Japanese
ヒトリエ
Skream! マガジン 2021年08月号掲載
2021.06.30 @Zepp DiverCity(TOKYO)
Writer 秦 理絵 Photo by 西槇太一
6月30日。かつて2012年にwowakaがステージで初めて"ヒトリエ"を名乗った日に、2021年の今、シノダ(Vo/Gt)、イガラシ(Ba)、ゆーまお(Dr)の3人がヒトリエとしてステージに立っていた。2月にリリースされた最新アルバム『REAMP』の全国ツアー"Amplified Tour 2021"の13本目となる東京Zepp DiverCity公演だ。
2019年4月にwowakaが急逝してからのヒトリエは、シノダをギター・ヴォーカルとする3ピース編成でバンドを再構築し続けてきた。wowakaのいるヒトリエの音楽を取り戻すのではなく、wowakaに恥じない新しいヒトリエの音楽を突き詰めていく。そうやって完成させたアルバム『REAMP』は、これまでのヒトリエの文脈を受け継ぎつつも、3人の個性を臆することなく前面に出した新しいヒトリエの作品になっていた。喪失感と同時に、再生に向かう心境もありのままに投影させたそのアルバムについて、当時のインタビュー(※2021年2月号掲載)で3人は、"ただ曲を作るしかなかった"と言っていた。これからのヒトリエのためではなく、自分たちが崩れないためには動く以外の方法がなかったのだ。だが、この日のステージでシノダは、"こういうことをずっとやっていきたい"と、何度も未来への言葉を口にしていた。新曲を中心に、過去のヒトリエのライヴに欠かせなかった人気曲も数多く披露されたこの日のライヴは、これからもヒトリエを守り続けていく、そんな3人の覚悟を感じるライヴだった。
まだ大阪公演が残っているため、以下のテキストでは、セットリストのネタバレは『REAMP』を中心にした新曲のみにとどめるかたちで書いていく。
SEと共にメンバーがステージに登場すると、シノダが力強くこぶしを振り上げた。3人がステージ上に三角形を描く3ピースのベーシックなフォーメーションでスタンバイ。真っ赤な照明がステージを覆い尽くし、3人のヒトリエとして初めて発表した「curved edge」で、イガラシの凶暴な重低音とシノダの鋭利なギターがクレイジーに絡み合った。ゆーまおが刻むダンサブルなビート。そこに転がる憂いを帯びたメロディには、悲しみと怒りが混然一体となった複雑な感情が滲む。早口で捲し立てるメロディが楽曲全体の勢いを加速させた「ハイゲイン」へ。最新アルバム『REAMP』の中でも、とりわけ攻撃的な楽曲たちはフロアのボルテージを一気に高めた。3人のテクニカルな演奏によって構築される緻密且つ大胆なアンサンブルは、音源で聴いても圧巻だが、やはり目の前で演奏されることで、さらにその凄みが増す。
アルバム『REAMP』は、シノダを中心にメンバー全員が作詞/作曲を手掛けたことにより、これまでにない振り幅が出た作品だった。その持ち味はライヴでも光る。イガラシが作曲を手掛けた「dirty」は、繊細に刻む6/8拍子のリズムと歪んだ轟音が溶け合うナンバー。ブルーの照明を浴びて紡がれる透明なメロディはどこまでも儚い。同じくイガラシが作曲したバラード曲「イメージ」には、シノダが"僕たちのこれからの歌を歌います"と言葉を添えた。ギター1本で歌い出し、次第にバンド・サウンドが加わる。"僕はまた/太陽の裏側に 行くのさ"と、静かに衝動を燃え上がらせる1曲を演奏し終えたあと、フロアの拍手を受け止めたイガラシは小さく頷いていた。ゆーまおが手掛けた「YUBIKIRI」は、とても重要なポイントで披露された。これまでのヒトリエにはない明るくポップな曲調ゆえに、ゆーまお自身は"受け入れられるかわからない"というような懸念も口にしていたが、ライヴではより骨太なアンサンブルで聴かせ、共に生きていくための真摯なメッセージを託したその歌は、確かに今のヒトリエに必要な1曲だった。
