Japanese
ヒトリエ
Skream! マガジン 2016年06月号掲載
2016.04.29 @新木場STUDIO COAST
Writer 沖 さやこ
暗転した瞬間からラストまですべて含めて、ひとつの作品として成立していたライヴだった。2015年の夏の東名阪ワンマン・ツアー以降、尊敬する先輩バンドを招いた主催ツーマン・ライヴ"bAnd"を定期的に行い、同年代の仲間たちと共に全国各地でライヴをしてきたヒトリエ。2ndフル・アルバム『DEEPER』は個々の表現欲求だけでなく、音に対する楽しみ方、戯れ方が生まれた作品だった。ワンマン・ツアー・ファイナル、彼らは"DEEPER"以上の進化を遂げていた。
1曲目「GO BACK TO VENUSFORT」はゆーまお(Dr)が様々な叩き方や音色で楽曲を牽引。息を潜めるように細やかなドラミングかと思いきや、暴れ馬のような躍動感へと振り切ったりと鮮やかだ。そこに食らいつく繊細さと衝動性を兼ね備えたシノダ(Gt/Cho)のギターもインパクト大。「シャッタードール」はウワモノかと思うほどのイガラシ(Ba)のベースが炸裂する。この癖の強いプレイヤーをひとつに集約するのがwowaka(Vo/Gt)だ。リーダーでありソングライターでありフロントマン。以前までの彼はこのバンドを自分が引っ張っていくべきだという責任感や意地のようなものが強かったが、9ヶ月ぶりに観たこの日の彼は自然体でありながら堂々としていた。巧みにファルセットを使い、メロディでもって音を導いていく。
スローなダンス・ナンバー「Swipe, Shrink」はリズム隊が作るビートが心地いい。そこに少々異質なシノダのギターが入るという、この"屈折"がヒトリエである。とはいえ彼らは決して"偏屈"なわけではない。様々な形の屈折を描けるし、波形も曲線も作れるバンドだから面白いのだ。
「アンチテーゼ・ジャンクガール」には人力で音を落とす場面もあるなど、繊細な表現に曲の主人公である少女を思わせるかわいらしさが。「ワンミーツハー」は彼らのハートがダイレクトにこちらのハートを直撃してくる。「サークル サークル」は4人が曲と戯れるように音を奏でていく......というふうに、彼らは自分たちの楽曲と親密になっていた。曲を手なずけて自由自在に操作できるようになったというよりは、曲のことを前以上に理解し、仲良くなっている。そして今この瞬間、さらに楽曲とバンドの関係を深めようとしていた。音の隙間とアンサンブルが気持ちいい「バスタブと夢遊」は、丁寧で緊張感のある演奏とエモーショナルな音像が織りなす景色が圧巻だった。
ミディアム・ナンバー「フユノ」ではwowakaがキーボードを弾く。ゆーまおもマレットを使ってシンバルを叩き、イガラシもシノダも楽曲に寄り添うように優しく音を奏でるなど、4人で楽曲のムードを最大限に活かす。ヒトリエは音圧を武器にがむしゃらに攻めていくバンドではなく、巧妙なアンサンブルと4人の個性で魅せるバンドにしっかりと成長したのだと痛感した。彼らは活動していく中で、本来自分たちが持っていた武器から最も自分たちに相応しいものを見つけだし、それを強く信じ、磨き上げてきたのだ。ひとつひとつの物事に対して真摯に向かい合い、感動してきたからこそ成し遂げられたことなのだろう。
「カラノワレモノ」の演奏が始まる前、wowakaが長尺のMCをした。そのときの話し方や声の響きが非常に凛としていて、強い信念を持っている人の声だと思った。バンド活動で生まれる怒りや苦しみを振り払ってくれる歓喜の中で最も濃い瞬間がライヴであること、自分の身でもって音楽をやりたいという気持ちだけで始めた音楽をこれだけ多くの人の"何か"になっていると実感したことを語ると、観客に向かって"本当の意味であなたたちに生かされています"と感謝を伝えた。"濃い空間で僕らが音を発することで、みんなの身体と心と、身体でも心でもない何かが反応して集まってきてくれていると僕は信じているので。僕らもそれに恥じないような音楽を返していきたい。これだけ濃いやり取りをしている僕らなら、もっと素敵な場所に行けると思ってるんだ。もっともっと幸せになれると思うんだよ。だから一緒に行こう" 彼がそう勇ましく告げると、観客からは大きくあたたかい歓喜の声が湧いた。
清く誠実な空間に溢れる、視界がクリアで地に足のついた状態だからこそ作れる安心感。とても居心地が良かった。我々を無理矢理非日常へと引っ張り込む演奏ではない。我々と共に日常に非日常的な奇妙で美しいうねりを作り出そうとするかのようだった。終盤は特に曲間や導入などもドラマチックに展開する。ヒトリエというノンフィクション・ムービーの体感アトラクションに乗り込んでいるような感覚――否、現在進行形で繰り広げられるストーリーの登場人物のひとりになっているようだった。超絶ベース・ソロからの「踊るマネキン、唄う阿呆」、演奏だけではなくメンバーのコーラスがクールに決まった哀愁漂う「MIRROR」、ハード・ロッカーばりのシノダのギター・ソロからしなやか且つエモーショナルに「インパーフェクション」を届けると、ラスト「トーキーダンス」まで痛快に突っ走った。
アンコールはまずwowakaが"本当はやる予定じゃなかったんだけど、今日は(ツアー)ファイナルだから演奏したいと思います"と言い、ボーカロイドの楽曲として制作した「プリズムキューブ」を披露した。シンプルなメロディとアレンジはとてもピュアで根源的で、歌にも情がこもる。そのあと演奏された新曲「ハグレノカラー」は陰と陽の狭間のような絶妙なテンション感と、シンプルだがインパクトのあるフレーズが作るアンサンブルが激情的だった。ヒトリエはこのライヴでひとつ大きな到達点を迎えたと言っていい。だがこれはまだまだ序章。彼らはこれからも音楽を作っていくし、人としてもミュージシャンとしても成長を重ねていく。ラストを飾ったメジャー・デビュー・シングル「センスレス・ワンダー」の音像は、"まだまだこんなもんじゃないぞ"と自分たちへの期待を止められないと言わんばかりだった。ヒトリエ、まだまだ大きくなる。
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