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INTERVIEW

Japanese

ヒトリエ

2021年06月号掲載

ヒトリエ

メンバー:シノダ(Vo/Gt) イガラシ(Ba) ゆーまお(Dr)

インタビュアー:秦 理絵

新体制初となった前作アルバム『REAMP』から4ヶ月。ヒトリエが6月2日にリリースするニュー・シングル『3分29秒』は、もはやバンドが立ち止まることなく、その現在地を果敢に更新していこうとする意志を感じる1枚だ。実は『REAMP』以前にレコーディングを終えていたという「3分29秒」(アニメ"86―エイティシックス―"オープニング・テーマ)を表題曲に、カップリングには『REAMP』以降のモードで完成させた実験的なダンス・ナンバー「Milk Tablet」を収録。制作の時系列的に開きがある今作だが、特に「Milk Tablet」の制作を振り返って、イガラシは"手応えのある、いいレコーディングだった"と言った。今ヒトリエは間違いなく前を向いている。以下のテキストから、『REAMP』で踏み出した一歩をさらに推し進め、バンドを取り戻しながら格闘する3人の姿が伝わればと思う。

-またこんなに早く取材をさせてもらえるとは思ってませんでした(※前回インタビューは2021年2月号掲載)。

シノダ:全然"お久しぶりです"って感じじゃないですもんね。

-あれから『REAMP』(2021年2月リリースのアルバム)の反響はどう受け止めていますか? アルバム完成直後は、作品がどんなふうに受け止められるか、わからないといった感じでしたけど。

シノダ:あー......でも、おおむね受け入れてもらえてる感じはしますね。今は"いいものを作ったからな"っていうか。"こんだけやったんだから、受け入れてもらえるよな"っていう、謎の自信が生まれたんです。3人でこれだけのものを作れたんだっていう実感もあるし。本音を言えば、もっと聴いてくんねぇかなっていう感じはしますけどね。多くの人に。そこの欲は尽きないですけど、とりあえずこんなもんかなっていう。

-その自信は前回インタビューのときには正直感じなかったです。

シノダ:あのときは久々に人に会った不安もあったんじゃないですかね(笑)。取材っていうものに対する怯えがあったんだと思います。

一同:あはははは!

-ゆーまおさんはどうですか?

ゆーまお:やっぱり一番気になるのは、自分の(作曲した)曲が受け入れられてるか? っていうことだったんですど。結果的に受け入れられてるのかなって感じてますね。未だに俺の中では、ライヴをやってても、"みんな俺の曲をこういうふうに聴くんだ"みたいな不思議な気分なんですけど。でも、自信もってこ! っていう感じです。

シノダ:やってこ! っていうね(笑)。

-特にゆーまおさんは、自分が作った「YUBIKIRI」がヒトリエの文脈にはないタイプだからっていうのを気にしてましたもんね。

ゆーまお:そこは曲順にかなり救われたなと思ってます。

シノダ:でも、満場一致だったからね。「YUBIKIRI」は絶対最後が相応しいって。

-イガラシさんは? アルバムの反響って届いてます?

イガラシ:届いてないですね。

シノダ:イガラシ、インターネットあんまり見ないからね。遮断してますから。

イガラシ:そう、見ない。基本的にはSNS上では絶賛しかされてないと思ってるので。

ゆーまお:そっか(笑)。

-なかなかお客さんがいる状態のライヴもできない状態でしたし。

イガラシ:そうなんですよ。今までも現場で確認するところがあったので。幸い名古屋2公演ができて(※取材の時点で"ヒトリエ Amplified Tour 2021"4月21、22日名古屋CLUB QUATTRO公演まで終了)、そこで初めて受け入れてもらえてるんだなって思いました。声は出せないけど、反応ってわかるもんだなって。あったかい感じがしました。

-それこそ4月から始まったツアーが久々の有観客ライヴだと思いますけど。お客さんがいる状態でライヴをすることに対しても相当飢えてたんじゃないですか?

シノダ:実はその飢餓感みたいなのは、その直前にやったTHE KEBABSとのツーマン("THE KEBABS 激突~燃えよ七人~")で、だいぶ解消されたんですよ。そこで禊を終えたというか。結果ツアーのステージにはフラットに挑めたんですよね。そのとき、俺はマジでテンパり狂ってたので(笑)。

-テンパり狂う(笑)?

ゆーまお:だいぶすごかったよね、"どうした?"って心配になるくらい。

イガラシ:まあ、もともとシノダはテンパり狂いやすいんですけど。

シノダ:久々にエンジンをふかしたら、"あれ?"って感じでしたね。

-お客さんがいるライヴもいいですけど、最近は対バンの機会も減ってたから、対バンはまた格別だったでしょう?

