Japanese
a flood of circle
Skream! マガジン 2016年07月号掲載
2016.06.04 @新木場STUDIO COAST
Writer 沖 さやこ
結成10周年を祝したベスト・アルバムを引っ提げたワンマン・ツアーのセミ・ファイナル公演は、これまでバンドを引っ張ってきたオールスターとも言える楽曲で組まれた最強の布陣のセットリストだった。だが、この日のライヴはバンドの集大成や10年間を想起させる感慨深さがあるというよりは、ただただ前を向いて音を鳴らす、2016年6月4日現在での最新型"a flood of circle"が存在していた。
全国各地のファンが青いインクで寄せ書きをした4枚の大きな布をバックに掲げたステージに、青を取り入れた衣装で揃えたメンバーが登場すると1曲目は「Golden Time」。フロントマンの佐々木亮介(Vo/Gt)に、バンドを支えながらも前へ押し出すドラムの渡邊一丘、華麗なステップを踏みながら太いベースで演奏をドライヴするHISAYO。その3人の存在感に負けず、サポート・ギターのキョウスケ(爆弾ジョニー)も金色のギターで果敢に切り込んでいく。半年前とは比べ物にならないくらい、彼の存在はバンドの一部となり、確実に着火剤にもなっていた。
"よく来たね、飛ばしてくぜ!"という佐々木の言葉どおり、「The Beautiful Monkeys」、「Blood Red Shoes」とバンドはどんどん加速。だが、4人にがむしゃら感はまったくなく、悠々と、どっしりと構えている。ベスト・アルバムに収録された新曲「青く塗れ」は遊び心が溢れたヴォーカルに、普段あまり見られないキュートな表情が見え、ご機嫌で爽快感のある演奏も心地いい。"攻撃性が高い"というよりは、この先待ち受けるものがどんなものなのか、ワクワクが止められないという様子。「GO」で4人の視線の照準はしっかりと定まり、キョウスケのギター・ソロも迫真のものだった。疾走感のある演奏と感傷性の高いコード感やメロディが相まって、胸をかきむしる。すると間髪いれずに佐々木が1stフル・アルバム『BUFFALO SOUL』収録曲「春の嵐」を歌い始めると、観客から拳と大きな歓声が上がった。渡邊とキョウスケによるソフトなコーラスも、楽曲の持つ精神性を美しく表現する。
"10年間ロックンロールとブルースしかやってこなかったよ(笑)。だからここにいるブルース・マンとロックンローラーたちが大好きです"と笑う佐々木。シリアスでひりついた「I'M FREE」もヴォーカル・アレンジなどもありユーモラスで、バンドの余裕を感じられる。「博士の異常な愛情」は渡邊の重みのあるグルーヴィなドラムが炸裂し、「Miss X DAY」では細やかでありながら迫力のあるドラミングで魅了した。
AFOCのライヴには様々なタイプの観客が集うが、全員に共通して言えるのは彼らの音楽と心意気をまっすぐ愛しているということ。感情表現が豊かな人が多いのは、音楽の隅々にまでバンドの精神性や血が通っているからだろう。佐々木が"死ぬほどデカい声を出すっていうのはどう?"と呼びかけた「Black Eye Blues」ではバンドの音に負けないほどの大声がフロアから湧く。ミディアム・ナンバーの「月に吠える」、「月面のプール」では、フロアは声を出さず大きく身体を動かさない代わりにただただステージへと熱視線を向けた。バンドからもリスナーからも深く純粋な愛が溢れていて、自分もリスナーのひとりであるにもかかわらず、そんな関係を築いている両者がいるこの空間に嫉妬してしまった。
MCではメンバー全員でツアーの打ち上げの思い出話に花を咲かす。"そんな感じで愉快な仲間たちなんですよ、俺たち。東京のワンマンは久々だからさ、ここにいるロックンローラーを隅から隅まで俺らの愉快な仲間たちにして帰りたいんですけどいいですか?"と佐々木が笑みを浮かべるとフロアからは大歓声。それに対して子供のようにはしゃぐ佐々木の姿が印象的だった。それぞれのフレージングが光る「Buffalo Dance」は佐々木とキョウスケのソロ合戦で大きく沸き、間髪いれず「KIDS」になだれ込む。4人はもちろん、この会場のすべてが完全に無敵だった。
高揚を止められない様子の佐々木が"もっといける!? もっともっと連れてってやるからついてこい!"と叫ぶと、4人はニュー・アレンジを施した「Dancing Zombiez」を投下する。ベスト・アルバムのツアーということは、過去曲ばかりのツアー。このツアーで彼らは過去に生み出した武器を丁寧に存分に鋭く磨き上げ、過去最高の状態へと持ってきた。特にあれほどまでの集中力と気迫を感じさせた「プシケ」は初めてで、身動きが取れなくなり、全身の血が暴れ出すような感覚に襲われる。同時に自然と涙腺も緩んだ。佐々木はインタビューで"ジャンルは違っても年齢が近くて粘って粘って頑張ってる奴や若いバンドマンと出会うことも増えてきて、AFOCは全世代連れていけるバンドかな? という予感がしている"と語ったが、曲のラストで佐々木が大きくガッツポーズをした瞬間は、そんなロックンロールが現実に作り出せる夢の象徴のようだった。
