Japanese
FINLANDS
2021年04月号掲載
Member:塩入 冬湖(Vo/Gt)
Interviewer:石角 友香
オリジナル・メンバーがソングライターの塩入冬湖ひとりになったFINLANDS、新体制の第1弾アルバム『FLASH』。これまでライヴ・バンドとして活動してきた彼女たちが、ライヴができない状況の中で制作した、アルバムとしては約2年半ぶりとなる本作には昨年、配信リリースした「まどか」と「HEAT」をはじめとして、すでに2019年の段階で形になっていた楽曲も収録されているが、印象的なのは塩入の他者との距離感や、愛という概念を歌詞に落とし込んだときの印象の変化だ。誰もが自分自身と向き合わざるを得ない期間を通して、彼女がFINLANDSで表現したくなったものとは。じっくり話してくれた。
自分が感じる愛情の種類が変わったから、愛っていう言葉を解放できた部分はあったかなと思います
-去年はソロ・ミニ・アルバム(『程』)を出されて。並行してFINLANDSの制作も始まってたんですか?
去年の4月にレコーディングを予定してたんです。なので、もう8割~9割はできてたんですよね。で、できてる中でレコーディング・スタジオに入れなくなるだとかがあって頓挫したので。逆に去年、活動がうまくできなくなったときには『FLASH』ってアルバムのだいたいはできていて、逆にそれがあったから心の支えになって、ソロにも取り組めたという部分はあるかなと思います。
-『FLASH』のおおもとは2019年の早いうちからあった?
2019年に形をフル・アルバムで行こうというのだけは決めて、取り掛かり始めて。ツアー([FINLANDS "REMOTE CULTURE TOUR 2019"])が冬前ぐらいにあって、そのときに去年配信した「まどか」と「HEAT」を作ってたんですけど、それぐらいから『FLASH』ってアルバムをちょっとずつ考え始めてましたね。
-アルバムに着手するとき、塩入さんが考えてたことって?
2018年にフル・アルバム『BI』っていうのをリリースしたんですけど、それからほぼほぼ3年ぶりのアルバムで。『BI』ってアルバムは作り始める前にすべて終わりまで決めていたというか。こんな曲を入れて、こんな構成にしてっていうのが全部自分の中で結構決まりきってるなかで作ったんですね。曲に関しても全部書き下ろして、すごくパーソナルな部分に偏ったアルバムだったなって思って。そういうアルバムはきっと今しか作れないって思いもあった。でも、『FLASH』ってアルバムに関しては、パーソナルな部分は少ないなと思ってて。もともと自分の年齢が変化していくことによって、書いていく曲も変わっていくだろうなと考えてたんです。恋愛だとか、怒りだとか、そういうものにスポットライトを当てて書かなくなってきたなってすごく思ったので、今回自分を俯瞰で見たものだったり社会を俯瞰で見たものだったり、そんなアルバムにしたいなと。なおかつ今まで、FINLANDSって大好きか大嫌いかと思ってもらえればいいと考えてたんですけど、それって音楽を好きな人が探って探って辿り着いた先にFINLANDSがあって、そこで大好きか大嫌いか判断してくれるという、すごく狭い範囲の話だったと思うんです。でも、今回はたまたま乗ったタクシーの中だったり、たまたま入ったコンビニの有線だったり、そういうところで普段音楽を聴かない人の耳に入ったときに、"あ、なんかいいな"って感じてもらえたらいいなと思って作ったんですよ。
-塩入さんがそういう心持ちになった理由は思い当たりますか?
歌詞の部分で自分の自我を強く出さないっていうのは去年すごく思ったことなんですけど、新しい人に出会わなくなると、自分の根源的な部分を探り始めることが多いなと。そうなってくると自分対自分みたいな部分で、自分のことを考え始めたんですよね。なので、そういうことが作用して。逆にあんまり出会いがなかったのが良くて、自分のことを俯瞰で見れるようになったから、歌いたいことというか、歌詞の書き方が変わったのかなっていうのはあります。あと、今まで私はライヴハウスがすごく好きで。深夜にイベントすることが好きで、地下のライヴハウスでそういうカルチャーに触れて育ってきましたし、そこで今まですごく満足してやってきたし、楽しいなって状況だったんですよ。でも、あるときライヴ終わったあとに、今までこういうライヴ・シーンに影響されてきたし、いろいろ貰ってきたと思うし、自分はそこで構築されてきた部分がすごく多いけれども、このまま楽しいところにいつづけたいだけじゃ私は何もそこに還元できないし、それだけじゃちょっと物足りなくなってくるんだろうなと思って。だったらもっと新しいものに触れられる環境や、作品を作ってみたいなと感じたんですよね。それが大きかったと思います。
-今回、"愛"という言葉をいろんな角度で使っていらっしゃると思うんですけど、すごく多いなと思ったんですよ。書いてて自然と出てきた感じですか?
