Japanese
ヒトリエ
Skream! マガジン 2023年02月号掲載
2023.01.23 @下北沢シャングリラ
Writer : 稲垣 遥 Photographer:西槇太一
シンバル4カウントからメジャー・デビュー曲「センスレス・ワンダー」で幕を開けたヒトリエのメジャー・デビュー9周年ライヴは、イガラシ(Ba)がアンコールで"多幸感のあるライヴがやれて嬉しいです"と話したが、まさにヒトリエの音楽を愛する人だけが集結し、共にこの瞬間、瞬間を共有し熱狂した一夜だった。周年ライヴとしては人数制限なしの満員のハコでやるのは3年ぶり。"もう今はパンパンっすね"とシノダ(Vo/Gt)も噛み締めていたが、ソールド・アウトの下北沢シャングリラに「センスレス・ワンダー」のイントロの強烈なリフが響くと歓声も上がった。
さらにそこに続いたのは初期曲「さらってほしいの」。ひと呼吸置いてから沸いた拍手が意表を突く選曲だったことを示していたが、この2曲が続いたということはもしかして......と期待した観客に、それを裏切らず届けたのは「darasta」だった。なんと9年前のメジャー・デビュー・シングル収録曲をトラックリスト通り3連発。そして、3人体制になってから「darasta」を披露するのは初めてだ。サイケデリックな照明に照らされ、シノダが歌いながら煽るように指をくいっと動かす仕草も見せると、"ダラスタッタッタ"のサビに合わせてオーディエンスの拳が一斉に上がった。イガラシも前に出て髪を振り乱しながらプレイ。当時の楽曲の荒々しさを今の強力な演奏で届ける、なんとも痺れる幕開けだった。
マイクを手にシノダがフロントに立ち、"9周年だって。みんなの面構え見てたらわかるよ。今日、気合が違うんだなって。悪ぃけど俺もそうなんだわ。だから全力でぶつかって木っ端微塵になって終わりましょう"と挨拶すると、そのままハンドマイクで「SLEEPWALK」へ。イガラシのグルーヴィなベースと精緻なゆーまおのドラムがライヴハウスを掌握する。夜が似合うダンサブルなサウンドに揺れつつ、無情な世界を嘆きながら"思うままに愛してみようぜ"と歌う温度感が気持ちいい。そこから、こちらもレアなインディー時代のナンバー「アレとコレと、女の子」を挟んでは、後ろから白い光が差し、ギターのアルペジオを紡いで「さいはて」。テクニカルでスピード感のあるナンバーが多いなかで、あえてのまっすぐなミドル・ロック・チューンがエモーショナルに胸を打った。
"懐かしいね、ここ。シャングリラになる前(下北沢GARDEN)、いろんなバンドとやりましたね"とこの場所の思い出を話すシノダとゆーまお。中でも"ZAZEN BOYSのあと楽屋行ったら大量のウイスキーがあった(笑)"など2015~2016年に行ったツーマン企画"bAnd"の話に花を咲かせて、"ちょっと懐かしい曲をやりたいな"(シノダ)と「(W)HERE」へ。打ち込みの鍵盤の音がどこか切なく、シノダもクリーンな歌声で届けたのが儚く美しい楽曲の世界観を染み渡らせていた。続けて最新アルバム『PHARMACY』からエレクトロ・ポップな装いの「Neon Beauty」。アルバムの中でも耳に残る1曲だったので再び聴けて嬉しい。新旧の楽曲を繋ぎ"楽しいっすね"と思わず漏らすようにつぶやくシノダを、共感の拍手が包んだ。
"もうモッシュ、ダイブがないだけっすね"と満員の中でも各々が揺れたり手を上げたりして楽しむ会場の様子を見て言うシノダ。そんなヒトリエも昔は激しいバンドだったと下北沢ERAでの初ワンマンを振り返り、"主にメガネをかけた男子が転がってた"、"柵とかなくて潰されると思った"と当時の模様を聞かせてくれた。そこから"ゆーまおが作ったすげぇいい曲を"と「風、花」を投下し、"次はそれに対抗するべく俺が作った曲を"と「undo」を始める。丸みのあるキュートな印象の音を大胆に取り入れた「風、花」もヒトリエにとって斬新なアプローチだったが、「undo」のようなロマンチックなコード展開の洒脱なダンス・ナンバーもライヴにおける強力なスパイスとなることを改めて実感。先ほどのモッシュの話ではないが、歩みを止めなかった彼らはこの数年の間にポップな趣の楽曲もこれだけ自分たちのものにしてしまったんだなと、一切隙のない3人とどんなナンバーも柔軟に乗りこなすフロアを見て思った。
