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INTERVIEW

Japanese

androp

2012年08月号掲載

androp

Member:内澤崇仁 (Vo&Gt)

Interviewer:山口 智男


-まとまらないと思ったとき、そこで敢えてまとめようとはしないんですね?

そこはちょっと自信があるのかもしれない。どんなふうにやっても僕らの曲になる、そこは大丈夫だっていう。それに3人とも僕が作った曲を噛み砕く能力が高くて、それは出会った時から思ってたことなんですけど、だから、自分なりに解釈して、僕がこういうことを伝えたい、こういう曲調にしたいと伝えると、自分の中で噛み砕いて、自分の音にして、演奏してくれるのでそこは信頼してますね。

-3曲それぞれにテーマ、メッセージがあるそうですね。「Boohoo」には情報があふれる時代の中で何か取捨選択するとき、みんながいいと言ってるから自分もなんとなくそっちに流されるというムードに抗うことがテーマになっているんだとか?

“みんながいいと言ってるから”って言葉、自分も言い訳として使ったことはあるんですけど、そもそもその顔のよく見えない“みんな”って何だろうって疑問があったんですよ。今、情報がたくさんあって、選択肢はいっぱいあるんだけど、たくさんありすぎて逆に選びにくい。そういう時代に生きながら、自分が本当に必要としているものを選ぶとき、確かに“みんながいいと言ってる”っていうのは、選ぶ理由のひとつとしてあってもいいんだけど、その“みんな”が何なのかってことを踏まえたうえで選んでいかなきゃいけない。そういう強い意志が必要なんじゃないかって思うんですけど、情報が速いうえに量も多いからひとつひとつの問題に対して考える時間が昔よりも減っている。だからなおさら強い意志を持ちづらくなっているような気がします。それに対する問題提起……それでいいのか、もっと強い意志を持つべきじゃないのかという意味を込めたんです。この間、ニュースで見たのが、ニューヨーク・タイムスの1週間分の情報量っていうのが、18世紀の人が一生で得るものもよりも多いって(苦笑)。すごい時代に生きてるんだなって思いますよね。

-「AM0:40」に込めた“過去に思いを馳せるだけではなく、未来を見たい”という想いはどんなところから感じたんですか?

今の自分があるっていうのは、過去の自分がいろいろなものを取捨選択して生きてきたからこそだと思うんですけど、小学生の頃、僕は未来にすごく希望を持っていたし、歌詞にもあるように流星群を友達と見にいって、流れ星に願いことをしていたこともあって、そういう時期も経て、自分が今ここに立っているんだって、そういう気持ちをこれから自分がどう生きていくか考えるうえで忘れずにいたいと思って……。

-それが未来を見たいという気持ちにつながった、と。今は流星群を見にいった時と同じぐらい未来に希望って持ってますか?

僕は持ってますよ。生きていくうえでの目標だったりとか、こうなりたいとか、こうありたいとか、生きていこうって思う要因すべてが僕にとっては未来を見せる希望だったり光だったりするので、希望は持ってるし、未来を見たいとも思います。

-「Boohoo」もそうでしたけど、お話を聞いていると、取捨選択が大きなテーマなのかなという気もしてきました。

なるほど。昨日こうしていたらどうなっていただろうってタラレバ的なことも含め、今があるのは自分が取捨選択したんだから、その責任を取って、言い訳せずに生きていきたい……自分がこれを選んだんだからって、ちゃんと意識しながら生きていきたいですよね。言い訳しながらの人生は、やっぱりいやですからね。

-取捨選択してきた判断は、今の自分がこうしているんだから間違えはなかったという自信もある?

たとえ間違ったとしても、僕は後悔するし、ずっと忘れないんですけど、それを後悔したことがあるから今があると思いたいし、間違いやそれに対する後悔も受け入れて生きていきたいと思ってます。

-ノスタルジックな「Waltz」は、自分がどんなところからやってきたのか、そこは忘れちゃいけないとか切り捨てられないとかってことなのかしら?

これは本当にファンタジーと言うか、僕の原風景と言うか、小さい頃、夜が怖くて眠れないってことが多くて、それで母親に絵本を読んでもらったり、自分の中で空想の世界を作って、楽しんだりしていたんですけど、そういう子供を俯瞰で見たイメージの曲ですね。小さい頃の思い出です。

-初めて買ったアコースティック・ギターを実家から取り寄せて作ったそうですね?

ずっとアコギを借りてたんですけど、それを返しちゃって、あ、アコギがないと思ったとき、そうだ実家にあるなって。それで取り寄せて、アコギの曲を練習しなきゃって、そのきっかけで「Waltz」ができたんです。ああ、このギター久々に触るなって思いながら。弦高が高くてすごく弾きにくいんですよ。安いから(笑)。そう言えば、これに苦労しながらギターの弾き方を覚えたなって思って、僕の中のアコギの元々の音はこれだったなって思って、懐かしい感じになって。

-そこも含めて原風景なわけですね。

そうですね。

-アコギがないって思ったとき、買ってもよかったわけじゃないですか。

それは確かに。でも、その後、買いました。

-やっぱり弾きづらいし。

ライヴでも弾かなきゃならないんで(笑)。でも曲ができたんで、慌てて買わなくてよかったと思います。

-9月から始まるone-man live tour “angstrom 0.5 pm”も含め、今年後半はどんなことをやっていきたいと考えていますか?

さっきも言ったようにどんどん自由になってきて、ライヴ、音源制作ともにこれまで感じていた枠が外れてってる感覚があるんですよ。だから曲自体ももっともっと自由になっていくだろうし、ライヴも自由にもっとやってみたいと思ってるので、さらに変化していければいいですね。自分たちの中でトライを繰り返して、新しいものを提示しつつ、聴く人、見る人それぞれに違った印象をもっともっと持ってもらえるような、それこそライヴにもっといろいろな人が来るぐらいの多面的なバンドになっていきたいと思います。

-次のツアーではライヴの見せ方というところで、この間のツアーとはまた違ったところを見せてもらえそうですか?

今回のシングルを作ったことで、光にまた新たな興味が湧いてきたので、また違った形でおもしろいことができたらいいなって思ってます。あっと驚くようなことをしてみたいですね