そうですね。今まで使ってきた愛情っていう言葉は恋愛とか、すごく見えやすく、わかりやすい愛情に対して使ってきたと思うんですけど、今回は自分に対しての愛情であったり、自分を構築してくれたものに対しての愛情だったり、世の中でずっと続いてきてるしきたり的な愛情だったり。そういうものを考える時間がすごく多かったなと思って。"愛"って言っても、一重に色恋の愛じゃない部分がすごく多かったんです。きっと昔だったら愛って言葉にそんなにいい印象を抱いてなかったと思うんですよね。わかりやすい歌詞を書きたいとも思っていなかったですし。自分が感じる愛情の種類が変わったから、愛っていう言葉を解放できた部分はあったかなと。自分に対して素直に生きるというか、素直になることで、初めて触れ合える愛情はすごくあるなって。そこの部分が大きかったかなと思いますね。
-愛ってワードが出てくる曲でいうと、「Stranger」での愛は、今ってラヴもヘイトもすぐにひっくり返る世界じゃないですか。そういうことを感じました。
「Stranger」って曲がこのアルバムの一番、指針になったなと。作っていくうちにアルバム全体をこういうふうにしたいなって、さっきお話ししたみたいなことを考えてて。アルバムのテーマとして、私は今何が一番念頭にあるんだろうな? って考えたときに、"FLASH"ってタイトルは閃きと繰り返しの意味があると思ったんです。どんなに便利な世界になろうが、どんなに文明が発達しようが、人間がやってることって繰り返しなんだなとすごく感じて。私もどんなに傷ついたり、どんなに悲しい思いをしたりしても、やっぱりまた人のこと信じるし愛情持つし。そういうことを平気で繰り返してるって、ほんとにイカれてるなって思ったんですよ。
-進歩がないってことですか?
繰り返しながらちょっとずつ更新して、でも、根本は変わらないみたいなところだと思うんですよね。表面的なところで見ると、インターネットでの争いとか告発とか、バカらしいなと思うし、私には関係ないからどうでもいいやってもちろん思うんですけど、やっぱり、どれだけ学んでも繰り返してくっていう、そこの人間の性には興味があって。人間、なくしてしまうことに慣れてると思うんです。悲しみの処理方法とかも自分の中で結構デフォルトされてて、慣れていくものだと考えてるんですよ。でも、またそれを超越するような悲しいことが起きて、それでも、またそこは乗り越えて進んで行ったりするわけですよね。すごくたくましいとも思うし、すごくバカらしいとも思うし。そういう繰り返しの中で私たちは生きているし、愛を育んでいるんだなと思ったら、人間の生活に興味が出たというか。だから、恋愛的な部分じゃなくて、人間が育み続けてきた愛情みたいなものが私すごく好きだなぁと思って、「Stranger」を書いたんですけど。
-そして、アルバムが「HOW」で始まること自体が楽しい(笑)。痛快な気持ちになれて。
「HOW」は最後にできた曲なんですね。最後にできた曲で、どうしても入れたくて。レコーディングの1ヶ月前くらいにサポート・メンバーにもどうしても入れたいです、頑張ってくださいって言って、みんなで頑張って作ったんです。「HOW」が『FLASH』ってアルバムの答えになってるなって思ってて。「HOW」っていう答えから始まる、確かめ算の答え合わせみたいなアルバムの構図にしたいなと。私は「HOW」って曲を作ったときに、自分がすごく生きやすくなったなというのを実感して。生きててそんなにドラマチックなことや、これが私の人生を変えましたってことはそうそう起きないと思うんですよ。感動して泣いてしまったとか、人の何かを見て悲しくて泣いてしまったとか、私はあんまりなくて。その場限りでは素敵だなとか感動とかあっても、そのあとの自分の人生や、今まで生きてきた自分の人生をひっくり返すような出来事って、あんまりないかなと思ってるんです。でも、生きていくことって自分が閃いていくなかで"あ、これは自分にとって特別な発見だ"とか、"自分にとってこれから大切になる指針だ"とか、そういうものを一生懸命見つけていくことだと思うんですね。それでどれだけ自分の生きていくなかでの生活を彩れるか? ってことだと考えているんですけど。