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INTERVIEW

Japanese

ドラマストア

2019年04月号掲載

ドラマストア

メンバー:長谷川 海(Vo/Gt) 松本 和也(Dr/Cho) 鳥山 昂(Gt/Key) 髙橋 悠真(Ba)

インタビュアー:蜂須賀 ちなみ

関西発の正統派ポップ・バンド、ドラマストア。このたびリリースされる初のフル・アルバムは、セルフ・タイトルで既発曲の再録版も含んだ内容。過去を背負いながら未来へ進むのだという覚悟、決意がしっかりと刻まれている。これまでにメンバーの脱退や入院なども経験した彼らは、決して順風満帆にやってこられたわけではない。しかしピンチに見舞われても自分たちなりのやり方で歩き続けたこと、制作面における果敢な挑戦がバンドを強くさせたのだ。紆余曲折の日々が無駄ではなかったのだということが、以下のインタビューでおわかりいただけるだろう。


ロックが思想を伝えるものならば、ポップスは共有し合うもの
僕らはそれを大事にしたい


-いよいよ腹を括ったなぁというのが率直な感想で。2019年を勝負の年にしたいんだろうなという意欲がまず伝わってきたんですけど。

松本:そうですね。大正解です。

-このタイミングで踏み切ることができたということは、つまり、2018年に何かしらの手応えがあったということでしょうか。

松本:2018年は僕と海君が入院して、踏んだり蹴ったりの年ではありましたよね。

長谷川:そうね、悠真の加入っていうハッピーな案件もあったけど。でもそれでようやく腹を括れたというか、一丸となってるという実感が湧いてきて、そこから楽しい日々が続いてるんですよ。そういう僕らの実感が、ファンの方々の表情や反応、動員数にしっかり反映されてるっていう状況で。

松本:正直(ドラマストアの)ファンをやめるタイミングは何回もあったと思うんですよ。やけどファンの子たちは離れずに、むしろどんどん口コミで広めてくれて。

髙橋:本当は僕らがお客さんのことを応援しなければならないのに、逆にこちらが励まされてしまったというか。

長谷川:右肩上がりにしてくれたのは紛れもなくファンのみなさんです。なので今年は、俺たちがファンのみなさんを引っ張っていくような年にしたいと思います。

-でもそれってファンだけの話でもない気がして。鳥山さんと髙橋さんは加入した直後に、メンバーが脱退したり入院したりっていう出来事があったじゃないですか。正直戦意喪失というか、出鼻を挫かれたような気はしませんでした?

鳥山:たしかに、ここのふたり(長谷川と松本)はオリジナル・メンバーなので間違いなく大きな存在ですよ。でも......僕は『白紙台本』(2017年リリースのミニ・アルバム)から制作に参加してるんですけど、そこからリリースを重ねるごとに鍵盤の役割が大きくなって、ポップスの要素がどんどん増えていってるんですね。そういうふうに自分の役割が年々大きくなってる実感はあったし、自分もひとつのピースとしてやれるんだったら、僕がバンドを引っ張ればいいかなって思っていたので、挫かれたような感覚はなかったです。

長谷川:え~! お父さん嬉しい~! 悠真は? 悠真こそ一番大変だったんじゃ――

髙橋:僕は加入したばかりですけど、2017年の夏ごろからサポートをしていたので、メンバーと一緒にいる時間は長かったんですよ。だからチームとして一緒に頑張っていくぞってもちろん思っていたし、何かあったら支えたい、助けたいと最初から意気込んではいました。

松本:え、これはちょっと......泣いてもいいですか?

-いい話ですね。鳥山さんもおっしゃるように、今になって考えると、『白紙台本』を機に鍵盤を取り入れたこと、"ポップ・バンド"と名乗るようになったことがひとつのターニング・ポイントで。あのタイミングで違う方向性に進んでいたとしたら、今回のようなアルバムは生まれなかったんじゃないかと思います。

長谷川:そうですね。

-そこで改めて聞きたいんですけど、みなさんはポップスってどういうものをイメージしてますか?

鳥山:うーん。これ、レコーディングのたびに考えるんですけど、毎回答えが出なくて......。どうなんでしょうね?

