ライター沖さやこの『アブストラクトマイライフ』

WRITERS' COLUMN

2015年08月号掲載

7月はライヴ行きまくり月間でした。その数計11本。もっと行きたいライヴはあったんですけども泣く泣く削り......。11本ともドラマのあるライヴでした。そのうちの1本であるヒトリエの渋谷CLUB QUATTROのワンマン（※ヒトリエ東名阪クアトロツアー2015"トーキーダンスと赤い靴"）は、これまでのバンド活動が結実したような、圧倒的なライヴでした。私がヒトリエを観るのは5ヶ月ぶりだったのですが、『モノクロノ・エントランス』のインタビューでwowakaさんがおっしゃっていたように、圧倒的に4人とも技術が向上していました。ゆーまお氏は曲によってはクリックを聴きながらあの難解なリズムを正確に刻み、イガラシ氏も曲によりベース＆ストラップの位置を変えたりと、もともと実力のあるリズム隊ですがより精密でダイナミックな音を鳴らす方法を追求していました。そしてウワモノであるギターのシノダ氏が太く頑丈なギターを鳴らせるようになっているのは、バンドにとって非常に大きい。そうそう、こうガーン！と来て欲しいんだって！と思うところをひたすらドーン！とガンガンきてくれて爽快だった（ライターだというのにこの擬音の多さよ）。切れ味鋭いバッキングを鳴らすwowakaさんのギターとシノダさんのギターの2本がぶつかり合いながら生まれるスリリングな空気感にもぞくぞく。wowakaさんのヴォーカルもどっしり構えたゆえの躍動感があって、『モノクロノ・エントランス』という作品と同様、バンドがここできちんと整ったというか、地に足がついた気がします。ヒトリエはここからきっと、人の心をぐちゃぐちゃにするくらいの、とんでもない音を鳴らすバンドになっていくのではないでしょうか。

そして去年の10月ぶりに観たLyu:Lyuのライヴ（※Lyu:Lyu presents INCIDENT619 vol.6）も素晴らしかったです。去年から変化を見せていたヴォーカル・ギターのコヤマヒデカズさんのモードが完全に前進していて、歌も間違いなくお客さんに向けた絶唱でした。コヤマさんの立ち振る舞いも堂々としていて、ギターを弾く挙動も美しかった。それは音にも繋がっていて、もともと心臓に切り込むナイフのようなひりひりしたギターを鳴らす人だったけれど、この日には歓喜の鮮やかさがあった。人を護るために抜かれた剣みたいな優しさゆえの激しさもあったと思います。新曲も芯と新しさがある楽曲で、ネクスト・ステージを邁進しているフロントマンを目の当たりにしてにやにやが止まりませんでした。
いいライヴを観ると"自分ももっと頑張ろう！"と奮い立たされますね。今月もみなさんにも私にも、ミュージック・ライフにおいていろんな刺激があることを願って！

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