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INTERVIEW

Japanese

ぜんぶ君のせいだ。

2022年12月号掲載

ぜんぶ君のせいだ。

Member:如月愛海 もとちか襲 メイユイメイ 个喆 寝こもち

Interviewer:吉羽 さおり

-寝こもちさんにとっては初のぜん君。でのアルバムですが、いかがでしたか。

寝こもち:こもちはこのアルバムを通して、ぜん君。が大人になった感があるなって思っていて。こもちは、ぜん君。が結成したばかりのときはいち患いで、ライヴにも通っていたんです。そのときを思い返してみたら、楽曲がグレードアップして、メンバーひとりひとりの歌唱力の強さとか表現力の豊かさがあって、ライヴもクオリティが上がっていて。すごく成長をしたというか、あのときがそれこそ少女だったら、成人ちょい前くらいまでにはいったのかなみたいな(笑)。

もとちか襲:うん、成長したね(笑)。

寝こもち:大人になったなぁって感じたし。こもちはこのアルバムで1曲目の「ICE CREAM REBEL」が好きなんです。前回「Heavenlyheaven」を書いてくださったみきとPさんの曲なんですけど、同じ人なのにこんなにも違う曲が書けるんだなってすごさと、でもそれぞれでちゃんと世界観があって、聴いていて引き込まれるというか。1曲目からぜん君。っぽくないけど、ぜん君。っぽいみたいな......言い方が難しいですが(笑)、そこからアルバム全曲を聴いていていてもあっという間の体感で。何周も聴いてほしいです。

もとちか襲:「ICE CREAM REBEL」はまだライヴで披露してないんですけど、自分たちでもこれをどれだけぜん君。っぽく落とし込めるかがすごく楽しみなんですよね。歌もそうですしダンスのパフォーマンスにしても、患いさんが新しい感じの曲来たって感じてくれると思うので、それをどれだけライヴの定番というか、みんなが好きなぜん君。のライヴ曲に持っていけるかが個人的に楽しみです。

-寝こもちさんは患いだったということですが、今回のアルバムには、これまでの曲の歌詞が新たな形で入っているなど、いち患いとして、リスナーとしても沁みるものがありそうですね。

寝こもち:そうですね。「夢幻路」という曲の最後に、1stアルバム『やみかわIMRAD』(2016年1月リリース)の「キミ君シンドロームX」とか、いろんな時期の楽曲のフレーズが入っているところがあって。そこは、自分がこれをやる側にいることがすごく不思議な気持ちですね。武道館を控えている8年目の、7枚目のアルバムだからこそできる楽曲なのかなって思うのと、ここまで頑張ってやってきてぜん君。に入れて、今頑張れていることが幸せだなと感じています。あのときの自分に、"ぜん君。をずっと好きでいて良かったよ"って言ってあげたい気持ち(笑)。

もとちか襲:「夢幻路」は武道館でやったら泣く気がしてきた。

如月愛海:武道館はもう、リハから泣くから(笑)。

-早い(笑)。「夢幻路」はいろんな思いがフラッシュバックしそう。

如月愛海:そうですね。でも変わりましたよね。1stアルバムの頃の「キミ君シンドロームX」での歌詞だったら、君の"斜め右後ろ30m定位置"にいた自分たちが、ステージに立って、患いに愛されてちょっとずつ強くなって、今や君に対して"おいで"って言えるんですから(笑)。患いさんたちのおかげで、誰かを受け入れるくらい、自分たちの愛が大きくなった。それがすごく入った曲だなって感じます。自分たちのダメな部分、いい部分も全部含めて、認められた感じが出てきたなって思いますね。

-昔から聴いてきた方はそのシーンの変化にグッとくると思うし、時間をかけて、いろんな経験やライヴを経て今この曲を歌う意味というのがちゃんとあるなって。

如月愛海:そうですね。だから患いも"俺の曲だ"って思ってほしい。

个喆:うちらも、うちらの曲だなって思うので。

如月愛海:でもそれがアルバム最後の曲じゃないっていう(笑)。

-そうなんですよね。レーベルメイトであるMade in Me.の彦(Gt/Vo)さん、じゅんちゃい(Gt/Cho)さん、DAIKI(Dr)さん作曲による「ロストモラトリアム」がラストに来る。

メイユイメイ:ラストの「ロストモラトリアム」はびっくりしたよね。最初のほうは切ない曲調なのに、途中からめっちゃMade in Me.だなっていう曲になっていって。

个喆:ぐっと曲の雰囲気が変わって、いきなり希望が見えるからいいよね。

メイユイメイ:めっちゃスカッと終われて、未来も見えていてっていう。

-この曲、冒頭のほうちょっと不安になりますよね。いったい何を匂わせているんだろうっていうくらい。

个喆:"レクイエム(鎮魂歌)"とか言ってるし。

もとちか襲:でもライヴで観てくれている患いさんも飽きないと思うし、パフォーマンスしてる自分たちも最後にはスカッとするのがわかってるから、楽しいんですよね。何回か配信ライヴではやっているんですけど、大好きな曲になりましたね。

个喆:この曲がアルバムの最後で良かったなってね。「夢幻路」が最後だったら"あぁ、終わっちゃった......"ってなっちゃうけど(笑)、そこからスカッとしてまた1曲目にも戻れるなって。

如月愛海:「ロストモラトリアム」を最初に披露したのが、ちょうど雫の脱退直後の配信でのリリース・イベントだったんですけど。それもあってエモが極まっていたんです。でも2回目のときは、振りでメンバー全員で手を合わせて回るシーンがあるんですけど、ちょっとみんなあったかい空気感で微笑んでいて。

メイユイメイ:聖母マリアの顔してたよね。みんなが謎の包容力がある微笑みをしてた。

如月愛海:その時々の感情でエモにも寄るし優しさにも寄るし。でも最終的には明るいというか、そんなに下ばかり向かなくてもいいよってのがあるので、気持ち良く歌えるし終われるんですよね。

メイユイメイ:みんなで手を合わせる振りのときも、ひとりひとりが、私がいるよって思ってる気がしてめっちゃ心強い。それで不安があまりなくなるのかもしれない。みんなの固い意志が受け取れるので。

如月愛海:しかも曲の中で半分以上メンバーみんなと見つめ合う振りがあるんですよね。

もとちか襲:たとえ全員の目が合わなくても、手を合わせている中心に魂があって、みんな魂に向けての気持ちは一緒でというのを感じる曲です。

-自然とそういう振付になったんですか。

如月愛海:ぜん君。の振りの中でお互いに手を合わせたりするシーンって、これまでは「独唱無題」(2016年11月リリースの2ndフル・アルバム『アニマあにむすPRDX』収録曲)とか、どちらかというと激エモで悲しい、つらいみたいな曲が多かったんです。今は自分たちが一生懸命頑張ってきたものをみんなに見てほしいというか、そこに自分たちの芯があるんだよって見てほしくて。そういうのって全員の心が一緒にならないと伝わらないじゃないですか。それがわかるようにしたいなと思って、手の振りを多くしたんです。

-そこもライヴでは注目してほしいですね。襲さんは好きな曲、またレコーディングで印象深い曲などはありますか。

もとちか襲:私は至るところで言いまくっているんですけど、「aiHUMANOID」がめちゃくちゃ好きで。デモを貰った時点で、移動のときもそればっかり聴いているくらい曲も歌詞も好きです。いざぜん君。で歌ってみたら、それぞれが思う曲に対しての愛の形じゃないけど、愛の捉え方がそれぞれ違うので、みんな心を込めて叫ぶように歌っている感じがあって、より大好きになりました。ライヴで早くやりたいですね。