Japanese
空想委員会
2014年06月号掲載
Member:三浦 隆一 (Vo/Gt) 佐々木 直也 (Gt) 岡田 典之 (Ba)
Interviewer:沖 さやこ
-最後という覚悟と、それだけの仲間に出会えたということですね。佐々木さんと岡田さんが三浦さんとお知り合いになったタイミングは?
三浦:2008年とか2009年くらいかな? もともとこの2人は同じバンドを組んでいて、そのバンドと空想委員会が対バンしたことがあったのが最初で。
佐々木:ちょうど三浦くんがひとり空想委員会になっているときに、僕らのバンドのヴォーカリストがレコーディングに来ないという事件があって。それで岡田くんが"いいヴォーカリストがいるよ、この人を入れよう"って連れてきたのが三浦くんで。そこから3人でやり始めたんだよね。最初に三浦くんの曲を聴いたときは、曲自体はいいけどアレンジがそんなにかっこよくないなと思って。ただそのなかでひとつ、めっちゃいいなと思ったのが"声"。ドスが効いているというか......。
岡田:ぽーんと飛んでくるのではなく、ずぼぼぼぼぼーって溝のなかに入っていくような感じ(笑)? この声が魅力的でしたね。あとメロディがポップで聴きやすくてキャッチーで。もともとファンというか、個人的に好きで"いずれこの人とバンドやってやる!"という企みを抱いていたら、タイミングが良く一緒にやれることになって。でもその頃の僕ら(岡田と佐々木)はやる気がなくてねー(笑)。ゆったりゆったりしてて。
三浦:(笑)最初はサポート・メンバーみたいな感じで一緒にやってもらってて、そのときから僕は"どうしたら空想委員会の音楽を知ってもらえるんだろう。どうしたら広まっていくんだろう"という方法論を考えながらやっていたので、時間が掛かってもいいから自分のやりたいことをやろう、のちのちこのふたりもわかってくれるだろう!と思いながら活動していましたね。
-"広めるための方法論"とは?
三浦:まず、ライヴをやるにあたって、音源がないと話にならん!と最初にレコーディングをして自主盤を作ってからライヴを始めました。あと、やっぱりミュージック・ビデオがないと広まっていかないなと思って。でも頼む監督もいないし、お金もないので、僕がひとりでカメラを回して編集して、MVを作って。それは結構大きかったよね。
岡田:そうだね。知ってくれてもネット上で見られないと、ね。曲を聴くこともできないし。
佐々木:あとミュージック・ビデオのところに"AmazonでCD買えますよ"って情報を載せたりね。そしたらだんだんAmazonでのCD売上枚数が1ヶ月ごとに変わっていったんです。だから見てもらえてるなという感覚があって。それでツアーを回ることにしたんですけど、やっぱりライヴハウスに声を掛けても出させてもらえなくて。じゃあしょうがない、ということでネットで"空想委員会のライヴ見たい人!"って募集をかけて、手が挙がったところの貸しスタジオを借りて、そこで無料ライヴをするという(※"第一回空想委員会研修ツアー")。人数も5、6人とかだけど、それでも生の音楽を届けに行ったり。
三浦:ネットで知ってもらって、生で届けに行く。地道な......当たり前のことなんだけどね。それをこつこつやっていった感じで。
佐々木:路上もやりましたね。"よし、音楽でやっていくぞ!"と思ったタイミングでドラムの子が抜けちゃったんですけど、打ち込みのドラムをアンプから流して、それに合わせて3人で演奏するという......すっごいしょぼかった(笑)。でもとにかく活動しないと、という意識があったので、いろいろ動いていましたね。
-会社みたい。なによりプロデュース能力が高くていらっしゃる。
三浦:このあとどう繋げる?みたいにゴールを用意して提示する。そういうことを考えるのが好きなんですよね。
佐々木:音楽が好きだし、とにかく広めたかった。三浦くんはこんなにいい歌を書くんだから、もっとたくさんの人に知ってもらいたい。だからライヴでもチャイムを鳴らしたり、ライヴ前にプロジェクターでMVを流したり、ライヴハウスのブッキング・ライヴで他のバンドを観に来ている人が自分たちの出番までに帰ってしまう現象をなんとかしたいと思って、ライヴ始まる前にお客さんを入り口で張って"今日○番目に出ます空想委員会です"というチラシを全員に配ったり(笑)。ウザいかもしれないですけど、それでもライヴを見てほしいと思って。そしたら徐々に残ってくれる人も増えていって。
-いやあ、今日日そこまでやるバンドマンなかなかいないですよ。
三浦:バンドばっかりやってるとわかんなくなってくるけど、今考えると普通のことだと思うんですけどね。入り口で1回顔を合わせて、ステージで2回目、ステージ終わったあとにフロアに出るので3回目......3回さすがに顔を合わせれば"あ、この人知ってるわ!"ってなる(笑)。だからライヴハウスでお客さんと顔を合わせる機会をたくさん作ろうと。曲を知っているのと知らないのとではライヴの楽しさも違うから、転換中にMVを流してみたり。なんとか認識してもらう工夫はとにかくやっていきましたね。
佐々木:転換中もライヴくらいの気持ちでした。転換中に2曲MV流したら、30分のライヴにプラスして2曲聴いてもらえる。そういう考えをもってましたね。何回も心折れそうになりましたけど、それでも届けていきたかった。
三浦:作ったものを届ける以外に、バンドマンなんてそれ以外やることないもんね。
佐々木:うん。自己満で終わるなら、ライヴなんてやらなくてもいいから。届けたいから作ってるし、インディーズの頃はそれをどうやって届けるかを考えながら活動してたね。
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