Japanese
2022年07月号掲載
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コロナ禍の中、ツアー途中でファイナルの東京公演のみが延期となり、約5ヶ月待ったファンの前で開催されたライヴである。配信もされたが、塩入冬湖(Vo/Gt)が『FLASH』がひとつの区切りになったことや、例年と違いすぎる2021年を記録しておきたかったのではないだろうか。現場で観ていた者としてはギミックも何もないクリアな映像は驚きでもあり、覚悟も感じ取れた。『FLASH』収録曲を軸にライヴの人気曲も挟みながら本編のみ18曲を完走するスタンスは、映像で観ると、よりその無駄のなさが際立つ。新作からの楽曲に関するMCもこのライヴでしか聴けない/観られないもので、曲に対する愛着が深まった。平穏な日常に感謝しながらも、閃きにもまた抗えない。この時代を生きる自分の気持ちを確認できる貴重なドキュメントだ。(石角 友香)
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Related DISC REVIEW
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前作『FLASH』から約4年ぶりのフル・アルバム。結婚や出産といったライフステージの変化を迎え、さらに昨年3月にはメジャー・デビューも果たす等、この4年間で塩入冬湖(Vo/Gt)を取り巻く環境は大きく変わった。それでも、彼女のまっすぐな歌声と人間性、バンドの姿勢はこれまでと変わらず、芯の強さを感じさせる。サウンドの奥行きとレンジの広さを見せる「ララバイ」、気だるげなヴォーカルとキャッチーなメロディが絶妙にマッチした「割れないハート」、今作の中でも一際エッジィなロック・チューン「VS」、親密な空気感を纏った丁寧なサウンドメイクの「シルエット」、アルバムを象徴するタイトル・トラック「HAS」等、新曲7曲を含む全12曲。(山田 いつき)
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FINLANDSとしての活動10周年を2022年に迎え、その先の2023年にベスト・アルバムではなく、初期楽曲や前身バンド THE VITRIOLの楽曲も包摂して再録するのは塩入冬湖(Vo/Gt)にとって、初期衝動にとどまらない音楽の普遍性を自ら実感したからなのだと思う。サポート・メンバーの変遷はあれど、現在の研ぎ澄まされたアンサンブルにブラッシュアップできている彼らとのアレンジが音源で聴けるのは嬉しい限りだ。若さゆえの残酷さが大人な音像でむしろ際立つ「あそぶ」や、情景や温度が喚起される「April」など、原曲の色褪せなさが証明されるし、ライヴで演奏され続けてきた「ゴードン」がリアルタイムの演奏で聴ける嬉しさも。さらに新曲「SHUTTLE」は過去と現在を接続するようなテイストなのも聴きどころだ。(石角 友香)
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コロナ禍の中、ツアー途中でファイナルの東京公演のみが延期となり、約5ヶ月待ったファンの前で開催されたライヴである。配信もされたが、塩入冬湖(Vo/Gt)が『FLASH』がひとつの区切りになったことや、例年と違いすぎる2021年を記録しておきたかったのではないだろうか。現場で観ていた者としてはギミックも何もないクリアな映像は驚きでもあり、覚悟も感じ取れた。『FLASH』収録曲を軸にライヴの人気曲も挟みながら本編のみ18曲を完走するスタンスは、映像で観ると、よりその無駄のなさが際立つ。新作からの楽曲に関するMCもこのライヴでしか聴けない/観られないもので、曲に対する愛着が深まった。平穏な日常に感謝しながらも、閃きにもまた抗えない。この時代を生きる自分の気持ちを確認できる貴重なドキュメントだ。(石角 友香)
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コロナ禍の影響もあり、延期になっていた新作が約2年ぶりに到着。その間の塩入冬湖(Vo/Gt)ソロの表現も、2021年にオルタナティヴ・ギター・ロック・バンドであることの必然も、通底していることを実感する作品だ。この特異な時世を音楽に持ち込みたくないという気持ちと、偶然にせよコロナ以前から書いていた「まどか」(配信とは別Ver.で収録)から連なる、当たり前に続いていた日常や理想の唐突な断絶に対する怒りと弔いにも似た感情。逆に恒常的に彼女が抱えている"自分"を構成している要素と他者との関わりへの熱望と懐疑。音楽的には速めのハチロクの「HOW」、巨大なグルーヴを巻き起こす「ナイトハイ」、ヒップホップ・テイストもある「ランデヴー」、和なコード進行がダークな「Balk」など新たな側面も。(石角 友香)
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ゲスト・ベーシストにジョーザキJAPAN(ミスタニスタ/ZOOZ)、合月 亨(Ao/オトノエ)、コシミズカヨ(ex-FINLANDS)を迎えた以外は、すべて塩入冬湖の歌とアコースティック・ギター、ピアノ、デジタル音源によって完成した宅録作品。訥々とした弾き語りがタイトルの"恋のままで"のあとに続く希望を各々の心に問い掛けるような1曲目から始まり、ピアノや無機質なビート、背景音のSEが愛らしい「timer」、エレクトロニックなポップ感に恋愛の破滅的な側面という一見ミスマッチな取り合わせがユニークな「パール」、これまでも歌ってきた「雪に咲く朝の花」を音源ならではのうっすらと聴こえるオルガンの音などで、空気感や温度感を閉じ込めているのも新鮮。パーソナルさがむしろ普遍性を生んでいる。 (石角 友香)
