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INTERVIEW

Japanese

ドラマストア

2019年09月号掲載

ドラマストア

Member:長谷川 海(Vo/Gt) 松本 和也(Dr/Cho) 鳥山 昂(Gt/Key) 髙橋 悠真(Ba)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

4月に初のフル・アルバム『DRAMA STORE』をリリースしたドラマストアが、ツアー終了からわずか2ヶ月でニュー・シングル『ラブソングはいらない』をリリースする。この4人で音楽を鳴らす意味、過去をも背負いながらバンドは進むのだという意志を詰め込んだ『DRAMA STORE』に対し、今回はあえて"長谷川 海のバック・バンド"という意識で臨んだとのことで、かなりシンプルなサウンドになっている。つまりアルバムとはまた違う方向性のシングルなのだが、どうしてそのような勝負に出ることにしたのだろうか。メンバー4人に話を訊いた。


ドラマストアという組織にとってお互いが必需品やってことにそれぞれが気づいてるというか、根強くそう思ってる


-今回のツアー("ドラマストア 1st Full Album「DRAMA STORE」リリースツアー「ドラマチック・ミュージックショー」")、私はファイナルの渋谷WWWしか行けませんでしたが、1ヶ所ずつしっかりステップアップしながらここまで来たんだということが、よく伝わってくるようないいライヴでした。

鳥山:ありがとうございます。今回初めてセットリストを固定してツアーを回ったんですよ。それによって、ライヴ1本の流れがどんどん身体に染みついていったし、ちゃんと階段をのぼるようにライヴの精度を上げていけたのかなと思ってます。

長谷川:あと、機材が増えたんですよ。ちゃんと投資をして、装備を整えて――っていうのは、ミュージシャンとして当たり前の話やし、もっと早くやっとけっていう話やと思いますけど、やっぱり全然違いましたね。毎箇所ちゃんと自分の音が出るっていう安心感がありましたし、音の均一化ができたことによってライヴの反省がすごくしやすくなったから、みんなで"ここが良かった"、"ここが悪かった"っていう共通認識を持ちやすくなって。

松本:雑な言い方をすると"お金をかけたらいい音が鳴る"みたいな、そういうパッと解決できることはさっさとやってしまおうぜっていう。

長谷川:そういう意味では、ツアーが始まる前からソールド(する公演)が出てたっていうのがデカかったかもな。とはいえ舞い上がるでもなく......いや、もちろん喜ぶ気持ちはあるんやけど、もうここまで来たら観客が100人でも300人でも1,000人でも2,000人でも、地に足つけてやることをやるっていうライヴを意識していかなアカン、と。......去年の9月、僕が退院してすぐに出演したカンラバ("KANSAI LOVERS 2018")が、今までで一番会場が広かったと思うんですけど、その一方で僕ら、自分たちの音楽を聴けてなかったと思うんですよ(苦笑)。"うわぁ! すげー!"って舞い上がっちゃって。それもあったから、ツアーが始まる直前に和也君が言いよったんですよ。"もうはしゃぐのはええやろ? 気持ちはわかるけどな"って。

-松本さんのそのひと言はすごく的を射てるけど、ある意味辛辣じゃないですか。同じバンドのメンバーにそう言われてカチンときたりしないんですか?

長谷川:いや、全然(笑)。これは彼のいいところなんですけど、和也君は絶対に上から目線で言ってこないんですよね。"~していこうな"って言ったあとに"まぁ俺もちゃんとせなあかんけどな!"ってつけ足すし。それにこの人(松本)は遠くを見ながら話をすることが得意で、俺らが周回遅れなだけなんだなっていうふうに考えられるようになってきたんですよ。だからそういうふうに目線を合わせて、俺らが追いつけるようにゆっくり説明してもらったら、"あ~、なるほど"ってなるし、逆に"やっぱりここはよくわからへんのやけど"っていう話もできるようになるし。だから、別に"なんでこいつそんなに偉そうなん?"とはならないです。

