Japanese
ドラマストア
Skream! マガジン 2021年11月号掲載
2021.09.20 @EX THEATER ROPPONGI
Writer 蜂須賀 ちなみ Photo by 小杉歩
アコースティック3本+バンド・セット11本の全国ワンマン・ツアー、ファイナルにあたる六本木公演。今回のツアーからSEが変わり、明るい音楽と虹色の照明をバックに、手拍子しながらメンバーが登場した。今年3月にリリースしたシングルを引っさげてのツアーということで、同シングル(通常盤)に再録版が収録された初期曲「アポロ -2020-」で幕開け。特に東京公演においては、ツアーのたびに過去最大規模の会場に臨んでいるドラマストア。3階建てのこの会場、見え方的にはホールに近いからなのか、メンバーはいつもより緊張している様子だった。そんななかでも、フロアを見渡し、観客ひとりひとりを確かめながら音楽を届けているのはいつもと変わらず。メンバーがお立ち台に乗り、サウンド的にも絵面的にも動きが出てくる「三文芝居」で緊張感を弾けさせると、フロアからは手拍子も起こり、松本和也(Dr/Cho)が観客に"いいねー!"と伝える。松本の刻むビートが曲間を繋ぐなか、長谷川 海(Vo/Gt)が挨拶。"大阪ドラマストアです、よろしく!"というおなじみのフレーズとともに「ガールズルール」の軽やかな前奏が始まっていく。
ライヴに来る選択をした人も来ない選択をした人も正しいと伝えたMCのあとの「イミテーション・ミュージックショー」以降は11曲を一気に演奏。この日は基本、MC少なめで曲をどんどん演奏していくスタイルだった。ジェットコースター的な展開は観ている側からすると楽しいが、演る側からすると当然ハードなわけで、例えば「三文芝居」~「希望前線」間はヴォーカルが息継ぎするタイミングが明らかにない。ドラマストアの場合、セットリストを考えるのは主に松本の役目らしいが、メンバーにすら容赦のないライヴ構成、そして"全公演セットリストを変える"という試みから読み取れるのは、自分たちにハードルを課すことでバンドとしてステップアップしていきたいという意思。また、新曲2曲+このツアーで初披露の「花風」について、新曲だと紹介せずに演奏していたのは、演奏で魅せることを追求したライヴの中で、せっかく生まれた流れを途切れさせないためか。
このツアーを経て各々が鍛えられたのだろう。先述の息継ぎできない場面で長谷川がさらっと歌メロをアレンジしていたり、両翼を担う鳥山 昂(Gt/Key)と髙橋悠真(Ba)がより自由度の高い演奏をするようになっていたりと、高いハードルをひょいと越えてみせるメンバーの姿が目立った。B'zを意識したというギター・フレーズが特徴的な「Dancing Dead」ではスモークが噴射されるコテコテの演出がなされるも、ギター・ヒーロー感が増してきている今の鳥山には意外と似合うかもしれないと思ったほどだ。松本も負けておらず......というよりかは、時には音源にないフレーズを挿入しながらバンドの盛り上がりを牽引しているのが松本で、それが、ガンガン前に出るようになった鳥山&髙橋をさらに焚きつけている側面も大きい。ドラマストアのリーダーとして日頃からバンドを引っ張る松本、演奏面でも腕っぷしを発揮しつつあるようだ。
バンドの進化はどの曲からも感じられるものの、演奏にほど良いゆとりと遊び心があるため、"ストイック"よりも"楽しそう"という印象が勝つ。そのテンションで曲数を重ねつつ、「ラブソングはいらない」でミドルに差し掛かり、「東京無理心中」以降はバラードを続け......と、グラデーションが描かれていった。バラード群で特に心に残ったのが「回顧録を編む」。長谷川がギターを持たずに歌うこの曲、これまではきれいに歌おうとしすぎている印象が否めなかったが(とはいえ、ある程度器用に振舞えてしまうのも、器用っぽく見せるのが得意なのも彼の個性だから難しいところ)、この日のヴォーカルは今までで最も、彼自身の感情の波に肉薄していた。長谷川から溢れるものを他3人もしっかり感じ取っていて、続く「ラストダイアリー」、「グッデイ、グッナイ」で一体となって熱量を上げていく様が素晴らしい。なお、終演後、「回顧録を編む」を歌いながらどんなことを考えていたのか尋ねたところ、長谷川は、ツアー中に祖母が亡くなったこと、葬儀で「回顧録を編む」がかけられたため、今でも込み上げてくるものがあることを明かしてくれた。5ヶ月に及んだツアー、様々な出来事を乗り越えながらこのステージに辿り着いたのだろう。
