ライター沖さやこの『アブストラクトマイライフ』

WRITERS' COLUMN

2013年11月号掲載

こんにちは。ライターの沖です。現在、Skream!の原稿のため、椎名林檎女史のベスト・アルバムを聴いております。わたしが中学生のときに林檎女史はデビューなさって、夜中の地上波で「幸福論」のPVを見たのが出会いでした。それから林檎女史は『歌舞伎町の女王』、『ここでキスして。』とコンスタントにシングルをリリースなさって、シングルごとにまったく違う表情を見せるところも、当時彼女がおっしゃていた自称"新宿系自作自演屋"という肩書きにも"かっこいい！！"と......たぶんわたし世代のバンド系の音が好きな女の人は、大体みんなそうだったんじゃないかな。林檎女史は19歳でデビューなさって、『本能』の頃は二十歳なんですよね。その頃はわたしも二十歳になったらあんな色気が出せるのかしらなんて思ったものですが、二十歳どころかアラサーになってもそんな色気が出ないです。（音楽的才能は言わずもがなですが）やはり彼女は特別なものを与えられたアーティストなのでしょう。そして今回のコラボ・ベストのタイトル『浮き名』。ご存知のかたも多いとは思いますが、浮き名というのは恋愛や情事の噂という意味で......こういうセンスも相変わらず素敵だなーとうっとり。やっぱりわたしにとって彼女は女性ではありますがヒーローというか、憧れなんだろうなと。自分にないものを持っている人は非常に魅力的であります。

日本のアーティストを聴いていることが多い今日この頃（とはいえ今更ですがARCTIC MONKEYSの『AM』はかっちょいいアルバムでした）。ずっと楽しみにしていたPeople In The Boxの新譜『Weather Report』が期待以上にとても素晴らしいアルバムでした。アーティストがアルバムについて語るUstream番組やニコニコ生放送なども最近定着してきましたね。ピープルもアルバム発売日にUstream番組を放送していましたが、曲にまつわるエピソードなどをいろいろ聞くことができて、目から鱗だったり、妙に納得だったり、すごく面白かったです。最近よく"UstとかTwitterとかあるから、インタビューなんて読む必要ないよね"なんて意見を聞きます。でも作品を聴いたリスナー（インタビュアー）の意見を当てることで引き出される本音や生まれる言葉は確実にあると思うんですよね。わたしがそれをうまく導いているかというと、まだまだいけるよなあ......と。試行錯誤しながらでもいろんなものを掴んでいきたいな、と思う、秋の夜でした。

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