威勢のいいドラムからスタートし、トリッキーなギター・リフで一気にギアを上げた「トーキーダンス」の爆発力も凄まじかった。明滅するストロボの中で、いっぱいに詰め込んだ言葉をまくしたてるように歌うシノダに否が応でもアガる。本当にギターから鳴っているのか? と思うほどの多彩な音色にも痺れるばかりだ。そうして「アンノウン・マザーグース」を緊張感と愛情を持って9周年のこの日に刻み、"(自分が)歌いますって言ってから大事に大事に歌おうと思ってた曲"(シノダ)と「青」へ雪崩れ込んだ。言葉のひとつひとつを改めて心に刻みながら、前を見据えて伝えようと歌っているのが感じられる歌唱。"いつか/僕らが青を塗り潰したって/それでも僕らをやめることはないだろう"の詞はバンドの姿に重なる。さらに「ハイゲイン」をソリッドに届け、"今何思ってるか当ててやろうか。ヒトリエかっこいいって。それだけで充分。それだけで10年でも20年でもやっていけんじゃないかって思います。だからさ、これからも仲良くしてください"(シノダ)とラストに温かなギターから「ポラリス」を奏でた。疾走感の中で、聴き手に活力を与える包容力をも湛えた演奏。3人は会場を見渡す様子も見せながら最後はドラム・セットのほうに向かい合い、ライヴを締めくくった。
アンコールの拍手に応え再登場すると、ゆーまおが9周年について"こんな続くと(始動当時は)思ってなかった。運がいいです。ありがとう"と感謝を告げた。また再び下北沢GARDENの話題で、ベッド・インとのツーマン("nexUs")で、ヒトリエのライヴ中にベッド・インが登場し、シノダを囲んで扇子を振り回していたという話にもなったが、今考えればあまりにもヒトリエとカラーが違うパフォーマンスに、"リーダー(wowaka/Vo/Gt)どんな顔してたっけ?"(シノダ)、"いや、普通に歌ってた(笑)"(ゆーまお)と笑いが起きた。イガラシからは、そもそもこの周年ライヴの初回、5周年時に7日間連続の自主企画("HITORI-ESCAPE 2019 -超非日常下北沢七日間篇-")を開催したときに、インフルエンザでwowaka、シノダと"人がどんどん脱落していった"話が上がり(最終的にイガラシとゆーまおでフロアに歌ってもらってフィナーレを迎えたとのこと)、さらに"あのとき初めて「コヨーテエンゴースト」やったんだけど、全然弾けなかったな"と漏らしたシノダが"弾けないのにステージに立つなよ"とイガラシに真面目なトーンでツッコまれ、ぐうの音も出ないのを見てゆーまおが爆笑する場面も。この日はそういった過去のエピソードも多く飛び出し、当時を知るファンはもちろん、そうでない観客も新鮮に楽しんでいたに違いない。
そんな温かなMCも経て、この日最後に鳴らしたのは"ヒトリエの始まりを象徴する曲"、「カラノワレモノ」だった。約2時間の充実のライヴの最後に、すべてを出し切るように高く飛び跳ねたヒトリエとオーディエンスが美しい。10年目のヒトリエも、頼もしく確固たる足取りで踏み出していくようだ。
[Setlist]
1. センスレス・ワンダー
2. さらってほしいの
3. darasta
4. SLEEPWALK
5. アレとコレと、女の子
6. るらるら
7. さいはて
8. (W)HERE
9. Neon Beauty10. 風、花
11. undo
12. トーキーダンス
13. アンノウン・マザーグース
14. シャッタードール
15. 青
16. ハイゲイン
17. ポラリス
En. カラノワレモノ
- 1
LIVE INFO
- 2025.07.06
-
PEDRO
Creepy Nuts
UVERworld
鶴
ビッケブランカ
sumika / Novelbright / Omoinotake ほか
荒谷翔大
reGretGirl
[Alexandros]
竹内アンナ
go!go!vanillas
ネクライトーキー
FIVE NEW OLD
DYGL × Newspeak × ANORAK!
