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INTERVIEW

Japanese

ゲスの極み乙女。

2016年01月号掲載

ゲスの極み乙女。

ゲスの極み乙女。

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メンバー:川谷 絵音(Vo/Gt) ちゃんMARI(Key) 休日課長(Ba) ほな・いこか(Dr)

インタビュアー:沖 さやこ

2014年にリリースした1stフル・アルバム『魅力がすごいよ』は、バンドの音楽的強度に焦点が当たった作品だった。そしてそのアルバム・リリース直後、同作で生まれた課題をきっかけに彼らは新しいモードへとステップアップする。2015年の快進撃は、しっかりと固められた歌詞、メロディ、アンサンブルありきのものであり、この『両成敗』というアルバムはその結晶でもある。"両成敗"という言葉とは裏腹に、他アーティストを打ち負かすような音楽性の高さ。それはオーバーグラウンドとアンダーグラウンド、どちらにも通用する音楽を作り出す彼らだからこそ成し得ることではないだろうか。

-2015年はシングル3作をリリースし、幕張メッセ公演やアリーナ・ツアーなどを行い、紅白歌合戦にも出演するという実りの多い年になったと思います。まず私は2015年2月15日に新木場STUDIO COASTで行われた1stフル・アルバム『魅力がすごいよ』のリリース・ツアーのファイナル公演で披露されたTrack.13「パラレルスペック(funky ver.)」と「サリーマリー」(2014年リリースの1stフル・アルバム『魅力がすごいよ』収録)のリアレンジ・バージョンを聴いたときにとっても驚いたんですよね。『魅力がすごいよ』で大躍進を遂げたのにもかかわらず、この短期間でゲスの極み乙女。は『魅力がすごいよ』を超えてしまった、と。

川谷:『魅力がすごいよ』から僕らのやりたいことが変わってきたんです。あのアルバムをリリースしてから"昔の曲はあんまりやりたくないな"と思うようになっていて。だから"またイチから始めよう"と思ってアレンジを変えて、ようやく人前で演奏しても恥ずかしくなくなったんです。「サリーマリー」なんてアルバムの曲なのにアルバムのツアーでリアレンジをするという......普通に考えると意味わかんないですよね(笑)。

-ははは。『魅力がすごいよ』時にインタビューをさせていただいたときにも、絵音さんは「サリーマリー」のアレンジは最後まで悩み続けたとおっしゃっていましたよね。リアレンジによって不完全燃焼だったものを消化できた感覚はありそうです。

ほな・いこか:私自身は特にもともとのアレンジに不服があったわけではないんですけど、リアレンジしてみると絶対にリアレンジしたものの方がかっこいいと思うんですよね。だからそっちをやっていきたいという気持ちがあります。

川谷:『魅力がすごいよ』に後悔があったんですよね。『魅力がすごいよ』は魅力がすごくなかった(笑)。アルバムの出来もイマイチだったし、曲のクオリティも詰めきれてなかったし......なんならセールスも思ったほど良くなかった。僕はもともとオリコン・チャート・マニアなんで、他のバンドが何枚売れてるかもだいたい把握してて。もちろんそればっかり意識していたわけではないんですけど、そういうものを見ていて"このままじゃだめだ。なにかやらないと、なにか作らないと"と思ったんですよね。だからそのときそのときに作りたいものを作って、前の作品よりもいい作品だと思えるものを作っていった......という感じですね。

-10月に行われたアリーナ・ツアーではTrack.12「無垢な季節」(2015年10月リリースの両A面4thシングル表題曲)の導入のTrack.11「無垢」も使われていましたし、お色直し後の衣装が着物風のお洋服でしたし、『両成敗』を聴いて完全にあのライヴは伏線だなと思いました。

川谷:でもあのとき、このアルバムは完全にできていたわけじゃないんですよ。Track.1「両成敗でいいじゃない」は11月に録ったんで。......あ、でもあのツアーのときには"アルバムが完成してる"という状態だったのか。

休日課長:うん、そうだね。「両成敗でいいじゃない」は本当は入る予定じゃなくて、Track.2「続けざまの両成敗」が1曲目になる予定だったんで。

-そうだったんですね。まず"両成敗"というタイトルにした理由は?

