愛はズボーン × キュウソネコカミ × DENIMS

Japanese

愛はズボーン × キュウソネコカミ × DENIMS

2021年10月号掲載

愛はズボーン

愛はズボーン：金城昌秀（Gt/Vo） GIMA☆KENTA（Vo/Gt）
キュウソネコカミ：ヤマサキセイヤ（Vo/Gt）ヨコタシンノスケ（Key/Vo）
DENIMS：釜中健伍（Gt/Vo）江山真司（Dr）
インタビュアー：服田昌子　Photo by 浜村晴奈

－ところで、ここにいないバンドのトリビュート・カバーで気になった曲はありますか？

金城：全部いいんでね。どうしよかな。

ヨコタ：キンブラは？

金城：ヤバいっすね。

江山：ヤバかった。

金城：マスタリング前なのにキンブラだけめっちゃ音デカかった。

一同：（笑）

ヨコタ：もうパンパンやった？

金城：パンパンでした。いろいろ確認しなきゃいけないことが多くて何回も何回も聴いたんですけど、（音が大きいことを）忘れてるとワッ！って。次の曲、キンブラやった。やってもたって（笑）。

ヨコタ：でもよく誘ったというか。トリビュート受けてくれたのがすごい。

金城：めちゃめちゃ嬉しかったですね。僕らが書いた歌をケイゾウさんが歌ってるんですけど、哲学的なことを歌ってるんやな、俺！って。ケイゾウさんの声を通すとこんなにも重みがあるんやなって。

一同：（笑）

GIMA：でもほんまに受けてくれて嬉しかった。憧れがあるんで。ただ自分らがキンブラの曲をやるっていうのは、どうやっていいのか迷いましたね。

金城：キンブラの「XXXXX」のカバーはGIMAちゃんが中心になってやったんです。担当を決めるときにはじめは空席やったんですけど、GIMAちゃんが、俺キンブラいきます！って。正直心の中ではお前大丈夫か？言ってる意味わかってる？？って（笑）。

GIMA：やりたかったんですよね～。

金城：スゲーなって思ったし、できあがったものも良かったし。

ヨコタ：そっち（KING BROTHERS）側のDNAがあるよね。

GIMA：そうですね。

ヨコタ：てか、そもそも（周年記念で）トリビュートってわかるけど、それに対してのカバー返しってあんまりない。最初っからそういうの（企画）やったの？ようやったなって。

金城：トリビュート出そう！って（レーベル）オーナーが言ってくれて、おもろいですやん。やりましょう！ってなって、それがトントントンと進んだ流れでオーナーが、でさ、10組分カバーしたらええやん！って言って、俺も、いっすね！って言っちゃったんですよ。電話だったんですけど、電話切ってから大変なことになったぞ！と。今から10曲って（笑）。

ヨコタ：俺らが1曲に向けるのと、全然カロリーが違うもんな。

金城：なので、曲の担当には立候補制度を設けたんですよ。

ヨコタ：ディレクションね。

金城：少なくともひとり2曲。

ヨコタ：よくやれたなぁ。愛はズボーン、全体がすごい。

ヤマサキ：やっぱすんません。カバーやめときますわって言ったらええだけやのに、マジでやるって（笑）。

ヨコタ：ライヴではやろかなぐらいの感じはあっても。

ヤマサキ：カバーはライヴでやるのも限られるやろうしね。対バンのときぐらいしか披露することないやろうし。

金城：たしかに。でもドラムの富ちゃん（富永遼右）はDTMでデモを作るとかほぼやったことのないところからスタートして、ナードマグネットの「THE GREAT ESCAPE」と空きっ腹に酒の「生きるについて」を担当したんです。

釜中：誰が何をディレクションしたかって聞いても大丈夫？

金城：大丈夫ですよ。えっと、僕がキュウソとヘルシンキ（Helsinki Lambda Clubの「午時葵」）で、「星丘公園」（Hump Back）は4人で作って最終の編集が僕。で、白井君が夜ダン（夜の本気ダンスの「SMILE SMILE」）とDENIMSと岡崎体育（の「エクレア」）の3曲。

ヤマサキ：白井君めっちゃできるやん。

金城：で、GIMAちゃんがディスジャパ（THIS IS JAPANの「カンタンなビートにしなきゃ踊れないのか」）とキンブラ。

ヨコタ：やっぱ個人のキャラクターがなんとなく（曲に）出てる気がする。

金城：基本的なグループがあって、富ちゃんが作ったのは俺が歌ってるんです。で、白井君が作ったのはGIMAちゃんが歌う。そのふたりずつになってるから、次の新曲はミックスしていこうか？とかも話してて。

GIMA：白井君が曲を作って金城君が歌詞を書いて俺が歌うみたいな。

金城：今それやんな、新曲。

ヨコタ：幅が広がってるやん。

金城：それがまたええのんできそうなんですよ。無駄のないアレンジのバラード。俺はバラード歌うのは恥ずかしいから歌えないけど、歌詞は書けるから書いて、GIMAちゃんに歌ってくれって。