片平里菜
PK shampoo
GLIM SPANKY
"見放題名古屋2025"
女王蜂
SCOOBIE DO
怒髪天
チリヌルヲワカ
ART-SCHOOL
Bimi
jizue
クレナズム
halca
HY
SIX LOUNGE
ドレスコーズ
LEGO BIG MORL
有村竜太朗
フラワーカンパニーズ
- 2025.07.07
-
ビレッジマンズストア
ナナヲアカリ
NakamuraEmi
浅井健一
- 2025.07.08
-
TENDOUJI
Hump Back
go!go!vanillas
ビレッジマンズストア
the dadadadys
kobore × プッシュプルポット × Brown Basket
銀杏BOYZ
- 2025.07.09
-
SHE'S
いきものがかり
Maki
山内総一郎(フジファブリック)
- 2025.07.10
-
TENDOUJI
Saucy Dog
礼賛
いきものがかり
浅井健一
ヤングスキニー
キュウソネコカミ
BBHF
the dadadadys
Hello Hello
GRAPEVINE
ザ・シスターズハイ
Organic Call
downy
四星球
- 2025.07.11
-
TenTwenty
女王蜂
TENDOUJI
なきごと
the shes gone
フレンズ
Saucy Dog
Laughing Hick
浅井健一
WtB
yutori
ビレッジマンズストア
古墳シスターズ
東京スカパラダイスオーケストラ
ヤングスキニー
キュウソネコカミ
のうじょうりえ
賽
ヤバイTシャツ屋さん × Perfume
wacci
KALMA
LITE / DO MAKE SAY THINK / HOTEL NEW TOKYO
GLIM SPANKY
Mirror,Mirror
reGretGirl
四星球
Rei
- 2025.07.12
-
大原櫻子
星野源
藤沢アユミ
FIVE NEW OLD
ASP
コレサワ
あれくん
ART-SCHOOL
SAKANAMON
女王蜂
LOCAL CONNECT
BLUE ENCOUNT
竹内アンナ
いゔどっと
PK shampoo
荒谷翔大
ACIDMAN
ズーカラデル
夜の本気ダンス × BRADIO × 8otto
チリヌルヲワカ
Homecomings
ブランデー戦記
[Alexandros]
鶴
SVEN(fox capture plan)
YUTORI-SEDAI
ビレッジマンズストア
GRAPEVINE
Nothing's Carved In Stone
ADAM at
WtB
Eve
有村竜太朗
Bimi
MAPA
安藤裕子
蒼山幸子
古墳シスターズ
斉藤和義
原因は自分にある。
怒髪天
渡會将士
マオ(シド)
- 2025.07.13
-
星野源
あれくん
SVEN(fox capture plan)
CYNHN × タイトル未定 × fishbowl
TenTwenty
板歯目
SAKANAMON
LOCAL CONNECT
FIVE NEW OLD
ASP
YOASOBI
BLUE ENCOUNT
コレサワ
鶴
"HELLO INDIE 2025"
なきごと
ズーカラデル
UNCHAIN
ART-SCHOOL
有村竜太朗
アルコサイト
[Alexandros]
寺口宣明(Ivy to Fraudulent Game)
チリヌルヲワカ
GRAPEVINE
Nothing's Carved In Stone
Homecomings
ADAM at
ブランデー戦記
Eve
神はサイコロを振らない
荒谷翔大
カミナリグモ
FUNNY THINK
ぜんぶ君のせいだ。
VOI SQUARE CAT
安藤裕子
古墳シスターズ
東京スカパラダイスオーケストラ
reGretGirl
斉藤和義
原因は自分にある。
トラケミスト
- 2025.07.14
-
Mirror,Mirror
- 2025.07.15
-
有村竜太朗
板歯目
BLUE ENCOUNT
桃色ドロシー
[Alexandros]
Mirror,Mirror
TENDOUJI × 浪漫革命
SCOOBIE DO
キミノオルフェ
羊文学
Saucy Dog
