Japanese
ヒトリエ
Skream! マガジン 2019年07月号掲載
2019.06.01 @新木場STUDIO COAST
Reported by 秦 理絵 Photo by 西槇太一
幕が上がると、楽器だけがぽつんとステージに置かれていた。スクリーンに映し出されたのは、2年前、2017年5月7日に、ここ新木場STUDIO COASTで開催された[全国ワンマンツアー2017 "IKI"]のツアー・ファイナルで披露された「ワンミーツハー」と「目眩」のライヴ映像だった。「目眩」は、wowaka自身、"この曲ができたことで、人間に、音楽になれた気がする"と語っていた楽曲だ。スクリーンの中のwowaka(Vo/Gt)は、その曲を、大粒の汗を流しながら、命を燃やすように全力で歌っていた。この人が、今はもうこの世にいないなんて。改めてその事実を突きつけられたように、会場のあちこちから、お客さんのすすり泣く声や嗚咽が上がった。4月5日に31歳で急逝したヒトリエのヴォーカル wowakaを偲ぶ追悼会"wowaka追悼 於 新木場STUDIO COAST"は、そんなふうに集まったお客さんの涙に包まれて幕を開けた。
ライヴ映像が終わると、シノダ(Gt/Cho)、イガラシ(Ba)、ゆーまお(Dr)がステージに現れた。シノダは、wowakaのテレキャスターを高く掲げると、アンプに繋いで、wowakaが立つべきだった場所=ステージのセンターに置いた。弾く人はいない。だが、今日もwowakaは自分たちと一緒にいる、そんなメンバーの想いを感じる。
"今日はみなさん、wowakaのために集まってくれてありがとうございます。ここ、新木場STUDIO COASTは、本来ならば、「Coyote Howling」ツアーのファイナルとして立つ場所でした。きっとリーダーも、このステージに立ちたかったと思うんだ"と、涙を堪えるように、声を震わせながら伝えたシノダ。"だから、wowakaが、リーダーが、最も信頼してくれた、僕たちメンバー3人だけで演奏する日だと思いました"と、追悼会を行うに至った想いを伝えると、今回のツアーで主役になるはずだった最新アルバム『HOWLS』のオープニングとして北極星の如く燦然と輝く「ポラリス」を、なんとシノダのヴォーカルで披露し始めた。"行くぜ、新木場STUDIO COAST!"という掛け声と共に突入した「センスレス・ワンダー」では、お客さんの頭上をレーザーの光が激しく駆け抜ける。ゆーまおが叩くキレ味鋭いドラム、イガラシが一音一音に想いを乗せるように身体を大きく揺り動かしながら奏でるベース。そのなかで、音程の上下動が激しく、言葉数が多い、いわゆるwowaka節と言われる難しい歌を、稀代のヴォーカリストに代わって歌うと決めたシノダの覚悟を思うと、胸が熱くなる。
"慣れないけど、ハンドマイクで歌わせてもらおうかな"。シノダがそう言って届けた「SLEEPWALK」のあと、"本当に難しい曲ばっかり作りやがって(笑)"と、曲の切れ目でシノダが呟いた愛のある言葉に会場からは笑いが起こる。ライヴの中盤、ヒトリエで初めて作ったという楽曲「カラノワレモノ」から、3ピース(この表現が悲しい)の限界を越える渾身の演奏を見せた「踊るマネキン、唄う阿呆」への流れは圧巻だった。さらに、"wowakaより愛を込めて"と「アンノウン・マザーグース」へ。もともと初音ミクの10周年記念コンピに収録されたこの曲に綴られた音楽への愛やボカロ・シーンへの愛を受け止めながら、ボカロP時代を経て、ヒトリエのヴォーカリストとして駆け抜けたwowakaの人生が、音楽シーンに遺した功績の偉大さに想いを馳せる。そして、アルバム『HOWLS』の中で、初めてwowakaが失恋をテーマにした楽曲「青」はとても美しかった。だからこそ、wowakaの声で聴きたかった。だが、それも、もう叶わない。
最後の1曲を残して、"僕らはこれからどうしていくかは全然決まってなくて。でも、少なくとも解散はしないと思います"と伝えたシノダ。その言葉に会場は大きな拍手で包まれた。どんな形かはわからないが、wowakaが生み出し、愛し、大切に育んできた"ヒトリエ"が残り続ける。その宣言だけで、もう十分だった。そして、"天国にいるwowakaに聴こえるように、大きい声を出して歌おうよ"と呼び掛けたラスト・ソングは、wowakaのボカロP時代の名曲「ローリンガール」。割れんばかりの大合唱の中で、それでも"もっとだよ!"と叫んだシノダは、最後に、まずお客さんに向かって"ありがとうございました"と言ったあと、"本当にwowaka、ありがとう"と、高い場所を見つめて感謝を伝えた。
最後まで会場からお客さんの泣き声が消えることはなかったが、シノダ、イガラシ、ゆーまおの3人が、この大きな悲しみから何とか一歩足を踏み出そうとした懸命な姿に、いつまでも泣いてばかりもいられないと思わせてくれる追悼会だった。この日、会場には献花台も用意されていて、そこには早い時間から大勢の人が詰め掛けていた。アーティストやバンド仲間もいた。本当にたくさんの人に愛された人だったのだ。Skream!では、『HOWLS』をリリースしたときのインタビューがwowakaへの最後の取材となったが、そのときにも、作品作りに苦しみながら、そのたびに新しい自分に出会えることをとても嬉しそうに話してくれたのを覚えている。もっと彼の音楽を聴きたかった。この悲しみが癒えるにはまだ時間がかかるけれど、短い生涯の中でwowakaが遺した音楽の数々は、これからも多くの人の孤独に寄り添い続けると思う。この音楽を語り継ぐためにも、wowakaが"きれいだ"と表現した令和の時代を、私たちは生き続けなければいけないと思った。
[Setlist]
<ライヴ映像>
・ワンミーツハー(2017.5.7 at STUDIO COAST)
・目眩(2017.5.7 at STUDIO COAST)
<ライヴ>
1. ポラリス
2. センスレス・ワンダー
3. シャッタードール
4. SLEEPWALK
5. カラノワレモノ
6. 踊るマネキン、唄う阿呆
7. トーキーダンス
8. アンノウン・マザーグース
9. 青
10. ローリンガール
<ライヴ映像>
・リトルクライベイビー(2018.3.25 at EX THEATER)
- 1
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