髙橋:うん。そうですね。

松本:まぁトリ(鳥山)は、どう思ってるかわからんけどな(笑)。

鳥山:......まぁ付き合いが浅かった時は全然ムカついてました(笑)。でも今はもうそういうのもないです。

-逆に松本さんはメンバーに対して不満とかないんですか? "なんで俺ばっかりこんなに考えなきゃいけないの?"みたいな。

松本:別になんも思わないですね。それに立場上、僕がそういうことを言って偉そうにしたら終わりだと思ってるんですよ。バンドのことをいろいろやってる=偉そうにしてもいいっていうことではないので。それに、僕が考えたことをバンドでやっていって、仮にそれが間違っていてバンドにとってマイナスにはたらくことがあったとしても、メンバーはブーイングしてこないと思うので、信頼関係ができてきてるっていうことなんでしょうね。

長谷川:それは実際ライヴにも出てると思いますね。必死こいて『swallowtail』(2018年リリースの3rdミニ・アルバム)を作ってたころよりも、ライヴ中にお互いの音を聴けるようになってますし、結構冷静に自分の音を聴いてますし。

鳥山&髙橋:(※頷く)

-ここまでのお話を聞いた感じだと、リーダーシップを取っている松本さんの伝え方も、それを受け取る長谷川さん、鳥山さん、髙橋さんの心の持ちようも変わってきたのかなと。

長谷川:あ~、そうですね。さっき和也君は"俺が頭ごなしに言ったら終わりや"って言いましたけど、逆に俺たちも"じゃあもうやーめた"ってなってしまったら、回らへんくなるっていうことはわかってて。だから、そういう言葉を選ばずに"物事の本質を相手に伝えるにはどうしたらいいのかな?"って考えるのが正しいんでしょうし、今はそういうことを考えながらドラマストアっていうものに向かえてますね。たぶんその根底にあるのは、ドラマストアという組織にとって、お互いが必需品やってことにそれぞれが気づいてるというか、根強くそう思ってるっていうことで。やから......大人になったんじゃないですかね?

松本:ははははは(笑)! せやな!

-うん、本当にそう思いますよ。ドラマストアはバンドですけど、いい意味で"仕事"っぽさのある関係ですよね。大人になったっていうのは、つまり、お互いのアウトプットに対して、ちゃんと敬意を持てるようになったっていうことでもあるだろうし。

鳥山:たしかに他のバンドよりも仕事感は強いと思います。もちろん楽しいんですけど、ちゃんと仕事ですよね。

松本:例えばメジャーに行って、立ちたかったステージにも立てるようになって、お金に困ることもまったくなくなって、音楽で楽しく生きていけるようになって――っていう状況になったとき、だからと言って自分で何もできない人間になってしまったらバンドは終わるし、バンドが終わると同時に人生が終わってしまうなぁと思ってて。やっぱり土台のしっかりしてるバンドでありたいし、そういう意識はライヴにも出るし、曲作りにも出るし、すべてに繋がってくると考えてるんですよ。なので、今のうちから精神面も含めてちゃんとしようっていう。

長谷川:俺のオトンとオカンとメンバーの計6人でよく一緒にご飯に行くんですけど、俺のオトンは和也君推しなんですよ。だからよく和也君が席を外したところで、トリや悠真に"和也はなぁ、お前らの生活背負ってちゃんと考えてるんやからな。まぁ悠真もトリも、ちょっと気に食わんことがあっても和也の言うことは聞いときや"って言ってて(笑)。

鳥山:だから僕らは"......はい"って返事してるんですけど。

-(笑)でも、今バンドの風通しがいいというか、いい温度感で活動できてるんじゃないんですかね。

長谷川:そうですね。僕は曲を書きますし、「三文芝居」(『swallowtail』収録曲)からトリ(鳥山)も曲を書いてますし、和也君はバンドのプランニングやし、悠真はグッズ担当やし、各々バンドを通じて自分が成長したと感じられる部分があるから、それが糧になってるんやと思います。やから、みんないい意味でしっかり大人になったなぁって思いますし、楽曲制作のときは和気あいあいとしてるから、やっぱり少年心も消えてないんだなぁって感じます。30、40歳になってもこのまま行きたいよなぁ。仕事だけの関係にもなりたくないですし、お遊び、馴れ合いにもなりたくないですし。

松本:せやな。......でもこれな、『ラブソングはいらない』のインタビューやな(笑)。

鳥山:そう。どんどん喋っちゃったけど(笑)。

長谷川:各々の成長したところをね。"私を見て~!"みたいな(笑)。