佐々木が"自分たちで本当にこだわり抜いて突き進んでる奴らが新時代を作ると信じている"、"これは集大成でもゴールでもなんでもない。ここからだ。お互い転がり続けていきましょう"と力強く語り「花」へ。演奏も言葉も10年を迎えながらも前に進み続けている今の彼らだからこその説得力や想いに満ちていた。
アンコール1曲目では"新しい青い色に染め上げます"と言い、ロンドンでレコーディングをした新曲「BLUE」を初披露。ハッピーな空気感がフレッシュで優しいメロディが際立つあたたかい楽曲で、また一皮むけたAFOCを感じることができた。ダブル・アンコールの「I LOVE YOU」は、この夜を締めくくるのに、これ以上ない選曲だったと思う。彼らはこの日、かつてないほどに清々しさを持ち、覚悟と本気を鳴らし続けた。これからも彼らはまだ見ぬ未来にただただ胸を高鳴らせながら、今この瞬間を全力で転がり続けていくのだろう。その情熱はなんて美しいのだろうか。
- 1
LIVE INFO
- 2025.12.07
-
ぜんぶ君のせいだ。
崎山蒼志
キュウソネコカミ
MOSHIMO
moon drop
ポルカドットスティングレイ
凛として時雨
BLUE ENCOUNT
AIRFLIP
OKAMOTO'S
sumika / マカロニえんぴつ / Kroi / ズーカラデル ほか
NANIMONO
Nikoん
怒髪天
Devil ANTHEM.
ACIDMAN
eastern youth
小林私
ポップしなないで
石崎ひゅーい
UVERworld
優里
秋野 温(鶴)
LACCO TOWER
OAU
the telephones
BIGMAMA
フラワーカンパニーズ
9mm Parabellum Bullet
PENGUIN RESEARCH
トゲナシトゲアリ × RAISE A SUILEN
- 2025.12.08
-
ザ・クロマニヨンズ
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
RAY × きのホ。
ドラマチックアラスカ
PACIFICA
シベリアンハスキー
雨のパレード
never young beach
- 2025.12.09
-
キュウソネコカミ
天女神樂
ザ・クロマニヨンズ
FRANZ FERDINAND
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
ドラマチックアラスカ
TENDRE
PACIFICA
Galileo Galilei
Dios
ザ・シスターズハイ
ストレイテナー
PEDRO
モーモールルギャバン
- 2025.12.10
-
PACIFICA
Galileo Galilei
山本彩
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
くるり
豆柴の大群
森 翼
Wez Atlas
すなお
ストレイテナー
BLACK COUNTRY, NEW ROAD
- 2025.12.11
-
MONOEYES
あいみょん
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
山本彩
オレンジスパイニクラブ
BIGMAMA
ポルカドットスティングレイ
そこに鳴る
The Ravens
FRANZ FERDINAND
- 2025.12.12
-
Hump Back
VII DAYS REASON
Chimothy→
崎山蒼志
LiSA
Another Diary
凛として時雨
TOMOO
Nikoん
BIGMAMA
PENGUIN RESEARCH
moon drop
ねぐせ。
私立恵比寿中学
くるり
PEDRO
サカナクション / Creepy Nuts / 羊文学 / ちゃんみな ほか
flumpool
the shes gone
VOI SQUARE CAT
SAKANAMON / Broken my toybox / SPRINGMAN / KEPURA
BRADIO
ザ・クロマニヨンズ
僕には通じない
LONGMAN
- 2025.12.13
-
MONOEYES
"DUKE×GREENS presents わちゃごなどぅ -whatcha gonna do-"
ぜんぶ君のせいだ。
VII DAYS REASON
Vaundy / THE ORAL CIGARETTES / sumika / マカロニえんぴつ ほか
UVERworld
eill
フラワーカンパニーズ
LITE
DURAN
SHERBETS
清 竜人
ポルカドットスティングレイ
moon drop
Nikoん
石崎ひゅーい
吉井和哉
9mm Parabellum Bullet
Cody・Lee(李)
flumpool
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
[Alexandros]
Appare!
