ライター沖さやこの『アブストラクトマイライフ』

WRITERS' COLUMN

2020年01月号掲載

新年あけましておめでとうございます。とうとう2020年。私は今年の5月でライター歴10年で、これまでのライター人生は2010年代とともにある、と言い換えることができます。たった10年で常識も様変わりしてきたなぁと思います。10年前の今頃はiPhoneすらまだちょっと珍しくて、定額配信サービスなんてなんのこっちゃ状態でした。

バンド・シーンにおいて言うと、2010年はIvy to Fraudulent Game、indigo la End、THE ORAL CIGARETTES、SHISHAMO、Czecho No Republic、tricotなどが結成した年。西野カナさんの「会いたくて会いたくて」、植村花菜さんの「トイレの神様」、AKB48の「ヘビーローテーション」などがヒットした年でもあり、毛皮のマリーズ、OKAMOTO'S、黒猫チェルシーといった60～70年代のロックンロールの影響下のバンドがメジャー・デビューをした年で、それが日本のロックの主流になっていきました。andymoriや神聖かまってちゃんも頭角を現した時期で、バンド・シーンに新しいムーブメントが起きていきます。

2012年あたりから風向きが変わり、その後散々語り尽くされた"四つ打ちブーム"が訪れます。"聴いたことがない、新しい"という感覚と、フェスとの相性の良さ、着火性の高さから大流行。四つ打ちビートで学生時代を思い出す、なんて方々も多いのではないでしょうか。

その空気が変わり始めたのが2015～16年。My Hair is Badのようにメロコアやパンクを基盤にしたギター・ロックや、Suchmosのようにブラック・ミュージックをロックと融合させたバンドが注目を集めます。そこに"エモい"という言葉の流行が加わり、2017年頃にはSaucy DogやSIX LOUNGEなどが注目を集めるようになり、yonigeがメジャー・デビューするなど、歌を大事にしたバンドが再注目されるようになりました。

2019年はOfficial髭男dismとKing GnuがJ-POPシーンにて大ブレイク。SEKAI NO OWARIやゲスの極み乙女。と同じく、ロック・シーンとJ-POPシーンを繋ぐバンドへと急成長しました。たった10年でざっくり振り返ったとしてもこれだけ様変わりしている。荒波のような10年だったと言っていいかもしれません。

そしてとうとう幕を開けた2020年代。どんな時代であっても、いい音楽は生まれてくるものです。私も曲がりなりにも音楽媒体で書いている人間ですので、時代を把握しつつも流されずに、いい音楽をちゃんとキャッチして発信していけたらなと思います。今年もよろしくお願いいたします！