私は「HOW」って曲を作ったときに、自分のこれからの生活をきっと気楽にしていくだろうなっていう、あまりない経験をしたなと思って。人と出会わず、そういう経験をしたことがあんまりないんです。恋愛とかで誰かに出会って、忘れられない思い出ができるとかはありますけど、「HOW」は今まで自分が生きてきた中で、勝手に自分で作ってたルールとか当たり前にそれが正しいと思ってたこととか、そういうことをいったんなしにしようって気持ちの曲なんですよね。今まで私が人に優しくしてたのはたぶん、優しくしないといつか後悔するかなと思ったり、人に対して大きい声を出して怒らなかったのは、翌日自分の目覚めが悪いのが嫌だなっていう自己愛だったりしたんですよね。でも、それがあることによって自分がこんなに生きづらいんだったら、いつか来る後悔とか悲しみとか、目覚めの悪さとかいったん忘れようっていう。そこに辿り着いたときにできたのが「HOW」っていう曲ですね。
LIVE INFO
- 2025.06.24
-
にしな
星野源
ビッケブランカ
キノコホテル
きのホ。×POLYSICS
ExWHYZ
リュックと添い寝ごはん
Devil ANTHEM.
"LIVEHOLIC 10th Anniversary series~Miracle PON☆〜"
- 2025.06.25
-
オレンジスパイニクラブ
ザ・シスターズハイ
SHE'S
星野源
TenTwenty
Czecho No Republic
PEDRO×詩羽
People In The Box
斉藤和義
岡崎体育
- 2025.06.26
-
Creepy Nuts
ザ・シスターズハイ
ヤングスキニー
怒髪天
ドミコ
TENDOUJI
the dadadadys
斉藤和義
WANIMA
岡崎体育
にしな
プルスタンス / Navy HERETIC / cherie / ライティライト
- 2025.06.27
-
四星球
Creepy Nuts
GOOD ON THE REEL
Subway Daydream
東京スカパラダイスオーケストラ
ビッケブランカ
the shes gone
The Slumbers
GLIM SPANKY
オレンジスパイニクラブ
女王蜂
ポルカドットスティングレイ
ドミコ
フリージアン
サイダーガール
TENDOUJI
Nothing's Carved In Stone
荒谷翔大
yama × 群馬交響楽団
chilldspot
WHISPER OUT LOUD / Good Grief / CrowsAlive / UNMASK aLIVE
Amber's × シズクノメ
空白ごっこ
WANIMA
岡崎体育
"LIVEHOLIC 10th Anniversary series~ナニカシラ presents sunriseeee!!!!〜"
- 2025.06.28
-
眉村ちあき
女王蜂
鶴
LOCAL CONNECT
竹内アンナ
GRAPEVINE
怒髪天
[Alexandros]
Lucky Kilimanjaro
Organic Call
浅井健一
"CRAFTLAND"
チリヌルヲワカ
the shes gone
CYNHN × タイトル未定 × fishbowl
OKAMOTO'S / w.o.d. / MONO NO AWARE / Laura day romance ほか
いゔどっと
いきものがかり
ASP
コレサワ
ドレスコーズ
神はサイコロを振らない
Laughing Hick
荒谷翔大
福永浩平(雨のパレード)
FINLANDS
the dadadadys
私立恵比寿中学
スカート
ゴキゲン帝国
礼賛
ORCALAND
"World DJ Festival Japan 2025"
ネクライトーキー
FIVE NEW OLD
斉藤和義
sumika
"TAKASAKI CITY ROCK FES.2025"
忘れらんねえよ / BLUE ENCOUNT / ヒトリエ / 打首獄門同好会 ほか
Halo at 四畳半
TGMX(FRONTIER BACKYARD etc.)
