ライター沖さやこの『アブストラクトマイライフ』

WRITERS' COLUMN

2015年12月号掲載

新作『シュレディンガーの猫』のリリース・ツアー"マタタビツアー 2015→2016"真っ最中のBrian the Sunがツアー初日の11月25日、TSUTAYA O-WEST公演にてメジャー・デビューを発表しました。私はBrian the Sunとは2014年1月からのお付き合いなのですが、何度も取材をしているバンドがメジャー・デビューをするという経験は5年半というライター人生で初めてでした。彼らのメジャー・デビューの件は10月の頭には知っていたとはいえ、いざ大舞台で発表されると非常に感慨深いですね......。泣きながら抱き合っているお客さんの姿もたくさんお見かけし、よく泣くことでお馴染み（？）の私も案の定ぽろぽろ涙が零れてきました。ブライアン本当におめでとう～！！
　
というわけでSkream!11月号＆WEBサイトに掲載されているBrian the Sunの『シュレディンガーの猫』のインタビュー記事ですが、彼らがメジャー・デビューを控えていることを念頭に読んでみると話の見え方もだいぶ変わってくると思います。インタビュー中の"このアルバムの制作中に来年の動きが決まってきた"という発言はメジャー・デビューのことです。彼らは"ライヴハウスで演奏するバンドとしての実力を見つめ直して、今の活動のうえでの総まとめみたいなものを作ろう"と『シュレディンガーの猫』を制作しました。
Brian the Sunはヴォーカル・ギターの森良太さんが作詞作曲をしています。私が感じる限り良太さんはかなり感受性が豊かなアーティスト気質なお方で、感性や感覚的な部分で音楽を作っている印象があります。だから彼はインタビューでも必要以上に言葉にしようとしないんですけど、メジャー・デビューの件と『シュレディンガーの猫』の作風からも、今このタイミングで良太さんの思考や感覚をできる限り言葉にするべきなのではないか......それがバンドにも良太さんにもファンの方々にも必要なことなのでは、と勝手ながら思いました。その結果インタビュー記事にあるように、良太さんは"説明するのが難しすぎる"とおっしゃいながらもなんとか言葉にしてくれました。
感情や想いを言葉にすると一気に嘘くさくなってしまうこともあったりしますよね。でも言葉にすることでわかることや腑に落ちること、見えることもたくさんあると思います。お話をうかがってブライアンは新しいフィールドでも大丈夫だなと思った。まあもともと大丈夫だと信じてますけども！そこをさらに明確にするのもライターの仕事のひとつなのかな、と思ったのでした。Brian the Sunのツアーは3月まで続きます。"そのときの自分をすべて出すだけ"と語る彼らの、血の通った嘘のないステージをぜひご覧になってみてください。