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ドラマストアの「"コレ"推し!」【第4回】

2020年09月号掲載

ドラマストアの「"コレ"推し!」【第4回】

暑い。暑い。暑すぎる。「まさに猛暑」というこの夏ですが皆さま、いかがお過ごしでしょうか。『ドラマストアの"コレ"推し!』第4回目は僕、Gt.Key.鳥山昂が担当します。暑さに加え、新型コロナウイルスも猛威をふるうこの夏は、自宅で過ごすに限りますよね!......というわけで僕からはそんな今年のおうち時間を満たしてくれた大長編時代小説を"推し"たいと思います。こちら。

↑『竜馬がゆく』

司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』でございます。単行本だと全5巻、文庫本だと全8巻に渡って、幕末志士・坂本竜馬の人生を綴った、言わずと知れた超名作歴史小説です。時間を持て余してしまいがちな今年の夏にはぴったりの作品ではないでしょうか。大河ドラマや漫画などでも並々ならぬ存在として描かれる坂本竜馬という人物ですが、少しでも彼の人生について興味を持っているならこの小説は必ず読むべきです!逆に坂本竜馬を扱うにあたってはこの小説に影響を受けていることが多いのではないでしょうか。現代でイメージしがちな「大雑把で豪快ながらも、物事の核心を突く田舎者の志士」という坂本竜馬の人物像はこの作品で世の中に定着したという説もあるんですよ~!

↑坂本竜馬(鳥山作)

読み進めていくと、司馬遼太郎さんの取材力の確かさや主張の明瞭さに気付かれるかと思います。例えば物語中、作者自身の経験談や執筆当時の逸話、考えなどが突然挟まれるのですが、まったく違和感がなく読みやすい。読者は作者の見せていく物語に、安心して身を任せられるように感じました!混沌とした時代に現れた一人の青年が、何を見て、何を感じ、どんな夢をみて行動したのか。彼が他の志士たちと違い、合理的で現実主義であったこと。これは生活様式やビジネスの変化が求められているこの現代にも重要な観念であるように思います。物語は"竜馬暗殺"という、誰もが知る歴史へ向かっていく訳ですが、終始、点と点を繋ぐ線に興奮させられ、虚しさを覚えさせられました。読み終わったあとに自分が立っているこの現在を、新しい眼で見つめることができました。僕の主張は残念ながら明瞭ではないので、ここまでだらだらと書いてきましたが、最後に、この小説はあくまで、歴史書ではなく娯楽小説であるということを書いておきます。史実に基づいたフィクションなので、是非とも苦手意識を取っ払って読んでいただきたい!読み終わったあとにはこの幕末の英雄に惚れてしまい、特徴的な土佐弁が愛おしくなっていることでしょう!

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"君を主人公にする音楽"をコンセプトとした関西発、正統派ポップ・バンド。2017年4月リリースの2ndミニ・アルバム『白紙台本』収録「至上の空論」のMVは245万回以上再生され、開催するライヴはチケット即日ソールド・アウトとなっている。2020年4月には4thミニ・アルバム『Invitations』をリリース。同作を引っ提げたバンド初のワンマン・ツアー"可愛い子にはワンマンさせよツアー"の開催を予定している。