岡崎体育
Novelbright
- 2025.06.29
-
眉村ちあき
アルコサイト
ヤングスキニー
ブランデー戦記
鶴
竹内アンナ
GRAPEVINE
[Alexandros]
HEP BURN
GLIM SPANKY
怒髪天
FINLANDS
Lucky Kilimanjaro
ネクライトーキー
東京スカパラダイスオーケストラ
浅井健一
Chimothy→
SVEN(fox capture plan)
いゔどっと
大原櫻子
荒谷翔大
reGretGirl
ドレスコーズ
VOI SQUARE CAT
終活クラブ
サイダーガール
ポルカドットスティングレイ
いきものがかり
ASP
コレサワ
清 竜人25
私立恵比寿中学
"World DJ Festival Japan 2025"
おいしくるメロンパン
斉藤和義
sumika
"TAKASAKI CITY ROCK FES.2025"
yutori
岡崎体育
Nothing's Carved In Stone
Novelbright
- 2025.06.30
-
Dear Chambers
清 竜人TOWN
浜崎容子(アーバンギャルド)
Hump Back
岡崎体育
- 2025.07.01
-
ビレッジマンズストア
Mirror,Mirror
岡崎体育
- 2025.07.02
-
ヤングスキニー
キュウソネコカミ
SHE'S
Saucy Dog
Hump Back
Laura day romance × Billyrrom
Jean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION)/ 寺中友将(KEYTALK)/ 谷口 鮪(KANA-BOON)/ アユニ・D(PEDRO)
ドミコ
岡崎体育
- 2025.07.03
-
ヤングスキニー
キュウソネコカミ
斉藤和義
go!go!vanillas
蒼山幸子
kobore × プッシュプルポット × Brown Basket
PK shampoo
TenTwenty
Saucy Dog
ビレッジマンズストア
クジラ夜の街
KALMA
the dadadadys
神聖かまってちゃん
サカナクション
フィロソフィーのダンス×清 竜人25
岡崎体育
- 2025.07.04
-
Nothing's Carved In Stone
MAN WITH A MISSION
斉藤和義
ExWHYZ
GRAPEVINE
SAKANAMON
LOCAL CONNECT
the shes gone
ビレッジマンズストア
蒼山幸子
kobore × プッシュプルポット × Brown Basket
女王蜂
ザ・シスターズハイ
DOLL PARTS
カナタタケヒロ(LEGO BIG MORL)
GANG PARADE
佐々木亮介(a flood of circle)
大原櫻子
緑黄色社会
ポルカドットスティングレイ
リーガルリリー
浅井健一
サカナクション
Mom
- 2025.07.05
-
Nothing's Carved In Stone
SAKANAMON
鶴
THE ORAL CIGARETTES / ヤングスキニー / 水曜日のカンパネラ ほか
reGretGirl
GLIM SPANKY
チリヌルヲワカ
キュウソネコカミ
ART-SCHOOL
コレサワ
[Alexandros]
フラワーカンパニーズ
shallm
go!go!vanillas
アーバンギャルド
ExWHYZ
FINLANDS
"見放題大阪2025"
GRAPEVINE
片平里菜
HY
SCOOBIE DO
the shes gone
怒髪天
荒谷翔大
the dadadadys
envy
サイダーガール
緑黄色社会
め組
Helsinki Lambda Club
androp
WtB
ASP
Conton Candy
The Slumbers
有村竜太朗
- 2025.07.06
-
PEDRO
Creepy Nuts
UVERworld
鶴
ビッケブランカ
sumika / Novelbright / Omoinotake ほか
荒谷翔大
reGretGirl
[Alexandros]
竹内アンナ
go!go!vanillas
ネクライトーキー
FIVE NEW OLD
DYGL × Newspeak × ANORAK!
片平里菜
PK shampoo
GLIM SPANKY
"見放題名古屋2025"
女王蜂
SCOOBIE DO
怒髪天
チリヌルヲワカ
ART-SCHOOL
Bimi
jizue
クレナズム
halca
HY
SIX LOUNGE
ドレスコーズ
LEGO BIG MORL
有村竜太朗
フラワーカンパニーズ
- 2025.07.07
-
ビレッジマンズストア
NakamuraEmi
浅井健一
- 2025.07.08
-
TENDOUJI
Hump Back
go!go!vanillas
ビレッジマンズストア
the dadadadys
kobore × プッシュプルポット × Brown Basket
銀杏BOYZ
- 2025.07.09
-
SHE'S
いきものがかり
Maki
山内総一郎(フジファブリック)
RELEASE INFO
- 2025.06.25
- 2025.06.27
- 2025.06.28
- 2025.07.02
- 2025.07.03
- 2025.07.04
- 2025.07.05
- 2025.07.06
- 2025.07.07
- 2025.07.08
- 2025.07.09
- 2025.07.11
- 2025.07.13
- 2025.07.15
- 2025.07.16
- 2025.07.20
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
音ノ乃のの
Skream! 2025年06月号