ライター沖さやこの『アブストラクトマイライフ』

WRITERS' COLUMN

2014年08月号掲載

BURGER NUDSとsyrup16gの復活、BUMP OF CHICKENが7月に地上波で初のライヴ出演をし、東京ドーム公演を開催......と、近年は10年前の日本のロック・シーンを築いたバンドの賑わいが目立ちます。去年はART-SCHOOLがライヴで2003年の名盤『LOVE/HATE』の完全再現をしていたので、わたしもここ1年ほど当時の、一般リスナーだった19～20歳の頃の心境に戻ってしまうことがしばしば。それは回顧ではなく、当時の鮮やかな感動が現在に蘇る感覚です。そんな気持ちを与えてくれるバンドのひとつがLUNKHEADです。

今年メジャー・デビュー10周年を迎えたLUNKHEADのモニュメントとなるのが、8月13日にシングル・リリースされた「スターマイン」。彼らが結成当初からの歴史すべてを背負って2014年という現在を生きていることを証明する楽曲です。もちろん彼らはずっとそうやって、芯をぶらさず活動してきました。でもやはり"10年"という数字が与える節目の威力は大きいのではないでしょうか。この曲には歴史だけでなく、未来に食らいつく気概があるのです。和のわびさびを感じさせる繊細なメロディと、夏祭りの場景にこれまでのLUNKHEADの楽曲の風景を匂わせる歌詞世界。そんな切なさを漂わせる歌を彩るのは、ハード・ロックばりに大仰で情熱的な切れ味鋭いギター、もはや低音ではなくリードじゃない？と思うほどの旋律を奏でるベース、煌びやかなシンバルと手数の多さがお祭りや花火への高揚をトレースしたようなドラム。LUNKHEADは新作を出すたびにサウンドを瑞々しくさせていくのですが、今回もまさしくそうでした。どんどん若返っていくんですけど！？どんどん4人のプレイやヴォーカルが超絶になっていくんですけど！？......と、攻めの姿勢を崩さない彼らに改めて敬服です。そしてなによりこの4人は、これから出会うであろう人々にも届くように、全身をふりしぼって音を鳴らし、叫んでいます。自分たちの音楽を強く信じ、愛をもって丁寧に育み、上へ向かって勇敢に突き進む。だからこそ彼らの音楽は血が通い、涙と汗が滲む、鋭く激しくもやわらかく優しいものになるのではないでしょうか。それゆえに聴き手の心をこじ開けるし、こちらもその想いに応えたくなるのです。それはとても青く、清く美しいことだと思います。

そんなLUNKHEADは、来年1月18日に新木場STUDIO COASTで開催される"10th ANNIVERSARY「一世一代のみかん祭」"に向けて精力的なライヴ活動を展開中！どうやらCOASTのライヴはかつてないワンマン、50曲披露する予定とのことです。ほんとこのバンドって、超絶で過剰！だからわたしは10年間、彼らの音楽と活動にパワーをもらい続けているのです。

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