるので。気持ち良く歌を歌えているなという感覚でやれています。

-おふたりなら大丈夫だと思っていましたが、想像以上でした。そして新体制初作品となるEP『これからと夢』。収録曲のうちTVアニメ"DAYS"のエンディング・テーマであるリード・トラック「DAYS」(Track.1)の制作は、2016年5月から始まって、8月中旬にレコーディングだったとうかがいました。アニメの制作サイドから注文はありましたか?

山内:それが、こっちが困ってしまうほどそういうものがなかったんです(笑)。『青春のすべて』の制作が終わったくらいのときに、"DAYS"のエンディングをやらせてもらえるかもしれないという話をいただいて、原作の漫画を読んで。"DAYS"はサッカーがうまくないのに、一緒にやる仲間が好きだからやっている男子高校生が主人公のサッカー・アニメなんですけど、僕はそこにすごく親近感を覚えたんです。最初は"何も注文がないところから作るのは難しいな......アニメに寄り添った曲が作れるのだろうか......"と思ってたんですけど、自分のことをアニメと重ね合わせたら結構サラッと曲ができました。何曲かメンバーとスタッフさんに送って、そこから選んだのが「DAYS」です。だからただアニメのエンディング・テーマというよりは、ちゃんと自分自身を投影してできた曲だと思います。レコーディング直前まで歌詞を書き換えていたので、夏の時点の心情も入れられたんじゃないかなと。

-レコーディングをした8月中旬は、夏フェスやイベントにも多数出演なさっていたし、メンバーの脱退も控えていて、おふたりにとっては踏ん張りどころだったでしょう。

細川:バタバタしてた時期ではありました。メンバーが抜けて初めて録音した曲が「DAYS」で。彰馬の決意が入った歌詞になったと思います。

山内:バタバタしていたとはいえ、焦りを入れても前に進めないなと思ったので。今までの自分に学ぶ......じゃないですけど、こういうときこそ今までやってきたことを信じようと思ったんですよね。だから「DAYS」はあまり新しいことをせずに、今までやってきたことを改めて見つめ直して作りました。