Ivy to Fraudulent Game
- 2025.07.16
-
有村竜太朗
YOASOBI
BLUE ENCOUNT
桃色ドロシー
GLIM SPANKY
BIGMAMA × Dannie May
坂本慎太郎
Base Ball Bear × PEDRO
SHE'S × ヨイズ
TenTwenty
Saucy Dog
- 2025.07.18
-
斉藤和義
YOASOBI
フレンズ
[Alexandros]
SVEN(fox capture plan)
板歯目
東京スカパラダイスオーケストラ
ExWHYZ
GLIM SPANKY
the paddles
キュウソネコカミ
NEK! × komsume
KiSS KiSS
Organic Call
ぜんぶ君のせいだ。
SAKANAMON
ヤングスキニー
ACIDMAN
Laughing Hick
TENDOUJI
cinema staff × eastern youth
- 2025.07.19
-
豆柴の大群
浅井健一
フレンズ
"NUMBER SHOT2025"
コレサワ
YOASOBI
PIGGS
鶴
東京スカパラダイスオーケストラ
"KESEN ROCK FESTIVAL'25"
ASP
Novelbright
"JOIN ALIVE 2025"
shallm
Eve
"OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2025"
キノコホテル
UNCHAIN
竹内アンナ
め組
"焼來肉ロックフェス2025"
SPECIAL OTHERS
ExWHYZ
LOCAL CONNECT
寺口宣明(Ivy to Fraudulent Game)
ぜんぶ君のせいだ。
いきものがかり
新しい学校のリーダーズ
"DAIENKAI 2025"
チリヌルヲワカ
片平里菜
PENGUIN RESEARCH
荒谷翔大
Nothing's Carved In Stone
マオ(シド)
- 2025.07.20
-
神はサイコロを振らない
"NUMBER SHOT2025"
斉藤和義
[Alexandros]
ビッケブランカ
"KESEN ROCK FESTIVAL'25"
ASP
"JOIN ALIVE 2025"
キノコホテル
HY
Eve
"OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2025"
崎山蒼志 / NakamuraEmi / ズーカラデル / TENDRE ほか
GRAPEVINE
"焼來肉ロックフェス2025"
清 竜人25
PK shampoo
"DAIENKAI 2025"
LOCAL CONNECT
ROF-MAO
いきものがかり
GARNiDELiA
ブランデー戦記
- 2025.07.21
-
"NUMBER SHOT2025"
斉藤和義
PK shampoo
LOCAL CONNECT
東京スカパラダイスオーケストラ
ASP
鶴
TENDOUJI
jizue
め組
HY
PIGGS
小山田壮平 / 奇妙礼太郎 / 安部勇磨(Band set) ほか
ぜんぶ君のせいだ。
アーバンギャルド
LACCO TOWER
GOOD ON THE REEL
いゔどっと
ビレッジマンズストア
GRAPEVINE
Homecomings
SpecialThanks / レイラ / GOOD4NOTHING / THE FOREVER YOUNG ほか
アカシック
PENGUIN RESEARCH
RELEASE INFO
- 2025.07.06
- 2025.07.07
- 2025.07.08
- 2025.07.09
- 2025.07.10
- 2025.07.11
- 2025.07.13
- 2025.07.15
- 2025.07.16
- 2025.07.18
- 2025.07.19
- 2025.07.20
- 2025.07.23
- 2025.07.25
- 2025.07.29
- 2025.07.30
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
音ノ乃のの
Skream! 2025年06月号