ライター沖さやこの『アブストラクトマイライフ』

WRITERS' COLUMN

2018年11月号掲載

10月の3連休、新潟県は長岡市で開催された"長岡米百俵フェス～花火と食と音楽と～2018（通称：米フェス）"に行ってきました。このフェスは今年立ち上がったフェスで、総合プロデューサーは株式会社キューブ代表の北牧裕幸さん。スペシャル・ナビゲーターとしていきものがかりの山下穂尊（Gt/Harmonica）さん、キュレーターとして本間昭光さんと島田昌典さんが参加なさっていました。

"米フェス"はファミリーでも楽しめるフェスということで、出演アーティストも渡辺美里さんや藤木直人さん、元PRINCESS PRINCESSの岸谷香さん、BEGINといった大御所さんから、NGT48や東京パフォーマンスドールのようなアイドル・グループ、地元長岡を中心に活動するアーティスト、GLIM SPANKYやShiggy Jr.、ねごと、Creepy Nuts、BIGMAMAのようなロック・フェスの常連でありながらポップ・センスを持つ若手バンドなど、老若男女が楽しめる幅広いラインナップ。凧揚げができるスペースや、動物とのふれあいコーナーなど音楽以外のスペースも充実していて、のんびりピクニックのように楽しむ人たちが多かったです。

普段ロック・バンドの取材が多いので、J-POPの世界で活躍するアーティストのステージを観るのはとても新鮮でした。NHK「おかあさんといっしょ」で、うたのおにいさんを務めていた横山だいすけさんのステージには本当の意味でのキッズたちがたくさん集まり、子供たちの合唱やダンス、クラップが巻き起こる。音楽の楽しみ方はロック・バンドのフェスと変わりがないんだなと思うと同時に、J-POPシーンとロック・シーンのエンターテイメント性はやはり趣が異なるという印象を受けました。

ロック・バンドのエンタメ性は観客とともに空間を作っていく参加型の要素が強い。J-POPアーティストのライヴはテレビを観るように楽しむこともできるスマートな話術や安定した歌唱力と演奏力があるので、参加型でもあり視聴型でもあるのだなと思いました。お客さんが盛り上がれる許容も持ちながらも、ステージで完結できるパフォーマンスゆえ、いい意味でお客さんの盛り上がりに左右されないエンタメ感ができあがっているなと思いました。

というわけで非常に刺激を受けた2日間でした。いとうせいこう is the poetの前衛的なダブ・ミュージックも素晴らしかったし（Creepy Nutsとのコラボがめっちゃクールでした）、野外で聴くねごとの「アシンメトリ」は最高のスケール感でした。音楽も食べ物も、空気が美味しい大自然の中で味わうのは本当に気持ちがいいですね。