ライター沖さやこの『アブストラクトマイライフ』

WRITERS' COLUMN

2019年07月号掲載

とうとう7月で、迫りくる夏にうきうきしている方々も多いのでしょうか。中学生のみなさんがお祭りで女の子の浴衣にドキッとしたり、好きな人にできるだけかわいい自分を見てもらおうとしたりする心理は、時代が変われども変わらないでほしいな～と思う今日この頃。今月号もSkream!さんでいろいろと記事を書かせていただきました。

6月の名物と言えば下北沢LIVEHOLICさんの周年イベント。約1ヶ月にわたり開催され、すべてにライヴ・レポートが入るという、クロスメディアさんだからできる気合の入りっぷり。毎年かなりの盛り上がりです。私は6月11日のVol.3と、18日のVol.10のレポートを担当しております。2日ともまったく違う体験ができて、同じライヴハウスであっても出演する人が違うだけでハコの印象もガラッと変わるから不思議だよなぁと思うと同時に、ライヴハウスさん主導のイベントの面白さをしみじみ感じました。

Vol.3にはジャパニーズ・オルタナティヴ／インディー・ロック・バンドが集結。新進気鋭の若手バンドだけでなく、キャリアのあるDr.DOWNERがブッキングされているところも、シーンの歴史を感じさせる趣がありました。Vol.10は10数年のキャリアを持つ3ピースによる3マン。同じ時代に頭角を現した同世代バンドで、似た歴史を辿りながらも、まったく違う個性や音楽性を持っていることが明確に提示されていました。

クリエイティヴの世界にいると流行や時代の潮流の話になることが多く、その中でちょこちょこと"若者が好きになるものが正義だ"や"経験のある大人こそ優れている"といった世代の話が出てくることがあります。若者でもなければ中年でもない宙ぶらりんの30代の私としては、若いときにしか炸裂しない才能や、感じられないもの、見えないものもあるし、年齢を重ねたからこそ熟したものもあることを実感しています。賞レースで審査員をするならまだしも、普段の生活の中でその比較をする理由を私は見いだせていません。

となると、ライヴハウスという場は等しく、バンド／アーティストさんを丸裸にする、バンド／アーティストさんの持ち味をじっくり体感できる空間なのではないでしょうか。LIVEHOLICさんのVol.3のイベントではキャリアの差も関係なく全バンドが全力を出していて、Vol.10のイベントでは3バンドがお互いを尊重し合いながらも、ポリシーを貫いたアクトを見せていました。それぞれの熱演がひとつの夜を作るって素敵だな～としみじみ。いろんなライターさんがそれぞれのタッチでレポートを書いてらっしゃるので、ぜひお読みになってくださいね。