Japanese
ヒトリエ
Skream! マガジン 2022年10月号掲載
2022.09.22 @Zepp Haneda(TOKYO)
Writer 稲垣 遥 Photo by 西槇太一
ヒトリエの音楽性を拡張したと言っても過言ではないニュー・アルバム『PHARMACY』。同作を引っ提げ、この夏"ヒトリエ Summer flight tour 2022"と題し全国14公演を回ってきたヒトリエが、そのツアー・ファイナルをZepp Haneda(TOKYO)で行った。
どこかもの寂しいゲーム音楽的なSEが鳴るなか登場した3人は、アルバムのオープニング・チューンであり洒脱でモダンなムードすら漂わせる「Flashback, Francesca」からこの夜を始めた。"「Summer flight tour 2022」始まります。ヒトリエですよろしくどうぞー!"シノダの叫びから「ゲノゲノゲ」へ。メロディのキャッチーさだけでなく、音源以上にがなるシノダの歌声と雪崩のような轟音にストロボ・ライトの明滅が合わさり、迫力や狂騒感が強調されていた。ソロ回しでも魅せながら、そこへソリッドな「ハイゲイン」を投下。序盤から多くの手を上げさせる。
ヒトリエのポップな新境地を切り拓いた1曲「風、花」からは、シノダがギターを置きハンドマイクで歌唱した「SLEEPWALK」とダンス・チューンを連続。ミドル・テンポを繋ぎながらも着実にフロアの熱が高まっていったのは、今のヒトリエのパフォーマンスの思い切りの良さ、そして強靭さゆえだ。アルバムの中でも特に異彩を放っていたエレクトロニックな「電影回帰」では、浮遊感のあるシンセが軸にありながら、スピーディなドラミング、トリッキーなベース・ラインとユニークな個々のプレイにも目が行く。改めて本作の自由な音の広がりを実感していると、イガラシが一音一音ゆっくりと、ハーモニクスも交えながらベースを紡ぎ始める。その深い深い海の底へといざなうような世界観から、スポットライトで照らされたシノダが懇ろなギターを弾き、歌い始めたのは「極夜灯」。打ち寄せる波の如く、静かながら包容力のあるゆーまおのドラムが重なり、やがてシンプルな3ピースのサウンドは激しさを増してゆく――孤独な夜に朝日が昇る瞬間を彷彿させた、壮大でいて神聖な演奏には、記憶に刻まれる輝きがあった。
クールに決めるイガラシとゆーまおに比べ"私だけびちゃこいてる"と話す汗だくのシノダが、"こっから先ブチ上げのブチかましのセトリをブチ込んでいきますんで、Zepp Hanedaにお集まりのみなさま、ぜひ私のようになっていただきたい"と披露した「カラノワレモノ」ではフロアが一斉に跳ねる。そしてシノダが前に出て歪んだギターをかき鳴らし、ここぞの場面で飛び出した「Flight Simulator」。真骨頂と言えるロック・バンド然とした姿を見せつけ疾走! 咆哮とも言いたくなるヴォーカルが、まさにブチ上がったオーディエンスをさらに昂らせる。次いでイガラシのスラップ・ベースから「踊るマネキン、唄う阿呆」をドロップし、2階席までなりふり構わず躍らせると、レーザー光線が楽曲とマッチし高揚させた「3分29秒」、凄まじい緊迫感のまま「アンノウン・マザーグース」と怒濤のブロックを駆けずり回ったのだった。
長い拍手を受け、15本滞りなくツアーを回れたこと、2~3年ぶりに充実した夏を送ることができたことに感謝を告げたシノダ。"何年も夏を過ごしてきましたけど、今年の夏が一番好きだな。同じ夏は2度とやってきませんが、次の夏までには今日より凄まじいライヴを見せたいなと思っております"。言葉の重みも醸しながら、噛み締めるみたいに伝えたその台詞に胸が熱くなる。ここで披露したのは「Quit.」。イガラシが作曲を手掛けた、季節が夏から秋へと移り変わってゆく瞬間にぴったりの幻想的で儚くも美しいナンバーを、丁寧に、自分たちに刻みつけるように奏でた。"みなさん、僕たちヒトリエに最高の夏をありがとうございました! そんなあなただけにヒトリエより愛を込めて!「ステレオジュブナイル」!"ひと塊になった3人がフロアへ向けて愛をまっすぐにぶん投げ、本編を終えた。
アンコールの拍手を受けて再びステージに現れたヒトリエは、ヒトリエとして初のアルバム『ルームシック・ガールズエスケープ』リリースから10年を記念し、ワンマン・ライヴ"10年後のルームシック・ガールズエスケープ"を開催することを発表。イガラシは"ちょうど10年前、wowaka(Vo/Gt)とバンドやるんだってめちゃくちゃわくわくしてたことを今でも覚えてて、大事なアルバムを発売10周年って祝えるのもそうだし、過去に来ることができなかった新しい場所で今までの曲をやれてるってことも、どっちの意味でもバンドを続けていて良かったなと思ってます。ありがとうございます"と想いを真摯に語り、シノダも"まだまだやりますよ、このバンド"と言う。大仰ではなく落ち着いたトーンで、だがしかししっかりと前を見据えて。この日の彼らからは、歩いてきた足跡への確かな自信と、凛とした強さが確かに感じられ、オーディエンスも各ブロックで温かい拍手を送り続けていたのが印象的だった。
そして「curved edge」から再び濃厚な轟音でZeppを飲み込んでいき、シノダのサイレンのようなギター・リフが痛快なキラーチューン「インパーフェクション」を荒々しく鳴らすと、最後の最後はギター弾き語りから「ポラリス」へ。"ひとり"に寄り添うバンドの揺るぎない姿勢をどこまでも優しく、頼もしく示して、ヒトリエとこの日集まったオーディエンスの2022年の夏を締めくくった。
このツアー・ファイナル公演のアーカイヴ映像はStreaming+にて9月28日23時59分まで配信中。視聴チケットは28日21時まで販売されているので、チェックしてほしい。
[Setlist]
1. Flashback, Francesca
2. ゲノゲノゲ
3. ハイゲイン
4. 風、花
5. SLEEPWALK
6. 電影回帰
7. イヴステッパー
8. 極夜灯
9. Neon Beauty
10. カラノワレモノ11. Flight Simulator
12. 踊るマネキン、唄う阿呆
13. 3分29秒
14. アンノウン・マザーグース
15. strawberry
16. Quit.
17. ステレオジュブナイル
En1. curved edge
En2. インパーフェクション
En3. ポラリス
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