イガラシ:うん、本当に楽しかったです。

ゆーまお:ツアーで名古屋2本やって、その次の日も対バンがあって(忘れらんねえよ主催"ソーシャルディスタンスなツレ伝")。3日連続でライヴをやったんですけど。その3日間がめちゃくちゃ楽しかった。純粋に"ライヴ、面白い! もっとくれ!"みたいな。(お客さんは)喋れないし、今までと状況は違うけど、それはあんまり関係ないんですよね。

シノダ:ライヴをやると、脳がスッキリするし。健康にもいい。

ゆーまお:頭をめっちゃ働かすからね。

シノダ:人間としての解像度が上がるんですよね。なんにせよ、配信より全然マシですよ。空間に語り掛けることはないですから(笑)。

-ゆーまおさんが声を出せないことも、"あんまり関係ない"って言ってましたけど、そのあたりはどうですか? 新しいルールのもとでのライヴというのは。

シノダ:声を出せないとはいえ、お客さんはお客さんで自分たちの状態をいかに伝えるか、みたいな。そういう感じは伝わってくるんですよ。それがすごく嬉しいんですよね。あと、純粋に快適そうだなっていうのはあるかな。昔はもっと混沌としてたから。

-ソーシャル・ディスタンスが確保されるぶん、今まであんまり前のほうに行けなかったお客さんも、ステージの近くで見られる可能性もありますよね。

シノダ:そう。そういう環境だと、ある種、お客さんのテンションに任せるわけにはいかないっていうか。昔だったら、お客さんがワーッてきたところに、俺たちもワーッてなるみたいなところもあったけど、今はいかにフラットな気持ちを保ちながら、こちら側のテンションを見せられるか。そういうのも多少掴めるようになってきましたね。

イガラシ:今の制約のある状態だと、もみくちゃになることもなければ、他の人の干渉も受けずにライヴを観てくれてるわけじゃないですか。だから、今までよりはっきり演奏そのものに対する効果がお客さんの中に出てるなと思ってて。例えば、「うつつ」(『REAMP』収録)を、(名古屋公演の)1日目と2日目で弾き方を変えてみたんですよ。そしたら、それに応じた反応が返ってきて。

-弾き方を変えるっていうのは、どういうニュアンスですか?

イガラシ:1日目はわりと原曲っぽくリズムに沿った感じで弾いたんです。で、2日目は、ライヴだし、もうちょっとディープな感じというか。ずんって引っ張る感じでやってみたんですよ。そうすると、2日目の反応のほうが、余韻が深くなるっていう。

-それだけ繊細に音を感じられる環境になってるんですね。

イガラシ:そうですね。アルバムの新曲をやっていくなかでも、"この曲って、ライヴだとこっちのほうが正解な気がするな"みたいなことがあったりする。アルバムを出して、ツアーをまわるって、こういう感じだったよな、こういう作業だったよなっていう感覚も取り戻してる感じがしますね。その曲の現場でのかたちを知っていくというか。

-ゆーまおさん、シノダさんは、『REAMP』の曲をライヴでやっていくなかで新しい発見はありましたか?

ゆーまお:イガラシの(作曲した)曲がいいってことがよくわかりましたね。

イガラシ:なるほど(笑)。

-「dirty」と「イメージ」ですね。

ゆーまお:特に「イメージ」はね、作ってるときから、いい曲だなと思ってましたけど。俺自身が演奏もやりやすいんですよね。

シノダ:たしかに、やりやすそう。

ゆーまお:本当にいい曲なんですよ。イガラシが美しいメロディをのっけようとして作ったのもわかるし、ライヴでやってても、自分の曲が云々っていうことよりも、イガラシの曲がいいっていうことのほうを思ってます。

イガラシ:今"いい曲"って、3回くらい言いましたね。

-(笑)シノダさんはどうですか?

シノダ:俺の中では影役だと思ってた「bouquet」とか「Marshall A」が意外と喜ばれるもんだなって。

-「Marshall A」はいかにもライヴ・アンセムになりそうな曲じゃないですか。

シノダ:俺はおもちゃみたいな曲だと思ったんですよ(笑)。それがライヴでこんなに化ける曲だったんだなっていうのはありました。とにかく今回のツアーは新曲が多いから、いかに伝えるかっていうことはすごく気を使ってやってますね。

-自分たちでも『REAMP』を新しく発見していくツアーになっていきそうですね。

ゆーまお:そうですね。ちゃんと曲と向き合ってやっていきたいと思ってます。