ねごと 蒼山幸子の「訳あり夢通信」【第29回】

COLUMN

贅沢と身体のお話。
夏といえば海！という家で育ったわたしは体質的に夏になると必ず海に行きたくなってうずうずしてしまいます。
今年の夏は制作やいろいろなことで忙しく、家族で海に行ける暇もなく、若干しゅんとしていたのですが、合間に一日だけ友達と海に行ける日があり、泳げなくてもいい、一目海に会えれば......！という精神で寝不足のまま死に物狂いで海まで行ったら暑さにまんまとやられました。まあ眩しい太陽に目が開かないこと開かないこと。
身体はしんどかったのに、それでも海の家であの薄めのかき氷を食べたりして波を眺めるだけで心が静かになって、満ち足りたように元気になっていくから不思議。
冷えピタを貼りながら髪も砂だらけになって馬鹿みたいでしたが、それでも来れて本当によかったな、と思いました。

それから猛烈に懐かしのクリームソーダが食べたくなった日がありました。
それだけを食べに妹を引っ張り出して浅草のアンヂェラスへ。
かの手塚治虫も来てたという老舗の喫茶店です。ショートケーキやバナナボート、惹かれるものがたくさんありましたが、お目当てのクリームソーダのみをふたりで注文しました。シンプルにこっくりしたバニラアイスの染み渡るメロン味のソーダが本当に美味しくて、また一気に体が緩んで癒されたような気がしました。
こういうのって日々の中の贅沢。

食べたいと思ったものを食べたり、行きたいと思ったところに行ったり、体の求めていることに素直に乗っかるだけで、すぐに幸せになれたりします。

身体の声を聞くことって、心の声を聞くことより大事な気がします。たとえていうなら健康志向に、ダイエットにヘルシーな食事をすることは健康にいいことには間違いないけど、今日はなんだかジャンクフードが食べたい、カップラーメンにしちゃえと思ったらそれに切り替えてむふふってなっちゃえるような、ゆるさと自分だけのペース、バランスを何より大事に暮らしていきたい。小さな贅沢を少しずつ味わいながら、元気にいきたいものです。

ねごと

2008年結成。"閃光ライオット2008"のファイナリストとして知名度を全国区にし、2009年9月より本格始動。2010年、1stミニ・アルバム『Hello! "Z"』をKi/oon Musicよりリリース。CMなどのタイアップもあり、幅広い層の支持を得る。2016年11月には中野雅之（BOOM BOOM SATELLITES）、益子樹（ROVO）をサウンド・プロデューサーに迎えたEP『アシンメトリ e.p.』を発表し、その後も2017年2月にアルバム『ETERNALBEAT』、そして8月には映画"トリガール！"の主題歌／挿入歌となったダブルAサイド・シングル『空も飛べるはず / ALL RIGHT』をリリース。12月には2017年2枚目となるフル・アルバム『SOAK』とLIVE DVD『"ETERNALBEAT"TOUR 2017』を同時発売し、2018年2月から4月にかけて開催した約1年ぶりの全国ツアー"ねごとワンマンツアー2018 「SOAK」"は好評のうちに幕を閉じた。

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