忘れられない光景は数えきれないほどあったが、「うつつ」もそのひとつだった。浮遊感漂うサウンドの中で寂しげなメロディがゆらゆらとさまよう。幻想と現実の間を行き来する美しい音像に息を呑んだ。また、最新シングル「3分29秒」の破壊力も別格だった。リリースこそ『REAMP』のあとだが、3人のヒトリエとして初めて作った、いわば彼らがリスタートを切るきっかけになった1曲だ。激しく明滅する光を浴びて、ゆーまおとイガラシのリズム隊が圧倒的な推進力を生み出し、シノダの紡ぐメロディが大きな起伏を描きながら駆け抜ける。この曲のあと、シノダは"はぁー、たまんねぇ。やっぱりこれがなきゃダメよ"と感慨を込めて切り出した。"これぐらいでっけぇライヴハウスでドカーンとやらないと。私の人生は満足できないのであります。なんてコスパが悪いんだろ(笑)"。そんなふうに冗談っぽく笑ったあと、"いろいろあったけど、やめなくて良かったと思ってる、本当に"と噛みしめるように伝えた言葉には、この日一番大きな拍手が送られた。
アンコールでは、"買っちゃった"と、シノダが新しいギターをお披露目する場面もあった。まさかのゆーまおのドラムと同じ緑色のモデルということで、"なんで俺のドラムと同じ色なの?"と突っ込むゆーまお。"買ってから気づいたんだよ"と苦笑いで答えるシノダ。というやりとりで会場を和ませつつ、最後は彼らのライヴには欠かせない必勝アンセムでフロアを踊らせて終演。ゆーまおがいるドラム台の前に集まり、イガラシはいつものように物静かに、シノダは大きく振りかぶって、最後の一音をジャーンと鳴らし、ライヴを締めくくった。
2年前、想像を絶する悲しみを経験したヒトリエは、今回のツアーを回り切ることで、ようやく本当の意味で力強い一歩を踏み出せたのではないかと思う。wowakaのいないヒトリエは、果たしてヒトリエなのか、まったく違うバンドなのか。バンドへの思い入れが強いほど、どうしても比べてしまう向きはあると思う。だが、今のヒトリエが生み出した音源を聴き、そのライヴを目撃すれば、彼らがロック・バンドとして、極めてシンプルな思考でバンドの現在地を更新しようとしていることがわかるはずだ。要は、判断基準は、"今"がかっこいいか、ダサいか、だけでいいということ。ヒトリエは間違いなく前者だ。
- 1
LIVE INFO
- 2024.03.19
-
神はサイコロを振らない
BIGMAMA
MyGO!!!!!
怒髪天
WurtS
EASTOKLAB
eill
XIIX
milet
East Of Eden
the chef cooks me
- 2024.03.20
-
神はサイコロを振らない
Mr.ふぉるて
いきものがかり
怒髪天
yama
BUMP OF CHICKEN
MAGIC OF LiFE
CRYAMY
AJICO
SUPERCHUNK × NOT WONK
SHE'S
UNCHAIN
Galileo Galilei × BBHF
Tsukasa Inoue
GLIM SPANKY
れん
シノダ(ヒトリエ)
WurtS
Hakubi
ZAZEN BOYS
ザ・クロマニヨンズ
DURAN
秋山黄色×石崎ひゅーい
Amber's
竹内アンナ
TOOBOE
milet
Hello Sleepwalkers
the chef cooks me
- 2024.03.22
-
"HY SKY Fes 2024"
怒髪天
Mr.ふぉるて
さかいゆう
シノダ(ヒトリエ)
キュウソネコカミ
yama
クジラ夜の街
マルシィ
MyGO!!!!!