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初のEPは昨年秋のツアー後に制作された新曲2曲に初期曲の再録、昨年10月に無料配信された楽曲を収録した4曲入り。新曲は両曲ともポップネスを持ちながら、ソングライターである塩入冬湖(Vo/Gt)の相反する孤独観が反映されており、「UTOPIA」はナチュラルなミッド・テンポのサウンドで刹那的快楽を甘く切なく歌う。「call end」はエッジーなギターと感情的なヴォーカルが作り出すスピード感と焦燥性が生々しい。「衛星」と「天涯」もそれぞれで孤独を想起させるサウンドスケープや言葉が散見されていることからも、塩入が元来持っていた、孤独の概念やひとりの世界が抽出された楽曲が揃ったと言っていいのでは。人間が持つ複雑な感情を混じり気なく落とし込んだ音、言葉、歌はほろ苦くも温かい。(沖 さやこ)
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BALLOND'ORとのスプリット盤も記憶に新しいFINLANDSによる、オリジナル作品としては1年ぶりの2ndフル・アルバム。タイトルの"BI"は"ふたつの"という意味がある言葉。フロントマン/ソングライター、塩入冬湖(Vo/Gt)の音楽家としての自分と、女性としての自分という"BI"を基盤として、12曲で様々な"BI"が入り組みながらも軽やかに展開していく。ハイ・テンポでインパクトのある楽曲の威力や、ポップ・ソング、ダンス・ロック、気だるいグランジなど、多岐にわたるサウンド・アプローチのなかでもひと際存在感を放つのは、中盤とラストに控える計4曲のミディアム・ナンバー&バラード。塩入の憂いのあるヴォーカルと優しい楽器の音色は、聴き手へ物思いにふける心の余裕を与える。(沖 さやこ)
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サウンドや曲調は違えど、恋愛や失恋やもどかしさ、生きていくうえでの憤懣やるかたない思いを音楽へ昇華する部分では共通する2バンド。初スプリットは、互いの途中作業をまったく知らずに進行したという。BALLOND'ORの「リトルダンサー」は、MJM(Vo/Gt)の映像的な歌詞とその内容を純度の高いヴォーカルで表現したことに加え、どこか少年性を残す内容にマッチした†NANCY†(Syn)のコーラスもいい。「WULFMAN2」は動物的な鳴き声(遠吠え?)が彼らならでは。FINLANDSは日本の女の子ならではのグランジ感と棘のような歌詞が絶妙で、BALLOND'ORのカバー「心臓に咲く薔薇」もまるで彼女たちのオリジナルと聴き紛う仕上がり。歌詞とメロディの良さをカバーで再認識するリスナーも多いはず。(石角 友香)
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FINLANDSの新作は、数ヶ月に及ぶプリプロ期間で曲を練り、アルバム・タイトル"LOVE"に込められた思いをメンバー全員で共有することでよりバンドの結束力を強固にして、北海道札幌市にある芸森スタジオでの合宿で録音を行ったという力作。何より曲がいい。すでに昨年のワンマン・ライヴでも披露された「カルト」、ドラマチックでキャッチーな「フライデー」の他、メロウな「Back to girl」など、塩入冬湖(Vo/Gt)が書くメロディに寄り添いつつ主張も忘れない楽器陣の演奏も表現力豊か。特に今回、コシミズカヨのベース・プレイと粒立ちのいいサウンドは大きく作品に貢献している。「恋の前」、「サービスナンバー」といった歌詞の意味を読み取りながら聴くのも楽しい。現在の彼女たちの創作意欲が見事に結実した傑作。 (岡本 貴之)
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"出れんの!?サマソニ!?"を始め、多くのフェス、イベントへの出演を経て1年ぶりにリリースする新作は彼女たちにとって初めてのフル・アルバム。Track.1「ウィークエンド」で勢いよく始まり、そのまま雪崩れ込むようにTrack.2「バラード」へと進む流れが文句なしにカッコいい。中盤はテンポの速い曲よりもミディアム・テンポの曲が多い印象で、曲数の多いフル・アルバムならではの試みもあるのか、サポート・メンバーを含めたバンドの演奏も塩入冬湖(Vo/Gt)の歌い方も様々な表現方法にトライしているように聴こえる。そこにはどう料理することもできる元来のメロディの良さへの自信を感じさせるとともに、ライヴ活動から生み出されたメンバー間の信頼関係が窺える。(岡本 貴之)
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女性2人組ロック・バンドの4作目のミニ・アルバムにして2枚目の流通盤。夏であろうと冬であろうとモッズコートを着てライヴを行うというユーモアと頑固さを感じさせる活動スタイルを決してエキセントリックなだけに終わらせない、ガッツ溢れるギター・ロック。イントロからこれぞロック・バンドといったアンサンブルが楽しめるTrack.1「クレーター」、ひと際ポップなメロディとアレンジによるTrack.2「さよならプロペラ」、ハイトーンでぶっ飛ばすTrack.3「ダーティ」といった楽曲はメンバーのふたりはもとよりサポート・プレイヤーの緻密な仕事ぶりが光る。サポート・メンバーと共に4人で作った初めての作品ということもあってか、バンドとしての結束力の強さも感じさせるアルバムだ。(岡本 貴之)
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