ライター沖さやこの『アブストラクトマイライフ』

WRITERS' COLUMN

2020年07月号掲載

お客さんをキャパMAXに入れてのライヴが難しいこともあり、2月末から配信ライヴが増えていますが、なかでも有料配信ライヴが主流となりつつあります。

過去の有料配信ライヴの主流と言えばニコニコ生放送でしょうか。途中まではニコニコ動画に登録していれば誰でも観られるけれど、途中から有料のプレミアム会員のみの配信に切り替わり、アーカイヴ（タイムシフト）もプレミアム会員のみが観られるという仕組みでした（※2018年9月まで）。ですが最近の主流は最初から有料配信のみで、チケット代もワンコインから数千円までと相場もピンキリ。最初から"お金を支払った人しか観られない"という仕組みです。

配信ライヴはカメラの台数も多く音もクリア、スイッチングもナイス・タイミング、客席までフルに活用したハイクオリティ配信もあれば、それとは真逆のものも多く存在するという現状があります。わたしは1カメや、わざと手ブレを起こして臨場感を伝える撮り方の映像を観ていると酔ってしまうので、どんな映像なのかの情報がないままに有料配信ライヴのチケットを購入するのは非常にハードルが高いです。

盛んに有料配信ライヴのチケットを購入する知人にその話をすると、その人は"クオリティは期待してない。アーティストやライヴハウスの援助になるならそれでいい"と言いました。すべての人がそうとは限らないとはいえ、その人と同じような目的で配信ライヴのチケットを購入している人は少なくないのでしょう。おそらく現段階で、有料配信は"あ、暇だしちょっと観てみるか"という層の方々ではなく、熱心な方々がチケットを購入するパターンが多いと推測します。

コロナ禍は様々なものの弱点や改善するべき点を浮かび上がらせました。私自身やライターという仕事にもそれを痛烈に感じており、今後どう生きていくべきかを考えることも多かったです。ならば間違いなく今は、アップデートするのにお誂え向きのタイミングなのだと思います。

有料配信ライヴは受け取り手である観客側にもまだ馴染みがないので、事前に"カメラ○台を使用し、音質にこだわります"、"経験豊富な配信チームでお届けします"など配信環境をお知らせしたり、配信チームのクレジットを掲載したり、どんなセットリストになるのか、どれくらいの時間配信するのかなど、もう少し中身が見えるとチケットも購入しやすい気がします。

回線や端末があればどんな人もアクセスできるのがインターネットのいいところ。有料配信ライヴの明るい未来を願っています。