秋山黄色
藤沢アユミ
キタニタツヤ
THE SPELLBOUND
- 2025.12.14
-
downy / toe / unripe / aieum
(sic)boy
VII DAYS REASON
LiSA
ねぐせ。
10-FEET / クリープハイプ / go!go!vanillas / Saucy Dog ほか
UVERworld
ぜんぶ君のせいだ。
Devil ANTHEM.
フラワーカンパニーズ
TOMOO
NEE
"DUKE×GREENS presents わちゃごなどぅ -whatcha gonna do-"
OAU
PEDRO
Nikoん
石崎ひゅーい
kobore / Suspended 4th / ザ・シスターズハイ / ザ・シスターズハイ ほか
鶴
SHERBETS
RADWIMPS
9mm Parabellum Bullet
PENGUIN RESEARCH
MOSHIMO
スカート
PHALUX
Bimi
ASP
22/7
古墳シスターズ
クジラ夜の街
[Alexandros]
キタニタツヤ
- 2025.12.15
-
MONOEYES
Kroi
GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR
anewhite
山田将司(THE BACK HORN)/ 大木伸夫(ACIDMAN)/ 内澤崇仁(androp)/ 村松 拓(Nothing's Carved In Stone) ほか
TOOBOE
Mrs. GREEN APPLE
Hump Back
- 2025.12.16
-
くるり
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
優里
YOURNESS
GANG PARADE
ザ・クロマニヨンズ
GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR
Mrs. GREEN APPLE
- 2025.12.18
-
桃色ドロシー
あいみょん
くるり
Nikoん
東京初期衝動
The Ravens
リーガルリリー
ザ・クロマニヨンズ
渡會将士
高岩 遼
カメレオン・ライム・ウーピーパイ
Homecomings
PompadollS
- 2025.12.19
-
(sic)boy
Helsinki Lambda Club
桃色ドロシー
ガラスの靴は落とさない
Nikoん
flumpool
吉井和哉
東京初期衝動
LiSA
BIGMAMA / THE BOYS&GIRLS / KALMA / オレンジスパイニクラブ / ハク。
SHERBETS
VII DAYS REASON
キノコホテル
羊文学
僕には通じない
Mrs. GREEN APPLE
BLUE ENCOUNT
- 2025.12.20
-
NANIMONO
PENGUIN RESEARCH
LACCO TOWER
RADWIMPS
ポルカドットスティングレイ
ぜんぶ君のせいだ。
The Cheserasera
flumpool
ハシリコミーズ
ZOCX
クジラ夜の街
ExWHYZ
浪漫革命
mudy on the 昨晩
"MERRY ROCK PARADE 2025"
ザ・クロマニヨンズ
Awesome City Club
LUCY
アイナ・ジ・エンド
め組
ACIDMAN
UVERworld
パピプペポは難しい
eastern youth
Mrs. GREEN APPLE
優里
- 2025.12.21
-
NANIMONO
The Biscats
桃色ドロシー
クジラ夜の街
RADWIMPS
LACCO TOWER
NEE
東京スカパラダイスオーケストラ
GLIM SPANKY
フラワーカンパニーズ
MOSHIMO
DURAN
(sic)boy
"MERRY ROCK PARADE 2025"
VII DAYS REASON
ザ・クロマニヨンズ
LiSA
齋藤知輝(Academic BANANA)
Keishi Tanaka
鶴
清 竜人25
MONOEYES
暴動クラブ
UVERworld
OKAMOTO'S
優里
- 2025.12.22
-
DOES
東京スカパラダイスオーケストラ
フラワーカンパニーズ
Kroi
FINLANDS
アーバンギャルド × 氣志團
あいみょん
RELEASE INFO
- 2025.12.07
- 2025.12.09
- 2025.12.10
- 2025.12.12
- 2025.12.17
- 2025.12.19
- 2025.12.20
- 2025.12.21
- 2025.12.24
- 2025.12.26
- 2026.01.01
- 2026.01.07
- 2026.01.09
- 2026.01.11
- 2026.01.14
- 2026.01.16
FREE MAGAZINE

-
Cover Artists
ザ・クロマニヨンズ
Skream! 2025年11月号





