釜中：めっちゃええやん。みんなで分業できるの。

GIMA：でも、ほんまにそれ（新曲）歌えるのは「LAST DANCE」を歌ったから。

ヨコタ：めちゃくちゃ影響してるやん。

ヤマサキ：いいことばっかりやん。

釜中：DENIMSもやろかな。

一同：（笑）

金城：やめといたほうがいいですよ、めちゃくちゃ大変（笑）。

ヨコタ：だまされてるで（笑）。

釜中：でも、そんな成長するんやったら（笑）。

金城：たぶんチーム的にもめっちゃ成長してて。ほんまに人様のもの（曲）を扱うから、やっぱ今もドキドキしてますもん。もちろん自分の曲でも仕事なんでちゃんとやるじゃないですか。例えばリリースに間に合わせるとか、歌詞カードに誤字脱字がないか確認するとか。でも緊張感が違うんすよね。チーム的にも緊張感が増して筋肉がついた気がします。

ヨコタ：ものづくり筋ね。

釜中：すごい。

－ではここからは、愛はズボーンに聞きたいことをどうぞ。

ヨコタ：まだ10周年イヤーは続くんでしょ？

金城：そうですね。年内まではやる予定です。やし、来年以降も今回の2作の存在はめっちゃデカい。曲作るスピードがめっちゃ上がったし、創作意欲も高まったし。今後もバンバン作っていくんで。

ヤマサキ：愛はズは、ずっと曲作り遅いと思ってた。

金城：今めっちゃペース上げていってるんで。

ヤマサキ：来年にはまた出したりする？

金城：そうしたいですね。

ヤマサキ：どこのシーンにぶち込みたいとかはあるん？今さ、ちゃんといい歌が売れてる気がせぇへん（笑）？？ちゃんといい歌というか、華やかなのも売れてれば、泥臭いのもちゃんと売れてるみたいな。そのどこで戦うのかな？って。

金城：お客さんの層やったりね。

ヤマサキ：フェスだけじゃない気がせん？

ヨコタ：どこで何がやるかわからんもん。

ヤマサキ：スタジアムで弾き語りとかあるやん。

金城：あ～。

ヨコタ：ある意味、愛はズボーンは10年経ってアメリカ村界隈のライヴハウスのシンボルになってるやん。愛はズボーンと対バンしたことのあるやつのほうが多い。じゃあ次はどこにいく？って。はっきりどこっていうのは難しいと思うし、やってくことは変わらんと思うけど。でもなんとなく意識することで、曲作りも変われば伝え方も変わるやん。ちょっと違う武器を手に入れたいみたいなこと。

金城：どこに向かうか......ねぇ。

ヨコタ：GIMA君は？

GIMA：それが僕はほんまに（向かいたい先は）なくて。『TECHNO BLUES』（2021年5月リリースの2ndアルバム）出してから、バンド自体もそうな気がしますね。あそこにいきたいからこういう曲作ろう！って結構（以前は）不純やったりもして、そこで思考も止まってスピードも落ちたりしてて。でも今は自分たちを表現するためにどういう曲が必要なんか？っていうシンプルな考えに至っているみたいな。まっすぐ自分らで歩いていきたいって。

ヨコタ：曲作ること、表現すること自体が、一番のモチベーションっていうのが崩れてないんやね。

金城：あ～。ま、でも俺はめちゃくちゃ金欲しいですけどね（笑）。俺以外の3人とこういう話になったとき、実は結構、ここへいく！とか、バンドで金稼ごうぜ！とか俺にはあるんですよ。でもみんなはあんまりそういうのはなくて、で、俺はメンバーのこと好きやし、愛はズボーンで音楽やるのが好きやから、なら言うのはよそうって思って。でも言わないけど、全員のことを金持ちにしてあげようとは思ってます（笑）。それをやれば僕も金持ちになれるんで。ま、金持ちっていう言い方は悪いですけど、売れたい、売れたくないで言うと、そら売れたいし、たぶんそれはみんなそう。でもそれを口に出してっていうようなタイプの4人じゃないなって思うんで。ただ、それで俺が4人分背負うつもりとかじゃなく、たぶん俺がカーッて怪物的な人間になれれば、愛はズボーンは売れるでしょうって思ってやってますね。でもそんなことは押しつけたくない。こういう場やから今は言ってるけど、普段それは意識しなくていいし、仲間で一緒にやってるだけって感じでいいし。

ヨコタ：言葉にするとまた変わるしね。

金城：いろんな意味があるのにひとつの言葉でプレッシャーの掛け合いみたいになると嫌ですね。僕のスタンスとして勝手にやってるだけなんで。

GIMA：（金城が）そういう考えを持ってるっていうのを理解したうえで、俺はどこにもいきたくないし、こういうふうに進みたいなっていうのを話せるようになりましたね。

金城：また走りだして風が吹き出したら変わるしね。

GIMA：偶然4人で同じ方向を向くかもしれないし。

金城：それこそ今回の立候補制でみんなが変わっていったのは、俺が操作したわけではなくて、それぞれが能動的に動いてそうなったんで、そういう場を俺が作るって感じですね。