a flood of circle 佐々木亮介の「ディグ・ディグ・ブルース」【第11回】
2017年04月号掲載
今年の2月中旬、1週間強ほどアメリカ南部を旅して来た。行き先はテネシー州メンフィスと、ミシシッピ州クラークスデール。古のブルースやソウルの名産地であり、今でも名曲が飛び出してくる街だ。治安が良好な地域ではないしトランプ大統領就任以降の緊張感が肌で感じられるようなこともいくつか体感したけれど(というか入国の時点で一悶着あった)、でもとても充実した旅だった。いくつかの演奏したシチュエーションは武者修行という言葉が当てはまるような環境だったしね。ただし、その話はまた別のどこかでしようと思う。だってもちろんディグ・ディグしてきたんだから。
第11回 メンフィスShangri-La Recordsの巻
<1916 Madison Ave. Memphis TN 38104>
メンフィスのマディソン通り沿いにぽつんと建っているシャングリラは、一軒家を丸ごと店として使っている面白いレコード屋である。オールジャンルで揃えられたエサ箱の充実度はもちろん、高い壁にもぎっしりとレコードやポスターやTシャツが飾られていて、眺めるだけでも楽しくなる空間だ。CDやカセットテープやDVDやVHSはもちろん、SP盤やベータマックスまでなんでも来いのラインナップ。かと言って懐古的でもなく、入った瞬間に店でかかっていたのはケンドリック・ラマー「アイ」だったりして、古い音楽と今の音楽が自然と調和している感じが心地良い。
そしてやっぱり特筆したいのは「メンフィス・ミュージック」と題された棚の存在だ。棚のレコードを点検するみたいに丁寧にめくっていくだけで、メンフィスの音楽の歴史を垣間見ている気分になる。その中からまずは一枚チョイス。
*Hi Rhythm"On The Loose"
1976年ハイ・レコードよりリリース。ハイ・リズムは、メンフィスのロイヤル・スタジオを拠点にしたレーベル=ハイ・レコードの看板リズム・セクション。アル・グリーン、アン・ピープルス、シル・ジョンソン、オーティス・クレイ、O.V.ライトなどのレコーディングで活躍し、数々のゴールド・ディスクを生み出したハイ・サウンドの象徴たるバンドだ。近年ハイ・リズムの中心的存在のホッジス・ブラザーズの長男ティニーが亡くなってしまったけど、他のメンバーは今もばりばり現役。ロイヤル・スタジオ自体もブルーノ・マーズ「アップタウン・ファンク」のヒットとグラミー獲得で再び盛り上がっている。生きてる伝説、というやつだ。
このアルバムはハイ・リズム自らのプロデュースと作曲で作られ、これぞハイ・サウンド、という音が楽しめる。今回の旅ではロイヤル・スタジオも訪れることが出来たんだけど、ロイヤルは元々映画館だった場所を改築して作られた場所で、鳴り方もブースの設計も独特だった。温かみがあるんだけど明瞭な音色。そこで鳴らされるハイ・サウンド印のブルースとジャズとソウルの美味しいところが混じったような洒落た和音とグルーブ......70年代当時からキック・ドラムやピアノの位置を全く変えていないらしく、それだけ強い自信とこだわりを持った黄金比の音作りをし続けているスタジオだ。
宿泊先の、元々黒人の使用人の住居だったという小さな一軒家(そういう名残の小屋は町中にたくさん現存している)の簡易レコード・プレーヤーでメンフィスのソウル・ミュージックを聴く。アメリカと音楽のこと、日本人であること、自分の音楽のこと、考えることが沢山ある夜だった。
次回もメンフィス編。スタックスにまつわるレコードの話をしよう。
アメリカから戻って今はバンドのツアー中だ。アルバム「NEW TRIBE」を携えてのツアー。是非目撃しに来て。a フラッドちゃんすんごいことになってるんで。よろしくどうぞ。
佐々木亮介 / a flood of circle
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