ライター沖さやこの『アブストラクトマイライフ』

WRITERS' COLUMN

2015年06月号掲載

ライターの沖です。7月1日にリリースされるヒトリエの新作『モノクロノ・エントランス』がとてもいいです。とてもいいです。2回言いました。とてもいいです。言い足りなくて結局3回言いました。5月上旬、ベースのイガラシさんとばったりお会いしたとき、とても喜びに満ちたすっきりとした表情で"早く聴いてもらいたい"とおっしゃっていて、こりゃいい作品なんだろうなと思ってたらその期待を存分に上回ってくれました。少しリリースが先なので、詳細はまだちょっとお口チャックしておきますが、間違いなくバンドが進化しているとだけ言っておきます。とてもいいです。トータル4回言いました。

今月号もSkream!さんでたくさんインタビューさせていただきました。ありがとうございます。今回私がインタビュー原稿を担当しているa flood of circleも、（メール・インタビューですが）indigo la Endも、HaKUも、Hello!!!も、LOCAL CONNECTも"新体制第1弾作品""移籍第1弾作品""改名後初作品"であったりと、新たなスタートを迎えるバンドばかりでした。ねごともフル・アルバム『VISION』リリース後にツアーと並行して個々の活動やONE OK ROCKのアリーナ・ツアーにゲスト参加するなど、新しいことにトライしていたので、今月は"初"や"新"の要素をたくさん感じることが多かった。何よりみなさん、これからの自分たちにわくわくしていたことが印象深かったです。それが言葉よりも、その場の空気や表情にも出ていたんですよね。もちろん音楽にも。本当、気持ちは全部音や表情になるんだなあと思います。頭をフルに使って作られる音楽もあって然るべきだと思いますが、私は溢れだして仕方がない気持ちを思考で整理するような音楽に魅力を感じる。だからロック・バンドが好きなんだろうなと思います。

バンドそれぞれにそれぞれの形があって、バンドそれぞれにそれぞれのドラマがある。インタビューをさせていただくたびに、そんな当たり前のことを痛感します。でもそんな当たり前が続くことが奇跡ですよね。どこに属することもなく大抵ひとりで移動して、ひとりで悩んでひとりで考えて、ひとりで原稿を書いている私は、バンドという存在が成立していることがとても信じがたくて、尊くて、そして永遠の憧れでもあります。なので、インタビューではそんなかけがえのない世界でひとつだけのノンフィクション・ドラマをちゃんと届けられるよう、精進したいと思います。

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