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INTERVIEW

Japanese

androp

2017年05月号掲載

androp

Member:内澤 崇仁(Vo/Gt) 佐藤 拓也(Gt/Key) 前田 恭介(Ba) 伊藤 彬彦(Dr)

Interviewer:山口 智男

ある意味、ショッキングとも言えた前作『blue』から7ヶ月ぶりに彼らがリリースするニュー・シングル『Prism』は、闇やタブーと真正面から向き合った前作から一転、再び光を描いたものとなっている。そんな作品が同時に、前作以上にandropというバンドの芯の強さやバンド・サウンドに対する誠実さをアピールするものになったところに新境地が窺える。メンバー全員が揃った今回のインタビューでは、「Prism」はもちろん、カップリングの2曲に関しても、新境地という成果に繋がった曲作りや、アレンジにおける進化について掘り下げてみた。

-表題曲の「Prism」(Track.1)を始め、今回のシングルはバンドの芯の強さとかバンド・サウンドに対する誠実さとか、それを裏づける自信を改めて印象づける3曲が揃いましたね。

内澤:前作の『blue』(2016年リリースの4thアルバム)はインディーズという形でリリースさせてもらったんですけど、そのあと、これからどうしていこうかと考えるなかで、ユニバーサルミュージックのZEN MUSICという、発想が面白い人たちと巡り合えたんです。そういう面白い人たちと組んで、自分たちがかっこいいと思っている音楽を発信したら、また化学変化が起きて、面白いものを今の日本の音楽シーンに投下できるんじゃないかっていろいろ話をしていって。『blue』ではメジャーでは言えないようなことも発信できるところが面白いと考えて、闇やタブーをよりオープンにしながら作ったんです。でも、自分たちはいつもそうなんですけど、毎回新しいことをしていこうという気持ちが強いので、また真逆に行きたくなって(笑)。今回は、闇を描いた前作から真逆の光をものすごく描いたものを作ってみようと思いました。

-新しい環境が曲作りに影響したところもあったわけですか?

内澤:基本的な部分は昔から変わっていないんですけど、今までになく、ざっくばらんにいろいろなことを話しながら音楽を作れました。これまで7年間、活動してきたなかで、ある意味、凝り固まった考え方もしていたと思うんですよ。でも、新しいチームになってから、その凝り固まった部分を俯瞰して突いてくれるようなところがあって。

佐藤:ひとつ例を挙げると、"細かいフレージングやアレンジはさておき、1回、まずメロディの強さを重視してデモを作ってみたらどう? そこから4人でスタジオに入って、曲を形にしていったら?"って。そういうやり方って、実はこれまであまりやってこなかったんですよ。デモを作る段階で、がっちり作り込むことが多かったので。何も言われなかったら、自分たちがいいと思うやり方で作り続けていたと思います。もちろん、全部取り入れるわけではないんですけど、面白いと思えることは積極的に取り組んでいきました。結果、今までできなかったようなことも含め 新たな曲作りができたんです。

内澤:これまでは僕だけが作ってたんですけど、みんなが作ってきたものを、週1ぐらいのペースでスタジオで聴き比べながら1曲ずつ吟味して、"何が足りない?"、"じゃあ、こうしてみよう"っていうふうに曲の基礎を作るやり方は、これまでとかなり違いましたね。

佐藤:昨年末ぐらいから、デモというレベルで言ったら、相当の曲数を作り続けているんですよ。今回の「Prism」も何曲も作ったなかで出てきた1曲なんです。

-その「Prism」と2曲目の「Ryusei」は何かが劇的に変化したということはないんですけど、andropの新しい姿を印象づける曲になりましたね。『blue』のようなショッキングなインパクトとはまた違うんですけど、とても印象に残る曲になっていると思います。

内澤:我々が今までやってきたことの、さらなる更新というか、いつも前進しているつもりではあるんですけど、今回は前進プラス、階段を上るような、前に進むだけではなく、上にも上がるような感覚もあるんですよ。僕は歌詞を書きながら、そういう想いが強かった。これまで以上に歌を届けようと思いました。

伊藤:そもそもデモを作る段階でメロディを一番重視しているから、活かすべきはメロディだったし、楽器で感情表現をするというよりは、デモを聴いたとき、"いいメロディだ"と思った気持ちがストレートに聴き手に伝わるようにと意識したので、特に奇をてらった演奏もしていないですね。

-でも、伊藤さんのドラムは曲が持っている"前へ前へと進んでいこう"という気持ちを、すごく表現しているように感じましたけど。

内澤:まさに。本当に歌に寄り添うドラマーだと思います。

伊藤:でも、僕は正直、意識していないからわからないんですよね(笑)。年々、レコーディングにせよ、ライヴにせよ、クリックやシーケンスで流れる決まったリズムよりも、他の3人の演奏を感じながら、それに対して、何ができるかを考えるようになってきましたけど、一方では、リズムがブレないように自分の演奏に周りを巻き込んでいく感覚も必要だと思っているんです。結局、どちらも大事なことで、自分が何をやるかっていうのは、その時々で変わったり変わらなかったりするところもあるんですよね。

-音数を削ぎ落としたアレンジになっているにもかかわらず、線が細いように聞こえないのは、やっぱりアレンジで工夫しているからじゃないか、と。

佐藤:ギターに関しては、イントロにめちゃめちゃこだわりました。ド頭がギターなので、ここは絶対、イントロの1音を聴いただけで、「Prism」だっていうふうに思わせたかったんですよ。それでエレキ・ギターに、マンドリンとアコギで同じフレーズを弾いたものを重ねているんです。

内澤:隠し味として。

佐藤:他にもバンジョー、エレキ・シタール、ピアノと、いろいろ試したんですよ。

内澤:声も入れましたからね。ケチャみたいな感じで。

伊藤:即却下だったけどね(笑)。