Creepy Nuts
FABLED NUMBER
a flood of circle
Base Ball Bear
TAIKING
Hakubi
Age Factory
Absolute area
PEDRO × MONO NO AWARE
スピラ・スピカ
ORCALAND
シンガーズハイ
ズーカラデル
- 2024.03.23
-
ヤバイTシャツ屋さん
"HY SKY Fes 2024"
怒髪天
クジラ夜の街
yama
眉村ちあき ※振替公演
ORCALAND
AJICO
原因は自分にある。
Tsukasa Inoue
indigo la End
King Gnu
ExWHYZ
TAIKING
SUPERCHUNK × NOT WONK
EASTOKLAB
Base Ball Bear
MAGIC OF LiFE
Laughing Hick
Creepy Nuts
sumika
東京初期衝動
大塚紗英
フラワーカンパニーズ
"ツタロックフェス2024"
マカロニえんぴつ
Uniolla
離婚伝説
めいちゃん
THE BACK HORN
SUPER BEAVER
虎の子ラミー
TENDOUJI
- 2024.03.24
-
"HY SKY Fes 2024"
眉村ちあき ※振替公演
にしな
いきものがかり
ハンブレッダーズ
MAGIC OF LiFE
さかいゆう
JYOCHO
sumika
indigo la End
東京初期衝動
KiSS KiSS
"ツタロックフェス2024"
Ivy to Fraudulent Game × osage
マハラージャン
cinema staff
GLIM SPANKY
SUPERCHUNK × NOT WONK
めいちゃん
SUPER BEAVER
Newspeak
- 2024.03.25
-
Base Ball Bear
怒髪天
ザ・クロマニヨンズ
SUPERCHUNK
- 2024.03.26
-
神はサイコロを振らない
挫・人間
reGretGirl
- 2024.03.28
-
Hakubi
神はサイコロを振らない
レイラ
リーガルリリー
yama
LEGO BIG MORL
WurtS
- 2024.03.29
-
ORCALAND
いきものがかり
レイラ
BIGMAMA
Mr.ふぉるて
the McFaddin
yutori
Mega Shinnosuke
FABLED NUMBER
Creepy Nuts
佐々木亮介(a flood of circle)
Panic Monster !n Wonderland
Tsukasa Inoue
The fin.
CVLTE
マルシィ
- 2024.03.30
-
キュウソネコカミ
MAGIC OF LiFE
シノダ(ヒトリエ)
神はサイコロを振らない
04 Limited Sazabys / My Hair is Bad / go!go!vanillas ほか
フラワーカンパニーズ
ヤングスキニー
ザ・クロマニヨンズ
Laughing Hick
KANA-BOON ※開催中止
東京初期衝動
BUMP OF CHICKEN
夜の本気ダンス
夜の本気ダンス
Mega Shinnosuke
にしな
This is LAST
the telephones
yama
SEKAI NO OWARI
GLIM SPANKY
SHE'S
kobore
Base Ball Bear
Subway Daydream
TAIKING
People In The Box
マカロニえんぴつ
AJICO
ハク。
MAN WITH A MISSION / サンボマスター / ACIDMAN ほか
indigo la End
Saucy Dog
- 2024.03.31
-
バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI
東京初期衝動
ヤングスキニー
ORCALAND
フラワーカンパニーズ
神はサイコロを振らない
sumika / THE ORAL CIGARETTES / SiM ほか
MAGIC OF LiFE
いきものがかり
ザ・クロマニヨンズ
ズーカラデル
Mr.ふぉるて
BUMP OF CHICKEN
超能力戦士ドリアン
リーガルリリー
yutori
the telephones
odol
挫・人間
yama
moon drop
SEKAI NO OWARI
This is LAST
People In The Box
マカロニえんぴつ
原因は自分にある。
さかいゆう
怒髪天 / GLAY / さだまさし
Saucy Dog
- 2024.04.02
-
神はサイコロを振らない
SCANDAL
- 2024.04.03
-
ハク。
ヤングスキニー
indigo la End
RELEASE INFO
- 2024.03.20
- 2024.03.22
- 2024.03.27
- 2024.03.28
- 2024.03.29
- 2024.03.31
- 2024.04.03
- 2024.04.05
- 2024.04.07
- 2024.04.09
- 2024.04.10
- 2024.04.17
- 2024.04.21
- 2024.04.22
- 2024.04.24
- 2024.04.26
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
MGMT
Skream! 2024年03月号