「Guillaume Tell」のあのフレーズを鳥山がギターで弾きまくる「冒険譚」から、間髪入れずに「世界はまだ僕を知らない」、そしてまたもや間髪入れずに「可愛い子にはトゲがある?」へと繋げ、ラスト・スパートをかける。初期曲「アンサイクル」を終えたあと、本編ラストのMC。ここでは長谷川が、居場所を作ってくれるみなさん(リスナー)の存在や、これまで自分が書いた曲に助けられてきたと、ツアーを振り返りながら語った。そうして演奏されたのが、ツアー・タイトルの由来にもなっている「knock you , knock me」。落ちサビに入ると、長谷川がマイクを引っ張りながらステージ前方まで来て、"みんなが歌えるようになるまで!"と告げてから歌う。この日のMCでは"リベンジしたい"という想いが何度か語られたが、いつかはシンガロングやコール&レスポンスもできる状況で、そうして全身で音楽を分かち合える状況でライヴがしたいという願いが彼らの中にあるのだろう。叶う日はそう遠くないと信じながら、来たる未来に橋を架けるように、今はステージから大きな声で歌う。
アンコールでは髙橋が物販を紹介するのが恒例となっているが、この日は"ちょっと話してもいいですか"と切り出し、会場全体が"おっ......?"という空気に。髙橋は、SNSでドラマストアに関するコメントを見るたびに嬉しかったこと、落ち込む日があってもその言葉ひとつひとつで回復できたこと、そしてファンへの感謝を自身の言葉で改めて語ったのだった。彼の実直な人柄が表れたいい場面だったが、想定外の出来事にメンバーも驚いているようだったし、リハを覆す行動を天然でとれてしまうところに、そこはかとなくダークホースっぽさを感じる。そんな髙橋に対し、"伴奏弾いたらおもろいかな"と鍵盤を奏で始めるのが鳥山、"というふうに、悠真の卒業発表やったけど......"と冗談めかすのが長谷川、せっかくのいい話のあとに"そしたら今日(グッズ)売れるな~"と商人魂丸出しのコメントをするのが松本だ。
そのあと、ダブル・アンコール含め4曲を演奏してライヴは終了した。この日発表された通り、10月13日には、13曲目に披露された「花風」が配信リリースされる。先ほどはさらっと流してしまったが、この「花風」、和情緒感じるメロディが美しいだけでなく、楽曲構成やアレンジも秀逸で、バンドの新しい一面が感じられる曲だった。リリース日を楽しみにしつつ、その先でまた新しい喜びに出会えることにも期待したい。
"pop you , pop me Tour Final"セットリスト・プレイリストはこちら
[Setlist]
1. アポロ -2020-
2. 至上の空論
3. 三文芝居
4. 希望前線
5. ガールズルール
6. イミテーション・ミュージックショー
7. Dancing Dead
8. チョコレートボックス
9. 新曲
10. Work&Work
11. ラブソングはいらない
12. 東京無理心中
13. 花風14. 回顧録を編む
15. ラストダイアリー
16. グッデイ、グッナイ
17. 冒険譚
18. 世界はまだ僕を知らない
19. 可愛い子にはトゲがある?
20. アンサイクル
21. knock you , knock me
En1. 新曲
En2. あさきゆめみし
En3. 三月のマーチ
Double En. Messenger
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