川谷:直感ですね。いつもタイトルから決めるんで、自分にとって文字面や言葉にインパクトがあるものを探してて。"両成敗"は普段まったく使わない言葉だけどみんなが知っていて、漢字3文字というインパクトもあるから"これしかないんじゃないかな"と。それが『魅力がすごいよ』を出した直後、2014年の話です。それでみんなに"次のアルバムは『両成敗』にします"と伝えて。

ちゃんMARI:何も曲がない状態だったので、タイトルだけを伝えられたときは実態が掴めない状態だったんですけど(笑)、"両成敗"という言葉自体はすごく斬新だなと思って。

ほな・いこか:"両成敗なんて初めて使ったな"って感じだったし、自分がこんなに"両成敗""両成敗"って言うなんて思わなかったです(笑)。

休日課長:そうだね(笑)。知ってる言葉ではあるけど会話に出てくることはほとんどないし、でも印象に残る言葉だから、やっぱり(川谷は)さすがだなと思いましたね。

川谷:シングルの『私以外私じゃないの』(2015年4月)、『ロマンスがありあまる』(2015年6月)、『オトナチック/無垢な季節』(2015年10月)の制作は"シングル3部作"というイメージで作っていったので、あんまりアルバムのことは考えていなくて。アルバムの制作タイミングに入ったときに"あ、そう言えば『両成敗』ってタイトルだったっけ"と思い出して、"両成敗ってタイトルがついた表題曲があった方がいいよな。じゃあ作ろ"みたいな(笑)。そのくらいのライトな感じです。それで「続けざまの両成敗」という曲を作って、そこから別の曲も作っていったんです。

ちゃんMARI:アルバムの新曲は、8月のレコーディングの直前にできたものがほとんどですね。

-8月にレコーディングをして完成していた『両成敗』。リリースのニュースが解禁になったとき、収録曲は全16曲というアナウンスがありました。ということはこの時点ではまだ「両成敗でいいじゃない」が入る予定ではなかったんですね。

川谷:8月にレコーディングをして、アリーナ・ツアーをして、よし来年アルバムを出すぞと発表して一拍置いたときに"もう1曲あった方がいいかな"と思ったんです。それで11月の中旬、リリースに間に合うギリギリのタイミングでスタジオを取って、もともとはTrack.1「両成敗でいいじゃない」とは全然違う曲を作ってたんです。メンバーにこのアレンジで練習しておくように言い残して、僕はindigo la Endのレコーディングに1週間行ってて......その間にその曲に対する熱が冷めちゃってたんですよね。レコーディングの前日がその曲の確認だったんですけど、スタジオについた途端にその曲を録る気がまったくなくなって。

ほな・いこか:私たちが作ったアレンジを確認する前に(川谷は)録る気をなくしてたんです(笑)。

川谷:でも次の日がレコーディングなのは変わらないので、アルバムの次に出す曲を作ろうという話を僕が勝手に始めて。

一同:......(笑)。

川谷:それで僕がギターを弾いてて、「両成敗でいいじゃない」のハードロックみたいなリフを弾いてたら"あ、これ、両成敗って言葉が合うかも"と思い始めて"両成敗が止まらない~♪"と歌ってみたら"あ、いいじゃん"って思って。そのスタジオは5時間くらいしかなかったんですけど、次の日にレコーディングをして、それがリード曲になりました。

-へぇー......。「両成敗でいいじゃない」は2015年のゲスの極み乙女。が示してきた音楽性が高水準で詰まった曲だと思いましたがそんな背景があったとは。曲作りの発端からレコーディングまで2日間ということですか(笑)。

川谷:さすがにそのときはメンバーみんなひやひやしてましたけど(笑)。

休日課長:本当に明日レコーディングするの!?って(笑)。

ほな・いこか:ね! 実は録らないんじゃないかな......?と思ったり(笑)。

川谷:でも俺に限ってそれは絶対にないけどね(笑)。

ほな・いこか:ないね。絶対にない(笑)。

休日課長:でもこの曲ができて本当に良かったよね。この曲がなかったら全然違うアルバムになってたと思う。