ライター沖さやこの『アブストラクトマイライフ』

WRITERS' COLUMN

2016年01月号掲載

新年あけましておめでとうございます。ライターの沖です。このコラムを書いているちょっと前にSkream!編集部スタッフさんにお会いしまして、どうやら今月号は70ページ超えだそうです。縁起の良い年初めですね。わたくし、ありがたいことに今月もいろいろ原稿書かせていただきまして、久し振りにゲスの極み乙女。の皆様にインタビューいたしました。わたしはメジャー・デビューのころからのお付き合いなのですが、実はメンバー全員インタビューは今回が初めてです。2ndフル・アルバム『両成敗』についていろいろとおうかがいしたので、是非お読みくださいませ。
　
インタビュー中にバンドのキーマンである川谷絵音さんから、"両成敗"という言葉に込めた想いを聞きました。お話をうかがっている最中はその意味にあーなるほどーと思ったのですが、インタビューの帰り道にふと、ゲス乙女は他者と争うことはないけれどいろんなことと戦っているバンドだなと思いました。紅白歌合戦に出演するほどにお茶の間の人気者になったゲス乙女。その最大の要因はユーモラスな歌詞とキャッチーで個性的なメロディだと思います。そしてそれと同時に音楽的なテクニックや強度もどんどん高くなり、コアな音楽リスナーを唸らせる精度になっています。この表現をJ-POPのど真ん中で貫くのは容易なことではないと思います。でも彼らはそこと戦っている。自分たちのやりたい音楽を貫きながら、日本の音楽の風潮に変化をもたらそうと......大げさに言えば革命を起こそうとしているのではと思います。これは完全なる推測ですが、ロックとJ-POPの架け橋としての使命、バンドの代表としての責任も感じてらっしゃるのでは。積極的にTV露出をする姿勢も素晴らしい。
　
『魅力がすごいよ』リリース時にもこのコラムで同じようなことを書きましたが、私はこんな存在がロック・バンドから現れることをずっと待ち望んでいました。音楽から遠ざかってしまった友人も"おっきー（※私のあだ名）がインタビューしてるバンドをこの前TVで見たよ"と連絡をくれたり、私の記事を全部チェックしているうちの親もTVを見て"◯◯（※バンド名）の△△さんはこんな感じの人なんだね。インタビュー読んでて受ける印象とちょっと違って意外だったわ"と言っていたり、ライヴハウスに出入りする人しか知らなかったバンドのことを、音楽にさほど興味がない人も認識していることが嬉しくてたまりません。ライヴハウスで観てきたバンドが紅白歌合戦に出演なんて、本当に感慨深いですねえ......。
　
世の中には素敵な音楽がたくさんあります。ロックだけでなくいろんな音楽がもっともっといろんな場所にいろんな層に広まれ～。わたしも微力ながら文章で音楽を盛り上げられたらなと思います。まだまだ未熟者ですが精進していきますので、今年もどうぞよろしくお願いいたします！