ライター沖さやこの『アブストラクトマイライフ』

WRITERS' COLUMN

2016年10月号掲載

2016年9月22日、空想委員会の日比谷野外大音楽堂ワンマンに行ってきました！この日は朝起きたときに大雨でいろいろ覚悟を決めていたのですが（※野音は傘禁止）、徐々に雨も弱くなり、開演前には霧雨程度に落ち着いていました。持ってきたレジャーシートやレインコート、大きなビニール袋は大活躍。備えあれば患いなし。
やっぱり野音は音の響きがいいですね。野外の気持ち良さ！それは霧雨の中でも同様でした。2曲演奏した時点で委員長ことヴォーカル・ギターの三浦隆一さんは"この景色に泣きそう"と語るところからも、ロック・バンドにとっては野音はどこか特別な場所なのでしょう。我々リスナーも野音に行くときは独特の高揚感がありますよね。演奏も序盤から気合いばっちりで、この日を心待ちに、丹念に腕を磨いてきたことが感じられました。時折照明に照らされる霧雨がきれいで、なかなかロマンチック。

「レインブーツダンサー」は洗練された日比谷の街とよく合っていて、大人のムード。「単独飛行少年史」はギターの佐々木直也さんの空高く羽ばたくような音色が清々しかったです。空想委員会はアッパーな曲よりもミディアム・テンポの曲の方がエモーショナルだと私は思っているのですが、この日も「不在証明」がその役目を堂々と果たしてくれました。三浦さんの熱の入ったヴォーカルをメンバーがぐっと支える、その音像も美しい。
新旧織り交ぜたセットリスト。初期曲「エンペラータイム」がソリッドに疾走すると、12月にリリースされるEP『色恋沙汰の音沙汰』から新曲を披露。これがかなりアゲアゲでダンス×サイバー×ロックな曲！歌詞までちゃんと聴き取る余裕がなかったんですけど、もしかして委員長、恋がうまくいってるのかな......！？お客さんも初めて聴いたとは思えないほど大盛り上がり。委員長のグラサン姿もばっちり決まってました。

気づいたら本編が終わる間際には辺りは真っ暗で、アンコールもとい居残りでは雨もすっかり上がりました。"今回はみんなが会いに来てくれたから、次（※今度の秋ツアー"大歌の改新"）は僕らが会いに行く"というMCに、なんだか遠距離恋愛の恋人同士みたいで素敵だな～と思いました。"みんなが自慢できるようなバンドになる"と語った委員長の言葉も胸を打ちます。野音の〆はこの3人で初めて録音したという「マフラー少女」。大切に演奏されていることはもちろん、次の始まりに駆け出していくバンドの姿も見え、とても晴れやかな気持ちでした。いいライヴだったな。この日の模様はニューEPの付属DVDに一部収録されるらしいので、ぜひチェックしてみてくださいね。

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