松本:僕はざっくりと、耳馴染みが良くて広く長く愛されるものっていうふうに思ってます。

髙橋:プレイするとき、楽曲を作るときでも、身体が落ち着く感じはありますね。こういう雰囲気知ってるなぁって、想像が膨らむというか。

-おふたりは考えが近そうですね。長谷川さんは?

長谷川:とげとげしさや硬さがある程度ぼやけてて、柔らかくて、丸くて、優しいイメージがあるんですけど、これ合ってるかな?

鳥山:わからないですよね。でも間違いなく、"僕らはロックではない"と言えるんですよ。

-だとしたら、ロックってなんでしょうね。

鳥山:ロックは、思想がバンと先にありますよね。

長谷川:そう。ロックは"わかってほしい"っていう気持ち、ちょっと荒削りの感情から生まれるものっていうイメージが強いです。そういう意味で言うと......僕はわかってほしいから曲を書くというよりかは、"僕にはこういうふうに見えてるんやけど、みんなはどう思ってる?"みたいなところなんですよ。だからロックが思想を伝えるものやとしたら、ポップスは共有し合うもの、会話をするためのツールであってもいいんじゃないかなと思ってて。僕は常に、発信者でありつつ受信者でありたい。そういうことを大事にしたいです。

-なるほど。そしたらもう少し実践的なところの話も知りたくて。先ほど"耳馴染み"っていう言葉が出ましたけど、例えば泣けるメロとか、心地よく感じられるコード進行とか、ポップスってある程度方程式化されてる部分もあるじゃないですか。そういうものを取り入れることに関してはどのように考えてますか?

長谷川:僕はもちろん是やと思ってます。ただ、その当たり前を疑うことも大事というか。僕らの場合、僕の作るメロディはオーソドックスなんですよ。でもそこに対して"いや、ちょっと面白くないなぁ"、"もうちょっとフックを持たせてみよう"っていう役割が和也君やトリ(鳥山)であって。

松本:先代がやってるようなことをそのままやるだけでは終わりたくないっていう、反骨精神が僕らの中にあって。やから、曲の中に必ず1ヶ所はベタを覆すようなアレンジを入れてます。

長谷川:そうやって編曲していくのがドラマストア流なんですよ。例えばどこかが尖ってたとしても、歌詞、メロディ、構成、曲名を含めた完成形ができたときに丸っぽく見えたらセーフやと思ってて。今回のアルバムだったら、中にはすごく風刺的に捉えられるような歌詞もあるかもしれないですけど、曲を聴いたら"あ、ロックではないな"ってわかってもらえるんじゃないかと思います。

-わかりました。フル・アルバムの制作は今回が初めてですよね。いかがでしたか?

長谷川:楽しかったよね。

鳥山:うん。もっとケンカすると思ってましたけど。

髙橋:今回"挑戦と回顧"っていうテーマを掲げてるんですけど、ホンマに自分の中で考える時間が多くて。それに関しては今でも考えるべきことがいっぱいあるし、ここからもっと頑張っていかないといけないんですけど、ただ、真っ向からちゃんと向かい合ったからこそ、いいものができたなぁとは思ってます。

-しっかり出しきることができたからこそ次のヴィジョンが見えたんでしょうね。


松本:はい。やりきったので大満足です。

長谷川:全然後悔はないですね。和也君はずっと"これが売れへんかったらもうこの業界に用はない!"って言ってました(笑)。

-気持ちはわかります(笑)。まず、「世界はまだ僕を知らない」がいわゆるリード曲とのことですが――

松本:いや、実はリードという概念があんまりなくて。恥ずかしいからやめたんですけど、本当はオール・リード・トラックって謳いたいくらいなんですよ。で、「世界はまだ僕を知らない」に関しては、歴代のミュージック・ビデオを並べてみて"じゃあ今この4人で何をしたいかな"って考えたときに、演奏シーンがバチバチの、ライヴ感のあるMVを作りたいなっていうところから始まった曲で。"こういうMVが撮りたいから疾走感のある爽やかな曲を作らへん?"っていう感じで作った曲なんですよね。