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INTERVIEW

Japanese

SHE'S

2017年12月号掲載

SHE'S

メンバー:井上 竜馬(Key/Gt/Vo) 服部 栞汰(Gt) 広瀬 臣吾(Ba) 木村 雅人(Dr)

インタビュアー:沖 さやこ

2017年夏、"Awakening(=目覚め)"というタイトルを冠したミニ・アルバムをリリースしたことも記憶に新しいSHE'Sがメジャー2ndフル・アルバム『Wandering』を完成させた。彼らといえば、メジャー1stフル・アルバム『プルーストと花束』を今年の1月にリリースしたばかり。1年でアルバムを計3枚リリースするというクリエイティヴィティと音楽的探求心には舌を巻くばかりだ。初の外部プロデューサーとしてGREAT3の片寄明人を迎え、それぞれのルーツや挑戦が存分に詰め込まれた"放浪"の描く景色とは――

-井上さんは今作について"僕らの「放浪(=Wandering)」が楽しめます"と公式コメントを寄せてらっしゃいますが、このテーマに行き着いた経緯を教えていただけますか。

井上:前作に"Awakening"というタイトルを付けたとき、ほぼ同時に"Wandering"というタイトルが浮かんだんですよね。でも前作のタイミングではまだ"Wandering"ちゃうなー......と。『プルーストと花束』(2017年1月リリースのメジャー1stフル・アルバム)をリリースして、上京もして第2章に進むという感覚と新しい要素をSHE'Sに取り入れていきたいという意志で前作に"Awakening"というタイトルを付けて。そこからさらにさらに深いところ、どんなところにSHE'Sが行くんやろ? というわくわくを持ってもらいたくて、"旅"ではなく"当てもなく彷徨う"という"Wandering"にしました。

-同じくコメントにあった"僕がどこに行こうか、どこに行きたいか、どこに居たいか悩んだ時"という一文の真意は?

井上:僕がというよりはSHE'Sが、ですね。僕個人としてはやりたい音楽がいっぱいあるとはいえ、自分の好き勝手やりたいならSHE'Sでやる必要はないなと思うんです。メンバー4人が持っている独自性があんまり生きひん曲や、全員テンションが上がるかというとそうじゃないやろなと思う曲は普段からはじくようにはしているんですけど、ふと"SHE'Sにはどういう音楽が合っているのかな、どういう要素入れたらおもろいんやろな"と立ち止まったときがあったんですよね。でも僕はとにかく足を動かそうと思うタイプなので、そういうときにひとり旅に出ることが多いんです。それでどこに行こうかなー......と思ったときにパッと思いついたのがイギリスで。今年は結構UKの音楽を聴いていたし、もともとOASISやCOLDPLAYが大好きなのもあって、5月に行ってきました。

-旅先での出会いが綴られた「All My Life」でアルバムは幕を開けます。

井上:ちゃんと帰ってこれる場所、SHE'Sという軸があるから旅に出られるなと思うんですよね。そういう気持ちを持って旅に出たから、歌詞にもある"少年よ、失敗も悪いもんじゃない/右へ左へ行け 掴んだ後に手離してしまっても良い/旅こそが人生だ"という言葉を旅先で言ってもらえたのが嬉しかったし、だから曲が書けたとも思うし。それで最後に帰って来れたから「Home」という曲が収録できたと思うんです。

-おっしゃっていただいたとおり、『Wandering』は『Awakening』の続編という印象を持ちました。前作でもサウンド・アプローチを広げていましたが、GREAT3の片寄明人(Vo/Gt)さんがプロデュースなさったことも影響してか、さらに音色が豊かになっています。

井上:『Awakening』は"夏"という大きなテーマがあったけれど、『Wandering』はそういうものがないぶん、SHE'Sの4人のルーツでもある洋楽のエッセンスや感覚をもっとわかりやすく入れ込みたいなと思っていたんですよね。それでいて新しい感覚を与えてくれるのは片寄さんなんじゃないか、ということでお願いをしました。音色のイメージを片寄さんと共有して一緒に制作をしていって、徐々にサウンドの全体像が見えていきました。自分たちが出したかった海外感を『Awakening』以上に出せたと思います。自分たちの好きなものは出していきたいし、そういう音楽をやっていたいですね。

木村:片寄さんがいたことによって、音楽的なことがすごく勉強になりました。僕はそんなに昔の曲に詳しい方ではないんですけど、片寄さんは"こういうものを聴いてみたらどう?"と随時教えてくれて。強要するわけではなく、いろいろ提案をして、僕らの幅を広げてくれました。

広瀬:僕の場合、音作りでは最初に聴いたときのファースト・インプレッションをどれだけいい表現にできるかというのを大事にしていて。やっぱりラジオとかで流れたときにパッと引っ掛かってほしいなと思うんですよね。片寄さんは"いままではこういうふうにしていたんですけど、こういうこともしてみたいんですよね"と相談をすると、ちゃんと返事をくれる人でした。それもあって、いままでがレベル100だとしたら120のところにいけたと思います。

井上:第5のメンバーみたいな感覚で一緒にスタジオに入って制作をして、自分にないアイディアをいろいろ出してもらいました。制作中は構成やアレンジに集中していることが多いから、客観的に全員の演奏を聴いてジャッジすることは自分たちだけやと限界があるんですよね。今回はそれを片寄さんがやってくれたことがすごく大きかったんじゃないかな。4人で演奏してるときに片寄さんが"あれ? いまのところもう1回やってみて"とか"歌がこういうアプローチをしているから楽器はこうした方がいいんじゃない?"と言ってくれることが多くて。それはアレンジ面において一番大きな要素だったと思いますね。

服部:片寄さんはしっかり僕らの意向に寄り添ったうえで新しい方法を教えてくれたり提案をしてくれるんです。それもあって僕らも"じゃあこういう感じがいいですか"と新しいことがしやすくて。音作りからずっと楽しみながらできましたね。